■「エミーラを青空の下で見て欲しい」
富士スピードウェイで2023年4月23日(日)に開催された「モーターファンフェスタ2023」で、改めて実感したのがスポーツカーの魅力。コース上を走るレーシングカーはもとより、同乗試乗や展示エリアでとくに多くの来場者を惹きつけていたのはやはり“走り”にこだわったモデルたちでした。
自動車メーカー・インポーターの車両展示で、とりわけ「スポーツカー密度」「スポーツカー濃度」が高かったのが、エルシーアイのピット。ロータスにとって“最後の内燃機関モデル”となるエミーラ、ケータハム・セブン 170R、モーガン・プラスフォーという英国製スポーツカーモデルが揃い踏みしていました。
最も注目度が高かったのは、エリーゼやエキシージ、エヴォーラの後を継ぐ最新のスーパースポーツ、エミーラ。この車両を「モーターファンフェスタ」に展示した理由について、エルシーアイ広報の中村さんが次のように説明してくれました。
「今回お持ちしたのは、エミーラのテーマカラーであるセネカブルーをまとった車両です。このボディカラーはとても繊細なメタリック感が特徴で、屋内展示では、このブルーカラーの魅力が思う存分発揮できません。今回のように、青空の下で見るととても映えるんです」
エンドユーザーの方々へエミーラを見ていただけるせっかくの機会ということで、4月の爽やかな晴れ空に映えるボディカラーのエミーラを連れ出してくれたということです。
●ケーターハムの新工場!?
ところで広報の中村さん、先ごろ英国へ出張してロータス、ケーターハム、モーガンの工場を視察してきたとか。エミーラは、拡張されたヘセルの工場で、ロータス初の自動化を導入したラインで生産されていることで知られています。
「クルマの品質が確実に上がっていることがよくわかりました。塗装技術やレザーの仕立て、組み立ての精度など、すべてのクォリティが向上しているんです」
最新のロータス生産ラインについて熱く語ってくれた中村さんですが、その真逆ともいえる古きよき生産工程を守り抜くモーガンの工房もまた、魅力的だったと熱弁します。
「いまだに木を型に嵌め込んで曲げているのはもちろん、ほとんどオールハンドメイドっていえる作り方なんです。そんなクルマ、今はもうほとんどありませんよね。これだけの手間がかかっているのか、と改めて驚きました」(中村さん)
ケーターハム・セブンについても色々質問を投げかけていると、びっくりするような事実を中村さんが口にしました。「ケーターハムは、新しい大きな工場を建設中なんです。だから、相当な数のセブンを作れるようになりますよ」
ケーターハムの新工場? それは初耳! 急いで調べて見ると、本国のプレスサイトには次のようなニュースリリースが……。
「ビッグニュースです。私たちは引っ越します!30年以上ケネットロードにあったケータハム・カーズは、新しい本社へ移るべく準備を進めています」
それによると、親会社であるVTホールディングスによる数百万ポンドの投資により、新工場におけるケータハムの年間生産能力は50%拡大。毎年約750台のセブンを生産できるスケールとなるようです。
現在の工場に近接する新工場は、じつに5万4000平方フィートという広大さ。2023年末に完成する計画で、将来的にはオーナーへの車両の引き渡しなど、様々なイベントも予定しているそう。
電動化、自動運転、コネクテッド化……急ピッチで進化するクルマの世界において、ケーターハムのようなスポーツカーに未来はあるのか。不安視する意見は多いかもしれません。
が、ケーターハムはちゃんと未来にむけて着実に前進しているんです!原始的なスポーツカーの楽しさを教えてくれるセブンの前途には、途切れるどころか、まさに洋々たる道が広がっているのでした。
(文:三代やよい/写真:三代やよい、Caterham Cars※ケータハム新工場)