日本ミシュランタイヤが積層造形技術の普及と発展を目指し「ミシュラン AMアトリエ」を開設 

■タイヤを超えて3Dプリンティングの技術普及を狙う

日本ミシュランタイヤは、2023年8月までに本社を東京新宿区から群馬県太田市のミシュランタイヤ太田サイトに移転するとアナウンス済みです。同社は2022年4月15日、ミシュランタイヤ太田サイト内に「ミシュラン AMアトリエ」を開設しました。

日本ミシュランタイヤ
「ミシュラン AMアトリエ」のイメージ

ミシュラン AMアトリエは、積層造形技術(Additive Manufacturing:アディティブ・マニュファクチャリング、以下AM、AM技術)の普及と発展を目的とした最新の施設。ミシュランの合弁会社であるAddUp(アダップ)社製の金属積層造形装置(金属3Dプリンター)2台が設置されています。

革新的なイノベーションを牽引する創造的拠点として、群馬積層造形プラットフォーム(以下GAM)や産官学と連携し、群馬県から次世代に波及するサービスやソリューションを展開するとしています。

日本ミシュランタイヤ
人工衛星のソーラーパネル展開用ヒンジのイメージ。一体成型により軽量化と耐久性を向上できる

この積層造形とは、立体物を輪切りにした断面データをもとに、樹脂や粉体などの薄い層を積み重ねて立体物を製作する技術のことです。

3Dプリンティング、付加製造、AM(Additive Manufacturing:アディティブ・マニュファクチャリング)とも呼ばれていて、複雑な形状が自由に成形できることから、航空宇宙産業や自動車産業、医療分野などに幅広く適用されています。金属積層造形のビジネス展開は、欧米ではすでに始まっていて、ミシュランもその一翼を担っているそうです。

日本ミシュランタイヤと群馬県下の有志企業は、2021年7月に次世代イノベーションを担うオープンプラットフォームとなる「GAM」を立ち上げています。「AM」技術の教育プログラムを実施するなど技術者の育成を推進してきました。

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「ミシュラン AMアトリエ」のコミュニケーションスペース

今回のミシュラン AMアトリエの開所によって、GAM参加企業は、金属積層造形の試作を実際に行えるようになります。「AM」技術の実用化のためのコンサル、メンバーサロンの開催、共同研究開発、メンバーサロンで培われた知見の共有などを通じて、GAM参加企業をさらに増やしたいとしています。群馬県太田市から金属積層造形という新しい技術の開花、普及を目指す構えです。

また、ミシュランは同アトリエで、群馬県をはじめとした行政との連携、大学やコミュニティに対する教育プログラムの提供など、「AM」技術に関する次世代への啓蒙、普及活動も担う予定。

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開所式テープカットに参加した群馬県の山本一太知事や日本ミシュランタイヤの須藤 元社長

ミシュランといえば、誰しもがタイヤを思い浮かべるはずですが、今回新設されたミシュラン AMアトリエは、そのタイヤを超越し、新たなイノベーションを生み出す拠点と位置づけられています。

塚田勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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