■手の届きやすい200万円台前半の車両価格を目指す
2021年5月、イタリアでスズキのコンセプトモデル「Misano(ミサノ)」が突如公開され、大きな注目を集めました。
同車は乗員席をタンデム仕様(縦一列配置)とするなど、4輪車と2輪車双方を手掛けるスズキならではの仕様で、バイク風のウインドシールドガラスやスズキをイメージしたS字に発光するLEDヘッドライト、後席背後に設けられたロールバー、大径のOZ製アロイホイールなどが特徴となっています。
スズキのデザインセンターとIED(Istituto Europeo di Design)が半年間ほどで完成させたモデルで、その外観はエンジンを車両後方に搭載したミッドシップモデルを連想させます。
車両サイズは全長4,000mm、全幅1,750mm、全高1,000mmでホイールベースが2,600mmとほぼスイフトクラス。
一方、同年12月には、トヨタ自動車が「バッテリーEV戦略に関する説明会」で突如、ひときわ存在感を放つイエローカラーを纏った「SPORT EV(スポーツEV)」を公開。
同車はその名が示すとおり、EV前提モデルですが、その外観はやはりミッドシップタイプで、同社がかねてから復活を目指しているとされる次期「MR2」を彷彿させます。
●トヨタ開発のミッドシップ用プラットフォームがベース
そうしたなか、巷で囁かれているのがトヨタ、ダイハツ、スズキ3社共同による新型ミッドシップスポーツカー開発に関する噂。
販売台数が限られるスポーツカーにおいては、トヨタ「スープラ」や「GR86」がそうであるように、他社と共同開発することによりコストダウンを図るのが一般的。
自動車メーカーがそうまでしてスポーツカーを開発する背景には、若者のクルマ離れが進むなか、各社が生き残りをかけて「クルマ好き」の裾野を広げる目的があるとみられます。
同プロジェクトではトヨタ自動車がヤリス用「GA-B」プラットフォームのフロントサスを活用してAピラー以降を新設。ミッドシップ用プラットフォームを開発する模様で、これをベースに3社が独自デザインのアッパーボディを被せるという大掛かりな計画のようです。
スズキが得意とする軽量化技術に加え、ダイハツがコペンで培った樹脂外板技術を活かすようで、エンジン開発はスズキが主導するなど、各社の得意分野を持ち寄る模様。
実はダイハツもスポーツカー開発の歴史は古く、1991年の東京モーターショーで公開された童夢との共同開発によるコンセプトカー、ダイハツ「X-021」が存在します。
車両サイズは全長3,585mm、全幅1,660mm、全高1,150mm、ホイールベース2,250mmで、1.6L直4エンジン(140ps/15.8kgm)を搭載する5MT仕様のスポーツカーでした。
専用のアルミ製スペースフレーム採用などで車重を僅か700kgに抑えるなど、本格派のライトウエイト・スポーツでしたが、バブル崩壊のあおりを受けて発売に至らなかった経緯があります。
現在においても、世界的にエンジン車への風当たりが厳しくなりつつあるなか、あえて1.0Lクラスの小排気量ターボエンジンにモーターを加えたマイルドHV仕様で各国の規制クリアに挑戦する模様で、カーボンニュートラルを意識しつつ、手の届きやすい200万円台前半の車両価格を実現しようとする今回のプロジェクト。
2025年予想のミッドシップ・スポーツカー発売に向けた、今後の3社のチームワークに期待が高まります。
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