旧車のH4バルブをLEDヘッドライトへと交換のススメ!バッテリーに優しく、アイドリングでも十分な明るさを確保、見た目も違和感なし

■古いクルマにLEDライトが必要であると言える訳とは?

「プレシャス・レイ X」を装着した日産フィガロ
「プレシャス・レイ X」を装着した日産フィガロ

●旧車の悩みはまず電気系から…

昔のクルマは個性があってよかった、今のクルマは面白みに欠けるよね…耳にタコができすぎるくらい一般的になっていますが、実際に所有、維持するには気持ちと財布に余裕が必要です。

旧車にとってのいくつかの弱点のうち、ほぼ共通するのがバッテリーの心配ではないでしょうか。普段乗ることが少ないパターンも多く、いざというときにセルが回らない、なんてことを経験した人も多いはずです。

オルタネーターの発電量が十分でなかったり、バッテリーそのものが弱っていたり、根本的原因はいろいろ考えられますが、旧車にとっての大きな消費電力の電気製品を見直すのも、不安材料のひとつを小さくしてくれるのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが、ヘッドライトのLEDバルブへの交換です。

御存知の通り、昭和40年代くらいまではシールドビームという、ライトが切れると反射板ごと交換するタイプのものでしたが、つい最近までのヘッドライトにはほとんどがH4規格のハロゲンバルブが使用されてきました。そのH4バルブをLEDに換えることで、消費電力を抑え、明るい視界を得るという理想的な「ライトチューン」であることは間違いありません。

今回テストに供した車両は日産フィガロ。バブル期のパイクカーの代表選手ですが、各部の作り込みはスイッチひとつひとつにも流用部品を極力使用しない一品物を制作するあたりからも、当時のこだわりっぷりが見て取れる一台です。中古相場も最高額で500万円などとメチャクチャに高騰しています。

そんなフィガロのヘッドライトはやはりH4バルブです。エンジンをかけ、ヘッドライトを付けるとボワーンとした黄色っぽいオレンジのような光が灯ります。普段乗っていないこともあるせいか、アクセルを空ぶかしさせるだけで明るさが変化します。街灯のない暗い夜道ではちょっと不安な明るさです。

●LEDバルブはバルブ形状と色温度(ケルビン)で選ぶ

ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4)
ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4)
ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4)
ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4)

そのフィガロのH4ヘッドライトバルブと交換したのは、まずひとつ目がベロフのLEDヘッド&フォグランプバルブ「プレシャス・レイ X」。ベロフブランドでの最新鋭の交換用LEDバルブです。

「プレシャス・レイ X」は、ドライバーユニットを内蔵しハロゲンバルブに極力近づけたサイズとしながら、十分以上の明るさを確保したのが特徴。バルブ取付面にフラットな部分があるのは、そこを反射板のひとつとして考え、正確な配光とするための設計となっているそうです。

バルブの明るさはロービーム4600ルーメン、H4バルブのハイビーム側は5000ルーメン、12V・24V車対応で、一般的なH4バルブ車なら乗用車だけでなく、軽自動車やトラックなど幅広い車両に装着可能です。

LEDバルブはハロゲンバルブの約2.5倍以上の明るさを発揮し、バルブ先端から後端までアルミニウムで成形。LEDは熱くならないと思われがちですが、それは発光する光がほとんど熱を感じさせないのであって、実は電気系ユニット部分は意外と熱を発します。この熱がLEDそのものの寿命に影響してくるため、バルブ本体と一体となった防塵・防水IP65仕様の高速ファンで風を当て、確実に冷却させることで10,000時間の長寿命を実現したといいます。この小さなバルブの根元部分にファンが入っているのです。

また、アイドリングストップ車や電圧の変化しやすいハイブリッド車でも、カプラーオンで交換使用可能としています。また製品は2年保証付きです。

そして、もうひとつテストしてみます。

旧車をLEDにする際、気になるのがそのライトのカラーです。一般にLEDヘッドライトは色温度6500K程度の白っぽい光が明るさや見た目の点で好まれますが、旧車の場合、オリジナルに近いオレンジっぽい光がその旧車の顔として維持したい…、そんな思いのオーナーも多いでしょう。

ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4/4500ケルビン)
ベロフ「プレシャス・レイ Z」(H4/4500ケルビン)
ベロフ「プレシャス・レイ X」(H4/4500ケルビン)
ベロフ「プレシャス・レイ Z」(H4/4500ケルビン)

そこで、もうひとつ用意したのが、ベロフ「プレシャス・レイ Z」。「プレシャス・レイ Z」は、バルブサイズを極力ハロゲンバルブに近づけることで、ハロゲンバルブを交換する感覚でLEDバルブにアップグレードする製品です。

バルブの明るさはロービーム3200ルーメン、H4バルブのハイビーム側は3600ルーメンで、これはもちろんハロゲンバルブを上回ります。「プレシャス・レイ Z」は「プレシャス・レイ X」よりさらに小さなボディ内部に冷却ファン、点灯ユニットを内蔵することで取り付けの簡単さ、安定した光と寿命を実現させています。12ボルト車、24ボルト、アイドリングストップ車、電圧の変化しやすいハイブリッド・EV車両でも使用できるような設計です。バルブ形状はH4、HB3/HB4/HIR2、H8/H9/H11/H16、H7の4形状をラインアップ。

色温度では、「見やすさを重視した4500ケルビン」と「純白さと明るさを重視した6500ケルビン」の2色ですが、今回は旧車にも似合いそうな4500ケルビンでテストしています。

●ハロゲン→LEDへの交換はバルブ交換と同じ感覚でカプラーオン

ハロゲン→LEDへのバルブ交換は、球切れした際のバルブ交換とまったく同じです。今回は右側のライトはエンジンルーム内の他の機材がなにも影響すること無く作業可能でしたが、左側はラジエターのリザーバタンクを少し外してずらすと作業が楽になりました。このへんは車種によって異なってくる部分ですが、一般的に旧車は楽に行えることが多いでしょう。

基本的な手順は、ライトユニット後ろ側にある配線カプラーを抜き、雨除けのための防水ゴムを外し、バルブを固定するためのバネを外すことでバルブは外せます。取り付けはこの逆を行うだけです。

さて、気になるその表情を見てみましょう。

6500ケルビンの「プレシャス X」は流石にフィガロの表情をガラリと変えてくれます。個人的にはむしろ似合っていると思いました。フィガロが発表されたのが1989年で発売が1991年。この時点でクラシカルな雰囲気を出しまくっていたわけですが、ヘッドライトが白くなることで、見慣れてはないものの、クラシカルを現代風に蘇らせるというコンセプトには、逆にあっているような気もします。

4500ケルビンの「プレシャス Z」のほうは、ちょうど「黄色さ」としてはハロゲンバルブとLEDバルブの中間くらい。なにも言われないと、元々のフィガロの表情と変わりなく気付かれないのでは?と思われます。デビュー当時の表情をなるべく変えたくない、というオーナーにもおすすめできます。

では、その明るさを見てみます。

流石に「プレシャス・レイ X」の明るさは圧倒的。白い光がどこまで照らしているのかわかりやすく、夜間のドライブを楽にしてくれそうです。また、「プレシャス・レイ Z」でも、純正ハロゲンと比べると一目瞭然の明るさ。照射部分にムラや暗い明るい部分の差がなくなっているのがわかります。いずれも、アクセルの開度による明るさの変化はハロゲンに比べほとんどなくなりました。

大事に乗りたい、絶対にぶつけたくない、愛情たっぷりに注ぎ込んだ旧車には、夜間ドライブのための明るい視界を確保してあげたいものです。快適装備がない車種も多いでしょうから、夜間ドライブを楽にするという意味では、LEDヘッドライトへの交換は、快適装備を追加することができるともいえるのではないでしょうか。

絶滅危惧種の希少車に乗っているなら、文化遺産保護の観点からもLEDバルブへの交換を強くおすすめします!

●日産フィガロ

(文:clicccar編集長 小林和久)

※ヘッドライトバルブを交換したら、ハロゲンバルブ、LEDに限らず光軸のチェックをお願いします。

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
続きを見る
閉じる