2025年発売?トヨタ、ダイハツ、スズキが3社共同で軽量ミッドシップモデルを開発か

■手の届きやすい200万円台前半の車両価格を目指す

スズキが公開したコンセプトカー「ミサノ」

2021年5月、イタリアでスズキのコンセプトモデル「Misano(ミサノ)」が突如公開され、大きな注目を集めました。

同車は乗員席をタンデム仕様(縦一列配置)とするなど、4輪車と2輪車双方を手掛けるスズキならではの仕様で、バイク風のウインドシールドガラスやスズキをイメージしたS字に発光するLEDヘッドライト、後席背後に設けられたロールバー、大径のOZ製アロイホイールなどが特徴となっています。

スズキが公開したコンセプトカー「ミサノ」

スズキのデザインセンターとIED(Istituto Europeo di Design)が半年間ほどで完成させたモデルで、その外観はエンジンを車両後方に搭載したミッドシップモデルを連想させます。

スズキが公開したコンセプトカー「ミサノ」

車両サイズは全長4,000mm、全幅1,750mm、全高1,000mmでホイールベースが2,600mmとほぼスイフトクラス。

一方、同年12月には、トヨタ自動車が「バッテリーEV戦略に関する説明会」で突如、ひときわ存在感を放つイエローカラーを纏った「SPORT EV(スポーツEV)」を公開。

同車はその名が示すとおり、EV前提モデルですが、その外観はやはりミッドシップタイプで、同社がかねてから復活を目指しているとされる次期「MR2」を彷彿させます。

●トヨタ開発のミッドシップ用プラットフォームがベース

そうしたなか、巷で囁かれているのがトヨタ、ダイハツ、スズキ3社共同による新型ミッドシップスポーツカー開発に関する噂。

販売台数が限られるスポーツカーにおいては、トヨタ「スープラ」や「GR86」がそうであるように、他社と共同開発することによりコストダウンを図るのが一般的。

自動車メーカーがそうまでしてスポーツカーを開発する背景には、若者のクルマ離れが進むなか、各社が生き残りをかけて「クルマ好き」の裾野を広げる目的があるとみられます。

次期トヨタ「MR2」を連想させるEVコンセプトカー(筆者予想含む)

同プロジェクトではトヨタ自動車がヤリス用「GA-B」プラットフォームのフロントサスを活用してAピラー以降を新設。ミッドシップ用プラットフォームを開発する模様で、これをベースに3社が独自デザインのアッパーボディを被せるという大掛かりな計画のようです。

スズキが得意とする軽量化技術に加え、ダイハツがコペンで培った樹脂外板技術を活かすようで、エンジン開発はスズキが主導するなど、各社の得意分野を持ち寄る模様。

ダイハツのコンセプトカー「X-021」

実はダイハツもスポーツカー開発の歴史は古く、1991年の東京モーターショーで公開された童夢との共同開発によるコンセプトカー、ダイハツ「X-021」が存在します。

ダイハツのコンセプトカー「X-021」

車両サイズは全長3,585mm、全幅1,660mm、全高1,150mm、ホイールベース2,250mmで、1.6L直4エンジン(140ps/15.8kgm)を搭載する5MT仕様のスポーツカーでした。

1.6L直4エンジンを搭載するダイハツ「X-021」

専用のアルミ製スペースフレーム採用などで車重を僅か700kgに抑えるなど、本格派のライトウエイト・スポーツでしたが、バブル崩壊のあおりを受けて発売に至らなかった経緯があります。

現在においても、世界的にエンジン車への風当たりが厳しくなりつつあるなか、あえて1.0Lクラスの小排気量ターボエンジンにモーターを加えたマイルドHV仕様で各国の規制クリアに挑戦する模様で、カーボンニュートラルを意識しつつ、手の届きやすい200万円台前半の車両価格を実現しようとする今回のプロジェクト。

2025年予想のミッドシップ・スポーツカー発売に向けた、今後の3社のチームワークに期待が高まります。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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