日産キックスが最新世代の「e-POWER」を搭載し、待望の4WD仕様「e-POWER 4WD」も追加

■ジュークの後継的モデルのBセグメントSUVがマイナーチェンジ

2022年7月19日(火)、日産キックスがマイナーチェンジを受け、待望の4WDモデルが加わりました。日産キックスは、BセグメントSUVで、ボディサイズは全長4290×全幅1760×全高1610mm。日本では日産ジュークの後継的役割を担っています。

日産キックス
マイナーチェンジを受けた日産キックスのエクステリア

日産キックスの名は、三菱パジェロミニ(軽)のOEMモデル(2008年発売)と同名ですが、現在は登録車のコンパクトSUVに与えられています。

日産キックス
日産キックスのリヤビュー

日本仕様はブラジルから遅れること約4年、2020年6月に発表されています。プラットフォームは、ノートなどが採用する最新の「CMF-B」とは異なり、「V」プラットフォームと呼ぶひと世代前の車体が使われています。

●第2世代の「e-POWER」を搭載し、待望の4WDも追加

今回のマイナーチェンジでは、最新世代となる第2世代の「e-POWER」が搭載されています。ノートやノート・オーラなどと同じ世代になり、モーターの出力とトルクの向上が図られ、エンジンの始動頻度を抑えるなど、100%電動駆動らしくパワフルでスムーズ、静かな走りを手に入れています。

日産キックス
日産キックスの走行シーン

モーターの緻密な制御が可能になり、走りの楽しさをブラッシュアップ。第2世代の「e-POWER」は、モーター出力が約5%、最大トルクも約7%増強され、よりパワフルな走りが得られるようになっています。試乗車は追加された4WDモデル。

日産キックス
日産キックスの走行シーン

実際にクローズドコースで走り出すと、出だしから力強く、しかも加速フィールが途切れることなく続く最新世代にふさわしい滑らかさを享受できます。コーナーの立ち上がりでも欲しいトルク感が得られるため、山岳路でもストレスのない加速が得られるはず。

さらに、朗報なのが減速時に重宝する回生ブレーキで、「SPORT」と「ECO」モード時でも「B」レンジに切り替えることが可能になり、走行シーンに応じて強い減速感を引き出せます。

「B」レンジにすると、強い回生ブレーキが掛かる一方で、ラフなアクセル操作をしない限り、突如つんのめるような(ノーズダイブ)感覚が抑えられています。「B」レンジでもフィーリングは比較的スムーズで、電動化車両を得意とする日産らしい美点を感じさせます。また、低速走行時のエンジン始動頻度が減ったことで、静粛性の向上にも寄与。

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日産キックスのフロントシート

いわゆる「ワンペダル」モードである「e-Pedal Step」の操作性がより滑らかになり、よりスムーズな加減速が可能になっています。下り坂が続くシーンだけでなく、雪上などの滑りやすい路面でも頼もしい制御になるはずです。

なお、WLTCモード燃費も23.0km/Lと約6.4%の燃費向上も実現(2WD)しているのも、ガソリン高が続く中、朗報といえます。

この電動4輪駆動システムの「e-POWER 4WD」は、より速くスムーズなコーナリングも披露してくれます。大小のコーナーがあるクローズドコースでも、走破性の高さを味見できました。前後モーターの出力が瞬時に制御されるため、ドライバーに察知させず自然で、回頭性に優れた走りを享受できます。

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日産キックスのリヤシート

減速時にはリヤモーターの回生制御が加わり、エネルギー回収効率を高めつつ、車両姿勢をコントロールすることができます。ただし、キックスの電動パワーステアリングのフィーリングは、ひと世代前の「ねっとり」とした感覚があり、基本設計の古さを若干感じさせます。ノートなどのより雑味の少ない「すっきり」としたフィーリングなどとは少し異なります。

また、2620mmという比較的短めのホイールベースということもあり、低速域では少し突き上げ感があり、リヤシートだとそうした乗り味がより濃厚に伝わってきます。なお、「e-POWER」は、前輪駆動でも緻密な制御で雪上など滑りやすい路面でも走らせやすいですが、4WDの追加は降雪地域の方にとってより魅力的な選択肢になるはず。

●先進安全装備を強化し、内装の質感を向上

今回のマイナーチェンジでは、安全装備もアップデートされています。「インテリジェント アラウンドビューモニター」「インテリジェント ルームミラー」などの先進装備を上位グレードに標準化。

また、コンパクトSUVで初(2022年5月現在、日産調べ )の「インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)」を全車に標準装備。同装備は、車両前方に搭載されたミリ波レーダーが2台前を走る車両の車間や相対速度を検知し、危険と判断すると表示とアラームで注意を促し、衝突などの危険なシーンの回避をサポートするものです。

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質感向上が図られたインテリア

さらに、マイナーチェンジでの目的は、インテリアの質感向上もあるそうです。ライバルに比べて内装のクオリティが今ひとつだった…という分析から、センターコンソールとシフトレバーのデザインが刷新され、質感向上と先進性が磨き上げられています。

日産キックス
日産キックスのサイドビュー

また、「ツートーン インテリアエディション」には、従来から用意されていた「オレンジタン」に加えて、新たに「ベージュ」を追加。今回、設定された新グレードの「スタイルエディション」は、シックな印象ブラウンを基調とするインテリア、ダーククローム調グリルフィニッシャーなどが備わり、大人っぽいムードが演出されています。

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4WDモデルのロゴ

日産キックスは、狭い道路事情や駐車場などでも取り回ししやすく、機動力の高さが美点で、そこに最新世代の「e-POWER」が搭載されただけでなく、4WD仕様も加わり、より魅力的な選択肢になっています。

●価格帯
2WD:279万8400円〜301万8400円
4WD:306万1300円〜328万1300円

(文:塚田 勝弘/写真:前田 惠介)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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