トヨタ新型「プリウス」(プロトタイプ)を清水和夫が試乗してわかった「実用はカローラ。プリウスは走りたくなるスペシャリティカー」

■新型トヨタ「プリウス」、選ぶなら1.8Lか2.0Lか、FFか四駆(E-Four)か?

●「こんなに寝ちゃってどーすんだ?」なAピラーも、乗ればさほど気にならず

新型プリウス×清水和夫
新型プリウスプロトタイプを清水和夫が実走して分かったこと

ワーイ! 新型プリウスがワールドプレミアされてから約1ヵ月、そのプロトタイプの試乗編が、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんのYouTubeチャンネル「StartYourEnginesX」でさっそく公開されました。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス×清水和夫

乗り味はどうなのか? あの傾斜が印象的なAピラーの感じは実走でどうなのか? 気になることがたくさんです。


●どこに行くんだ、5代目新型プリウスよ!

新型プリウスちゃん5代目! 25年も経つと見事にパッケージもデザインも変わりましたね。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス・プロトタイプを清水和夫が実走。さて、ファーストインプレッションはどうだ?

ということで、この5代目プリウス、いったいどこにいくのか、どんな新しい乗り味なのか、価値なのか…。そのへんを探ってみたいと思います。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウスのシフトレバー

あ、シフトレバーが変わったね。カローラとプリウス、プラットフォームは一緒ですけど、プリウスはより愛車寄りというか「スペシャリティカー」寄りになった感じがします。その代わり、実用車としたら多分、カローラのほうにお客さんには行ってもらう感じ、なのかな?

今日はド・ピーカンの富士スピードウェイ! 今日はショートコースです。

相当ハンドリングとか、乗り心地とか、音とか、まぁかなり5代目プリウスは4代目と比べて改善点は大きいですね。考え方を変えたっていうのも、重要なポイントです。

●まずは2L+FFを試してみた

さて、これから乗るのは、2LのFF。エンジンは4気筒の高速燃焼です。ウ~ン、走り出しスムーズだな。

新型は4代目より相当、加速性能も良くなっているって言われていますから、そのへん味わってみたいと思います。サーキットなのでね、いきなり全開にするとワケわかんなくなるので、最初はスムーズに、一般道っぽく走ってみたいと思います。

(※と言いながら、多分2周目?からは全開しているように見えますw!)

ちょっとハンドル切ったときにね、何だろ…ロードノイズがちょっと大きくなる感じはありますけど、でも結構いい感じだね。

そこそこ速いなぁ。2023年、私はヤリス・ハイブリッドで全日本ラリー選手権を走りますので、1年間はこのハイブリッドと付き合うわけです。

新型プリウス×清水和夫
ヨコハマBluEarth-GT 195/50R19を履く

立ち上がりはどうか!? お! ケツ出るじゃん!!

けっこう舵が効いてお尻がスーッと出ましたね。ウ~ン…やっぱ旋回ブレーキだとちょっとアンダー出ちゃうね。でもね、けっこー楽しい♪ ま、どんなタイヤ履いてんのか分かんないけど(※ヨコハマBluEarth-GT 195/50R19)。

新型プリウス×清水和夫
ほぼ清水和夫目線

おぉ~ここいいね♪ 軽~くリヤが流れている感じ。このコーナーが意外とアンダーが出なくてイイ。けっこう狙ったラインをトレースできるね。もう少し舵が効いて欲しい感じはあるけど。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス・プロトタイプのドライビングシート

なんかでも、乗り味がちょっと乾いている感じするよね、全体的に。もうちょっとフランス車みたいにしっとりした湿った感じがね。まぁでも、前のモデルより全然良いだろうな。LSDが初めて欲しいな!と思いましたから。

●2L+E-Fourはどうだ?「お~!」と言ったらニヤついていると思ってね♪

次はプリウス2LのE-Four。リヤが30kWくらいのモーター。まぁ必要最小限のモーター出力っていう感じはします。

あ~やっぱり1.8Lと比べると2Lのほうが全然イイね、元気良くて。19インチのタイヤも良いです。

買うならコレだな。

お! なかなか手応えもいいし。やっぱりFFよりE-Fourのほうが全体的にタイヤの接地感も良い。さぁ、この登りの左ヘアピンどうかな? やっぱE-Fourのほうが良いね。FFだとフロントの内輪がホイールスピンしてたんだけど、E-Fourだと4つのタイヤの接地感が良いです。

お~~~!

