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■国際線仕様のB777-200ERを国内線に転用
JAL(日本航空)の羽田〜新千歳便・羽田〜福岡便・羽田〜那覇便で、国際線仕様のボーイング777-200ER(以下B777-200ER)のビジネスクラスを体験することができるのをご存じでしょうか。しかも、エコノミークラス+1000円のクラスJ料金で利用できるという超お得シートなのです。
B777-200ERのERはExtended Rangeの頭文字で、航続距離延長仕様です。JALの国際線には2002年に導入されました。B777-200ERの特徴はエンジンを選択することができることで、JAL機はGE(ゼネラル・エレクトリック)製GE90エンジンを搭載しています。
一方、JAL国内線には375人乗りのB777-200を1996年から、500人乗りのB777-300を1998年から就役しています。どちらもプラット&ホイットニー社のPW4000エンジンを搭載していました。
2019年に後継機のエアバスA350-900の導入が始まり、国内線仕様のB777-200とB777-300は、順次退役を開始しました。
その矢先、2020年12月に那覇空港を離陸した直後、B777-200のエンジンが損傷しました。幸い那覇空港に引き返して大惨事とはなりませんでしたが、国土交通省は重大インシデントに認定しています。
さらに、2021年2月20日にユナイテッド航空328便のB777-200のエンジン事故が発生。そのため、国土交通省がPW4000エンジンを搭載したB777の運行停止を命じました。折しもコロナ禍で乗客が激減していたこともあり、JALの国内線仕様B777-200とB777-300は2021年3月までに全機退役となりました。
一方、GE製エンジンを搭載していたB777-200ERは、運行停止措置の対象とはなりませんでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で国際線も大幅に減便されていたので、JALは2020年末をもってB777-200ERの一部を国内線に転用、残りを退役させると発表しました。
B777-200ERは、2年間の期間限定で国内線で使用後、退役する計画でした。そのため、客席は改造を加えることなく、ビジネスクラスもそのまま転用されることになりました。しかし、国内線にはビジネスクラスの設定がありません。そのため、国内線ではビジネスクラスの座席をクラスJで利用できることにしました。
クラスJはエコノミークラスのひとつ上級のクラスで、料金の差額はわずか1000円というお得なクラスです。そして、この料金のままビジネスクラスの座席を利用できるという、超お得なシートが誕生したわけです。
●国内線でフルフラットを体感!
B777-200ERに配置しているビジネスクラスはJAL SKY SUITE IIIというタイプです。座席配列は1-2-1の4列。背もたれの周囲はパーティションで囲まれているほか、隣の席との間には可動式ディバイダーを設置していて、まるで個室のようです。
座席は幅が約51〜52cmのリクライニングシート。背もたれを完全に倒すとフルフラットベッドになります。
ベッド時の幅は約53cmですが、可動式のアームレストを収納すると、ベッド幅は約74cmに拡がります。また。ベッドの奥行は約198cmもあり、足を伸ばして寝ることができます。
そのほか17インチの大型モニターや大型の可動式テーブル、USBポート、PC用電源を備えています。
なお、B777-200ERはエコノミークラスの座席も国内線仕様よりも幅が広く、配列も国内線の3-4-3列に対して3-4-2列となっています。
B777-200ERの国内線での運行は、2021年からスタート。
現在、この機体が使用されるのは……
・羽田〜新千歳便=羽田発13時30分・18時35分/新千歳発16時・21時
・羽田〜福岡便=羽田発6時30分・18時5分・19時15分/福岡発6時30分・18時5分・19時15分
・羽田〜那覇便=羽田発10時15分・12時/那覇発14時10分・15時50分
上記の便に使用されています。
●B777-200ERは2023年9月に退役。現在は3機が活躍
JALは2023年1月17日にB777-200ERを9月までに退役させることを発表しました。B777-200ERは国内線転用後も徐々に退役していて、現在運行しているB777-200ERは3機です。
引退まであと半年。ぜひ超お得なフルフラットシートを体感してみてください。
(ぬまっち)