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■三菱車の悪路走破性を誇示して勝利
●トライトン、アンコールワットの地に凱旋
11月21日から6日間にわたってタイの東北地方と隣国カンボジアの地区で行われていたアジアクロスカントリーラリー(略称:AXCR)2022年大会。最終の第6レッグはタイからカンボジアに移り、世界遺産のアンコールワットのある地でもあるシェムリアップにゴールしました。
イベントの勝者は、チーム三菱ラリーアートのトライトンを駆って、全行程1500km、SSステージ総距離640kmほどを壮絶に走り抜けていったタイのチャヤポン・ヨーター選手。
ヨーター選手はSSが200kmといちばん長かった2日目に、抜け出してリードを守り抜く走りを演じていきました。
とはいえ序盤、トップ勢は5台ほどが15分以内にひしめく戦況で、連日のSSでも数分差でのトップ成績の奪い合い、厳しい展開は続いてゆきました。
競技コースは轍があったりするマッドなラフロードであったり、藪の中ように陰っている狭い樹林のなかを抜けていったり、かと思えば直線が続く泥だらけのコースに、時に出現する穴とも言える窪みなどや沼地となっているほどの荒れた状況まで様々。競技車を待ち受けるロードコンディションの試練を乗り切れるかどうか、ゴールまで予断は許せないものでした。
●ハイラックス、フォーチュナー勢が猛追するも届かず
序盤戦で5分以内の差の2番手につけていたいすゞのD-MAXのディサポン・マネイン選手がドラブルで脱落するものの、いすゞ勢のチームはスワット・リムジラピニャ選手が三日目のステージを制するなどして追い上げを図ったり。またトヨタのハイラックス レボのハラス・ ジャンカモルクルチャイ選手も常時トップ三菱との差10分以内でにじり寄ってきたり。
日本から参戦の青木拓磨選手、塙 郁夫選手のトヨタ・フォーチュナー勢も序盤から中盤にかけて着実にトップ陣営を捉える圏内に居座り、虎視眈々でした。
そして迎えた最終日、2番手ジャンカモルクルチャイ選手はハイラックス レボでSS2番手の成績を遂げ、総合トップのトライトンに2分以上にじみ寄りました、が届かず。三菱トライトンのヨーター選手は序盤からのトップの座を守り抜き総合優勝を勝ち得ました。
また最終日のSSでは、塙選手が最速タイムをマーク。2位となったハイラックス レボのジャンカモルクルチャイ選手にわずか5秒の差となる総合3位に浮上。そしてチームメイトの青木拓磨選手がこれに続く4位となりました。
チーム三菱ラリーアートにとっては、復活したラリーアート・ブランドにおける初挑戦の国際イベントでの初勝利となりました。
勝者ヨーター選手は「排気量が大きなライバルもいる中で勝ち抜くために、ミスを徹底的に減らし、慎重にひとつひとつのコーナー、そしてステージをクリアすることに集中してきました。今回のラリーで好成績を出せたのは、『トライトン』の素晴らしいハンドリング性能があったからだと思っています」と、荒れたコースをものともせずに走り抜けたトライトンの操作性を讃えてもいます。
またチーム三菱ラリーアートの増岡浩総監督は「今回の勝利はチームワークと三菱自動車が長年培ってきたノウハウによる賜物です。チーム三菱ラリーアートは来年の参戦も視野に入れ、しっかりとチーム体制、そしてラリーカーを準備していきたいと思います」と。
往年のラリー界に燦然たる活躍を見せていたラリーアートの力が、いよいよ本格始動してきたようです。
●アジアクロスカントリーラリー2022年大会 トップ10リザルト
1位#105 チャヤポン・ヨーター 三菱トライトン 8時間22分42秒
2位#102 ジャラス・ジェンカモルクルチャイ トヨタ・ハイラックス レボ 8時間28分29秒
3位#116 塙 郁夫 トヨタ・フォーチュナー 8時間28分34秒
4位#108 青木拓磨 トヨタ・フォーチュナー 8時間38分26秒
5位#118 リファット・サンガー 三菱トライトン 8時間39分56秒
6位#115 タウィー・ニーナ いすゞD-Max 8時間51分24秒
7位#112 テラポン・ピンパワット トヨタ・ハイラックス レボ 8時間58分58秒
8位#126 ダニエル・プンプラサート プニャニティヤ フォード・ラプター 9時間45分19秒
9位#125 スリン・チャイチャナ トヨタ・ハイラックス レボ 9時間52分26秒
10位#124 トンチャイ・クリンケイト 三菱トライトン 10時間11分19秒
(文:游悠齋/写真:三菱自動車、アジアクロスカントリーラリー事務局)
【関連リンク】
アジアクロスカントリーラリー2022
https://www.r1japan.net/axcr/report_ja.html