ジムニーの兄貴分、スズキ・エスクードがデビュー【今日は何の日?5月25日】

■外国車ディーラーのヤナセが制定した「愛車の日」

5月25日は、クルマを大切にする「愛車の日」です。1915(大正4)年5月25日に創業した外国車ディーラーのヤナセが、クルマを大切にする「愛車の精神」を広く伝える目的で制定しました。ヤナセ創業者の梁瀬長太郎は、自動車メーカーが存在しないような時期から、キャデラックなど様々な輸入車を扱っていたので、クルマの知識が豊富でした。そのため、当時純国産のクルマの開発を目指していた自動車メーカーから、いろいろ相談を受けていたようです。

5月25日には、タレントの西野七瀬、女優の上野樹里と石田ひかり、ゴルフの大山志保、野球の江川卓、SF作家の豊田有恒、ヘリコプターを発明したイゴール・シコルスキー、パラシュートを発明したセバスチャン・ルノルマンなどが生まれています。本日紹介するのは、イゴール・シコルスキーです。

●空中静止が可能なヘリコプターを実用化したイゴール・シコルフスキーが誕生

イゴール・シコルフスキー(C)Creative Commons
イゴール・シコルフスキー(C)Creative Commons

イゴール・シコルスキーは1889(明治22)年5月25日、ロシア帝国(現、ウクライナ)のキーウで心理学の教授の父親と医者の母親のもとで生まれました。12歳の頃、ダ・ヴィンチの描いたヘリコプターに憧れ、航空機に夢中になります。キーウ工科大学で航空技術を学んだ後、ヘリコプターの研究を始めますが、うまくいかずに断念。固定翼の大型機の開発に取り組み、1913年に世界初の4発大型機の飛行艇を開発します。

1948年製造のシコルスキー・エアクラフト製H-5 (草創期のヘリコップター) (C)Creative Commons
1948年製造のシコルスキー・エアクラフト製H-5 (草創期のヘリコップター) (C)Creative Commons

その後、ロシア革命を機に米国に亡命し、1923年にシコルスキー・エアクラフト社を設立。1928年に水陸両用の飛行艇に成功して、彼の名は全米に知れ渡ります。そして、1939年に長年の夢であったシングルローターのヘリコプターをロープで繋いだ状態で飛ばし、翌1940年には自由飛行に成功します。このヘリコプターは米軍の軍用機として活躍し、大戦後に製品化したヘリコプターは、世界中で普及することになりました。

イゴール・シコルフスキーの発想の原点は、1480年代後半に描かれたダ・ヴィンチのヘリコプター(エアスクリュー)のスケッチにあります。レオナルド・ダ・ヴィンチが、いかに天才かよく分かりますね。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょうか?

●コンパクトSUVのパイオニア、スズキ・エスクードがデビュー

1988(昭和63)年5月25日、スズキのコンパクトSUVエスクード」がデビューしました。軽自動車のオフロード4WDとして人気が定着していた「ジムニー」の上のクラス、都会的な小型SUVとして開発されたのがエスクードでした。

1988年にデビューしたエスクード(ハードトップ) (C)Creative Commons
1988年にデビューしたエスクード(ハードトップ) (C)Creative Commons
1988年にデビューしたエアスクード(コンバーチブル)
1988年にデビューしたエスクード(コンバーチブル)

エスクードの基本的なメカニズムやシャシーは、ジムニーのノウハウを生かして開発。頑強なラダーフレーム構造ですが、フラッシュサーフェイス化したボディの前後にブリスターフェンダーを装着し、オフロード車の武骨さを極力なくして乗用車感覚の都会派をアピールするように構成されました。パワートレインは1.6L直4 SOHCエンジンに、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。4WDはトランスミッションと2速のトランスファーを一体構造にしたセンタースルー方式が採用されました。

1986年にデビューした2代目ジムニー (JA71)
1986年にデビューした2代目ジムニー (JA71)

エスクードは当初は好調な販売を記録しましたが、1990年代に多くのライバル車が登場すると、その存在は徐々に目立たぬものとなります。とはいえ一大カテゴリーとなった都会派ライトSUVのパイオニアという役割は非常に画期的でした。現行モデルの4代目はハンガリー生産となり、最近ハイブリッドモデルも追加されましたね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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