クルマ好きの鏡!総裁選出馬の高市早苗さんに22年も愛されたトヨタ・スープラ(A70型)はこんなクルマ!

■フェアレディZと280馬力を競った絶頂期のスポーツカー!

●落選しても車内で聞いたB’zが励ましてくれた!

高市早苗議員はスープラファンだった!
高市早苗議員(内閣広報室提供)

自民党総裁選挙が熱を帯びてきましたが、その立候補者の一人である高市早苗議員(前総務大臣)が、22年間もトヨタスープラに乗っていたとメディアが報じています。

記事によれば高市議員は「とんがったクルマ」がお好きで、働いて貯めたお金で初めて買った新車がスープラだったとのこと。選挙に出馬した際はこのクルマで選挙区を走り回り、落選期間中は車内でB’zを聴いて自分を励ましたそうです。

高市早苗議員はスープラファンだった!
トヨタA70型スープラ(GAZOO復刻カタログより抜粋)

その後、視力の衰えやエコカーブームなどによりスープラは廃車扱いになってしまうのですが(※おそらく登録抹消手続きのこと:筆者注)、高市議員は「愛していてどうしても捨てられない」と、地元奈良県の整備工場にクルマを預けて、時々会いに行っていたのだとか。クルマ好きとしては、なんとも共感する話ではありませんか!

自民党総裁候補にそれほどまでに愛されたスープラとはどんなクルマだったのか、ちょっと解説しましょう。

●セリカXX(ダブル・エックス)がスープラへ

トヨタA70型スープラ(GAZOO復刻カタログより抜粋)
トヨタA70型スープラ(GAZOO復刻カタログより抜粋)

スープラはもともと、「フェアレディZに対抗できる6気筒エンジンのクーペモデルがほしい」という北米の声に応えて生まれたセリカの上級モデルで、アメリカでは「セリカ・スープラ」と呼ばれていました。いっぽう日本では、1978年に生まれた初代と81年に登場した2代目はセリカXX(ダブルエックス)という名前で販売されたのですが、1986年に登場した3代目からはソアラとプラットフォームを共有する高級クーペとなり、車名もグローバルに「スープラ」と統一されました。これが高市議員の乗られていたA70型スープラです。

デビュー当初のラインナップは、2リッター6気筒SOHCの「G」と「S」、同DOHCの「GT」、2リッターDOHCツインターボの「GTツインターボ」、そして3リッター6気筒ターボを積む「3.0GTターボ」という構成。トップモデルの3.0GTターボは230ps/33.0kgmというスペックでした。

高市早苗議員はスープラファンだった!
トヨタA70型スープラ(GAZOO復刻カタログより抜粋)
高市早苗議員はスープラファンだった!
トヨタA70型スープラ(GAZOO復刻カタログより抜粋)

しかし、当時の日本車はパワーウォーズの真っ最中。1989年にZ32型日産フェアレディZが280psを達成すると、スープラも負けじと280psを発揮する2.5GTツインターボを投入し、熾烈なライバル競争を演じたのです。当時はこの2台以外にもスカイラインGT-R(R32型)やホンダNSX、三菱GTO、マツダ・ユーノスコスモといった280ps級のスポーツカーが群雄割拠し、クルマ好きにとっては天国のような時代。筆者も谷田部の最高速テストや筑波のタイムアタックと、取材に走り回った記憶があります。

高市議員のスープラですが、記事に掲載された写真から判断すると、3.0GTターボだと予想します。フロントバンパーの形状が変更されているので88年以降のモデルですが、3.0GTターボは90年夏に生産が終了するので、89年前後のモデルでしょうか。屋根にはサンルーフが見え、内装はワインレッドのモケット生地張りのようですね。

高市早苗議員はスープラファンだった!
走行5000kmという奇跡のようなA70 スープラはなんと998万円!(カーセンサーより)

ちなみに昨今の中古スポーツカーブームはこのA70スープラも飲み込んでおり、程度のいいものは1000万円近い価格で売られているようです。加えて日本は長く乗られたクルマに厳しく、登録13年目以降は自動車税が高くなる(1.5~2Lの場合3万9500円が4万5400円に、2.5~3Lの場合5万1000円が5万8600円に)仕組み。「昔あこがれたスポーツカーを手に入れよう!」と思ってもなかなか手が届かない状況となっているのは、なんとも寂しいことですね。

日本のスポーツカー史に残る名車に22年も乗り続けた高市議員。もしも自民党総裁となったら、そして、11年経過で自動車税、13年経過すると自動車重量税が重くなる税制をなんとかしてほしい! それにガソリンの税金に消費税を掛ける二重課税の見直しなどなど、日本を支える自動車産業の従事者、ドライバー、ファンの多くが幸せになる政策を打ち出してください!!

(文:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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