■跳ね馬のバッジを付けたロードカー初のV6エンジンを搭載
2021年10月13日、フェラーリジャパンは、新ミッド・リアエンジンスポーツカーのフェラーリ296GTBを国内初公開しました。この296GTBは7月にイタリア・モデナで開催されたイベントで世界初公開され、わずか3ヵ月後に日本での公開となりました。
296GTBの名前はエンジンの総排気量2992ccとV型6気筒エンジンの296にグランツーリスモ・ベルリネッタの頭文字であるGTBを組み合わせたものです。
296GTBはドライバーが運転する楽しさやドライビング中に感動を味わえるようなクルマを追求して、革新的なパワートレイン、高いパフォーマンスを発揮するためのハイブリッドシステムとエアロダイナミクス。そして、敏捷性や操作に対する鋭いレスポンスが特徴です。
まずは革新的なパワートレインから。296GTBには、フェラーリのロードカーとして、初めてシリンダーのバンク角が120度のV型6気筒ターボエンジンを搭載。エンジンのみで、最高出力663psを発生します。
このV6ターボエンジンの後方に、最高出力167psを発生するMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)と呼ばれる電気モーターを搭載したプラグインハイブリッドシステム(PHEV)を採用。システム最高出力は830ps、最大トルク740Nmを発生します。駆動方式は同じPHEVのSF90ストラダーレが4WDなのに対して、296GTBは後輪駆動の2WDです。
パワートレインを構成するのは、V型6気筒ターボエンジンをはじめ、8速DCTのトランスミッション。およびEデフ、そしてエンジンとトランスミッションの間に位置するMGU-Kというモーターです。そして、エンジンとモーターはトランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)というクラッチによって切り離したり、同時に利用したりすることが可能です。
296GTBは伝統的なマネッティーノに加えて、パワーマネージメントを行うeマネッティーノというセレクターを装備しています。eマネッティーノには4つのポジションがあり、デフォルトのHybridモードをはじめ、エンジンが常に稼働して、いつでもフルパワーを発揮できるperformance。バッテリーの再充電を抑えて、最大のパフォーマンスを発揮するQualify。そしてクラッチによってエンジンとモーターが切り離され、電気のみを使うeDriveモードでは、満充電時のEV航続走行距離は25km。最高速度は時速135km/hとなります。
続いてエアロダイナミクスです。296GTBの外観デザインのうち、フロントで特徴的な空力アイテムがナンバープレート下部にある「ティートレイ」です。このティートレイによってフロント・アクスルに大きなダウンフォースがかかります。
さらに、フロントサイドのボリュームは内側へと鋭く折れて、サイド・スプリッターへと折れ曲がるかのよう見えます。これらによって生まれた空間により、バンパー下部に流れる気流を最大化。さらにサイド・スプリッターにぶつかる気流の力を最大限に活用するために、タイヤ前方のバンパーの端には翼端板を装着しています。
リアにはアクティブ・スポイラーを採用。この可動式リア・スポイラーは左右のテールレンズの間に内蔵され、バンパーのデザインとシームレスに一体化しています。このスポイラーが伸展すると、その他のエアロパーツとの相乗効果により、リア・アクスルにかかるダウンフォースは100kg増加。ドライビング中による操作性が高まるとともに、ブレーキング時の制動距離を短くできます。これをF8トリブートと比べると、296GTBは200-0km/hの制動距離を8.8%短縮。200km/hから繰り返しブレーキングした際の制動効率は24%向上しています。
296GTBのボディサイズは全長4565mm×全幅1958mm×全高1187mmと過去10年間に登場したモデルの中で最もコンパクト。そのうえホイールベースはこれまでのミッドシップモデルに比べて50mm短縮されたこと。また、新開発のV6ターボエンジンは従来のV8エンジンより30kg軽量化され、296GTBの車両重量は1470kgとなったことで、より動的俊敏性が高まっています。
「走りの楽しさを定義する」と銘打った新世代フェラーリ、296GTBの車両本体価格は3678万円から。さらに、296GTBには大幅な軽量化やエアロパーツが施されたアセットフィオラノパッケージも用意されていて、296GTBのパワーとパフォーマンスを最大限味わいたいオーナーにオススメです。
(文・写真:萩原 文博)
【関連リンク】
フェラーリジャパン・296GTB
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/296-gtb