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■テレビ番組で話題に!
和歌山県に「日本のアマルフィ」と呼ばれている場所があります。それが雑賀崎(さいがさき)です。
アマルフィとはイタリア・カンパニア州サレルノ県、世界遺産のアマルフィ海岸に面した人口5100人の町です。町の周囲は断崖絶壁に囲まれていて、斜面に家が建ち並ぶ美しい町並みが有名です。
雑賀崎も漁港の周囲を丘に囲まれていて、斜面に家が建ち並んでいます。2022年7月に放送されたテレビ番組で、AIが判定した世界遺産そっくり度ランキングで満点に近い0.866点を出して1位に輝いています。
そんな雑賀崎。漁港のある町ということでてっきり和歌山県南部の、いわゆる紀南エリアにあるのかと思っていましたが、所在地を調べてみたらなんと和歌山県和歌山市内にあるとのこと。
和歌山市内なら大阪から1時間半程度で行けます。ということで、実際に行ってみました。
●本家も認めた「日本のアマルフィ」
大阪方面からクルマで行く場合は阪和自動車道が便利。和歌山南スマートICを降りて県道13号を西へ30分程進み、水軒交差点を右折して南下。雑賀崎トンネルを抜けると辿り着けます。
トンネル出口の近くにある有料駐車場にクルマを駐めて、奥和歌大橋から港を見てみると「日本のアマルフィ」たる所以である、斜面に立ち並ぶ家が壮観です。
ちなみに「日本のアマルフィ」は本家イタリア・アマルフィも認めていて、2019年2月にはアマルフィ市長のダニエレ・ミラノ氏を始めとするアマルフィ訪日団が訪れて、景観文化をテーマとしたシンポジウムや食フェアを開催しています。
2021年12月にはマルコ・プレンチペ在大阪イタリア総領事が、雑賀崎小学校跡地の丘にアマルフィの特産物であるレモンを植樹して「レモンの丘」と名付けました。
2022年7月にはプレンチペ総領事が雑賀崎小学校の生徒に対して、イタリアの自然や古代ローマの歴史を紹介する特別授業を行っています。
●万葉集にも歌われた「日本のアマルフィ」?
「日本のアマルフィ」と呼ばれるようになった雑賀崎ですが、独自の一本釣りを編み出して漁村として発展した歴史があります。斜面に家が建ち並んだのは、大切な船を見守るためだという説もあります。
港では獲れたての魚介類を販売していて、休日になると大勢の人たちが集まってきて賑わいます。
雑賀崎の周囲はリアス式海岸となっていて、古くは万葉集に「紀伊国の 雑賀のウラに出で見れば 海人の燈火波の間に見ゆ」と歌われる程の景勝地で、日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」のひとつなのです。
また、ペリー来航を受けて紀州藩は雑賀港の西側の絶壁上に「元番所お台場」という見張り所を設置して海防に取り組んだと言う歴史もあります。「元番所お台場」の跡地は番所庭園となっていて、雄大な景色を楽しんだり、バーベキューもすることができます。
「日本のアマルフィ」と呼ばれる遙か前から魅力的な町として長い歴史を誇る雑賀崎。行けばいろいろなことを発見できそうです。
(ぬまっち)