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス×清水和夫

ワタシが「お~~~」って言うときはお尻がちょっと流れた時、ニコニコっとしてます♪

ヨシ! 旋回ブレーキも悪くないな。やっぱりこのコ、2L+E-Fourがプリウスの本命! 楽しいね。これはかなり攻めがいのあるクルマです。だから、プラグインの登場も楽しみだ。

●清水和夫が新型プリウスを実際に乗ってみて分かったこと

さて、今回の新型プリウス、どんな新しいクルマになったのか、実際に乗ってみて明らかになったことがあります。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウスのエンジンは、1.8Lと2Lの2種

エンジンは2種類。2L高速燃焼で一番パフォーマンスの高い4気筒と、従来からある1.8L 4気筒。多分1.8Lは価格的に安いところを狙ったバージョンなのかなと思います。タイヤもソッチは17インチだし。

実際乗ってみると、やっぱり2Lの19インチが一番ホットなプリウスっていう感じ。ホットというか、やっぱりプリウスはプリウスとして、なんかGRみたいなホットさとは違った『クール・プリウス』みたいな。

あと、二駆と四駆、FFとE-Fourがあります、E-Fourはリヤに30kWのモーターを付けています。これは従来のプリウスE-Fourと比べたらかなりリヤモーターがしっかりしているので、個人的には2LのE-Fourが一番のおススメかな! 1.8Lだとエンジンパワーとか、そこもちょっとトルクが足りないな…っていうのもあるんですけど、何よりもステアリングがちょっと軽くなって、全体のしっかり感みたいなものがね。やっぱり19インチの2Lのほうがいいなっていうのが印象でした。

●気になるAピラーは、見た目よりも気にならない。それよりオルガン式ペダルが大正解!

新型プリウス×清水和夫
意外にもAピラーの傾斜は運転していると気にならないそうです
新型プリウス×清水和夫
Aピラーの傾斜は、この三角窓のおかげで視界性能もヨシ

今回、デザインが大きく変わりましたよね。特にAピラー。『こんなに寝ちゃってどうすんの!?』っていうくらい寝ていますから、やっぱり気になるのはドライビングポジションや視界性能。でも、実際に乗って走ってみると、三角窓があるおかげで意外にも視界はそんなにジャマにはなっていない。

特筆すべきは、アクセルペダルがオルガン式になったこと! このオルガン式は絶対に必要。マツダが、トヨタが提供したハイブリッドを、意地になって先にオルガン式にしていたので、トヨタに出来ないわけないんだけど。

新型プリウス×清水和夫
オルガン式になったペダル

オルガン式にすると何でいいのか?っていうと、自分の全日本ラリー選手権用ヤリスCVT(2022年まで)が吊り下げ式なんだけど、かかとの部分に『かかとストッパー』を付けると、かかとを支点にしてペダルが踏める。オルガン式がいいというわけじゃなくて、かかとを支点にしてアクセルを踏んでブレーキを踏んで…っていうのが、人間工学的には良いことなんですね。

●「走りたくなるプリウスの」の進むべき先は? カローラとの棲み分けは?

そういう意味で、ペダル配置もいいし、ブレーキフィール、ペダル、あとステアリングの手応え、このへんが全部揃った!

というところで、新しいプリウスは『走りたくなるプリウス』!

もちろん、燃費も良いんでしょうけど、そんなことを忘れさせてくれるプリウスじゃないかな、と思います。

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス・プロトタイプのリヤシート。オレの頭上は拳1コ分しか余裕がない…

でもこのプリウス、リヤシートに乗ると私の頭の上は、拳1コ分くらいで天井。そうすると、ヨーロッパではプリウスってけっこうタクシーで使われているんですけど、そういう実用的なお客さんはどこ行っちゃうの?っていうのが気になります。

実は、それはカローラが担う。

ですから、カローラの役割とプリウスの役割が今までオーバーラップして、ひとつのボールを両方で取りに行っていたようなところがあるんですけど、そこはしっかりと棲み分けをする。プリウスは、そのカローラが担っている実用車としての世界から飛び出して、よりスペシャリティカーとしての方向に方向転換した!

新型プリウス×清水和夫
新型プリウス×清水和夫

という意味で、私はこの5代目プリウスは、初代から4代目までの延長線上ではなくて、新しいシーズン2に入ったプリウスではないかなと思っていたんです。

新型プリウス×清水和夫
初代プリウスかr4代目までの変貌(上から順に初代~4代目)

初代プリウスがどれだけイノベーションを起こしたか?ってことを考えれば、この新しい5代目プリウスは、シーズン2の頭出しとして、やっぱりイノベーターでなければいけないというふうに考えています。

今回の新型プリウスの2L E-Fourは、乗ると楽しく気持ちいいクルマなんですけど、しかし、もっと高みを狙った新しいプリウス・シーズン2の世界を、これから切り開いていってもらいたいなと思います。そんな印象でした。

まぁ、カローラ見ずして新型プリウスは語れないのではないかと思います。


初代プリウスが世界に発信したイノベーション。四半世紀を経て、5代目となる新型プリウスはシーズン2に突入! まさに、世界が見ている、そして期待している特別なクルマがプリウスだということが、清水さんの言葉からもヒシヒシと伝わります!

富士スピードウェイ・ショートコースを全開でテストする面白動画w…じゃなく、新型プリウスがよく分かる動画を、ぜひチェックしてください ↓↓↓ !

(解説:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

トヨタ 新型プリウス特設サイト
https://toyota.jp/info/prius_special/

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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