■電動化だけではない、究極のサステナビリティを目指したコンセプトカー
BMWは、ドイツ・ミュンヘンの「IAA MOBILITY 2021」において、EVコンセプトカーの「BMW i Vision Circular(ビジョン・サーキュラー)」を発表しました。全長約4mの同コンセプトカーは、100%の再生資源使用率と100%のリサイクルを目標を掲げたモデル。
このビジョンの実現には、BMWが提唱するサーキュラー・デザインの原則「Re:think」「Re:duce」「Re:use」「Re:cycle」が重要なカギを握っているそうです。二次アルミニウム(アルミニウム二次合金)や二次スチールなどの材料を廃棄物をリサイクルすることで獲得し、その後、再利用されます。
二次材料は、一次材料の製造時と比べて、環境への負荷やCO2の排出量が大幅に少なくなります。これにより、サプライチェーンにおいて、車両のカーボンフットプリントに大きな改善をもたらすことが可能になります。
現在、BMWグループの車両は、平均して約30%の再生材および再利用材を使用して製造されていますが、「セカンダリー・ファースト」のアプローチにより、徐々に50%まで高めることを目的として掲げています。
エクステリアは、究極の引き算の美学といえるほど、徹底的に無駄を省きながらBMW iシリーズの将来を示唆するデザインが与えられています。あらゆるコンポーネントがわずかなパーツで構成されていて、素材の数も最小限に抑えられています。シンプルで親しみやすく、自然由来の素材と美しい仕上げにより、モダンでラグジュアリーな仕立てになっています。
さらに、エクステリアにあえて塗装を使わず、二次アルミニウムにライトゴールドのアルマイト処理を施したボディが採用されているのも特徴。将来的には革新的なプロセスを用いて、塗装を必要としない表面処理が可能になることを示したそう。
ラグジュアリーな雰囲気を目指したというインテリアも環境に配慮された素材や生産プロセスを採用しています。適切な素材を使用するだけでなく、接着剤を使用しない新しい接合技術が使われています。廃棄物や端材を最小限にするために、すべての部品や材料は3Dプリンターなどを使って正確にフィットするように製造。なお余った材料は、材料のリサイクルに回されるそうです。
キャビンの基本的なカラーは、トープ色にグレーの要素を加えたもので、フロアとサイドトリムパネルにはライトミントグリーンのシェードが使用されています。また、前後シートに使われているトープ/バイオレット色とのコーディネートにより、モダンな雰囲気を醸し出しています。
また、エクステリアと同じアルマイト処理が施されたミスティックブロンズ色のゴールドブロンズメタルのアクセントも用意されています。インテリアには、ガラスルーフが採用され、フロントガラスを後方に配置することで、前席の乗員に開放的な印象を与えると同時に、小さな設置面積の中でも最大限の広さを感じることができます。
4つのシートは、家具のようなデザインが特色。フロントには、ヘッドレスト付きの2つの独立したラウンジのようなシートを用意。また、センターコンソールが廃されたことで、2列目乗員の足元に大きなスペースを確保。また、スリムなフロントシートの背面には、再生プラスチックが使われ、簡単に分解できるファスナーがあり、メタルとファブリックを簡単に分離、分別して再利用することができます。
同コンセプトカーはサブブランドの「BMW i」が付くことから、将来のBMW i3などを示唆するコンセプトカーという役割を担っていそうです。
(塚田 勝弘)