手のひらサイズになった「電子車検証」のメリットはなんだ?

■本当に小さくなったことを実感

私事で大変恐縮なのですが、先日、17年振りにクルマを買い換えました。そして、新しいクルマの電子車検証の小ささを初めて実感、驚きました。

手のひらサイズになった電子車検証
手のひらサイズになった電子車検証

電子車検証は、2023年1月4日以降交付している新しい車検証です。

従来の車検証がA4サイズであるのに対して電子車検証はA6サイズ相当のサイズとなっています(国土交通省のホームページより)
従来の車検証がA4サイズであるのに対して電子車検証はA6サイズ相当のサイズとなっています(国土交通省のホームページより)

サイズは縦105mm×横177.8mmでA6サイズに相当。従来の車検証がA4サイズですので、その大きさの差は歴然です。

電子車検証では、券面記載情報を必要最小限のものとして、主な情報は電子車検証ICタグに格納。ICタグは電子車検証の裏面に貼付されています。

電子車検証の裏にはICタグが貼り付けられています
電子車検証の裏にはICタグが貼り付けられています

電子車検証で記載が省略されたものは、車検有効期間が満了する日、所有者の氏名または名前と住所、使用者の住所、使用の本拠等です。

備考欄については、従来、車検証が券面に最大26項目まで記載できるのに対して、ICタグでは最大66項目まで格納しています。

ICタグに格納している情報は、車検証閲覧アプリをインストールしたスマホとPC+ICカードリーダーで確認することができ、自動車検査証記録事項というPDFファイルとして保存、プリントすることもできます。

一般ユーザーで自動車検査証記録事項が必要となるのは、任意保険の契約など。これは、電子車検証で省略された使用者の住所を確認するためだそうです。

また、アプリで車検満了時を通知する設定にすることもできます。

車検満了日を通知する設定もあります
車検満了日を通知する設定もあります

電子車検証の大きなメリットは、車検や所有者の変更等、記載事項の変更を陸運支局に行かずにオンラインで更新できることです。

電子車検証に車検満了日や所有者の氏名、所有者の住所、使用者の住所、使用の本拠など変更する可能性がある情報の記載がないのはこのためです。

ユーザーにとっては、サイズが小さくなって携行しやすくなるというメリットがあります。実は、自動車の運転時に携帯義務がある書類は、車検証と自賠責保険証だけです。

自賠責保険証は電子車検証よりも少し大きいだけですので、この2点だけを携帯するならばかなりコンパクトになります。

電子車検証と自賠責保険証だけならこんなにコンパクト
電子車検証と自賠責保険証だけならこんなにコンパクト

でも、実際には、点検記録簿なども一緒にグローブボックスに入れるのが一般的だと思われ、そうなると電子車検証の小ささのメリットはそれほどでもありません。

一方、二輪車の場合は小物入れが小さいことが多いので、自賠責保険証サイズのケースに車検証を折りたたんで入れるのが一般的。電子車検証は自賠責保険証よりも小さいので、電子車検証のメリットをより強く感じられそうです。

しかし、二輪車によっては小物入れが非常に小さい車種や、そもそも小物入れがない車種もあります。オーナーによってはカバーの裏に忍ばせるなど、車検証を置く場所を工夫しています。

この時に気をつけなければならないのが、ICタグを絶対に折らないこと。折ってしまうと最悪、ICタグが破損してしまうこともあるそうです。

どうしても折らないと収まりそうにない場合は、バイクに積載するのを諦めて、身につけていた方がいいでしょう。

電子車検証は2023年1月4日以降の新規登録や継続検査などで発行されますので、全車両が数年のうちに電子車検証に切り替わることになります。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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