■ユーザーとオペレーター間の通話がよりクリアに、接続スピードも加速へ
自動車業界ではすっかりお馴染みになった「CASE」というキーワードは、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字から取った造語で、ダイムラーがパリモーターショーで初めて使ったとされています。
「CASE」のうち、「Connected(コネクティッド)」の分野でスズキ、SUBARU、ダイハツ、トヨタ、マツダの5社で新しい発表がありました。周知のとおり、いずれもトヨタと資本関係があります。
5社は、より安全で快適なコネクティッドサービスの早期提供を実現するため、次世代の車載通信機の技術仕様を共同で開発し、通信システムの共通化を推進することに合意しました。
現在、コネクティッド領域について、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AIなど、通信やデータ側の技術や事業が急速に発展、普及しています。一方で、車載通信機の開発は、各メーカーがそれぞれ取り組んでいることから、たとえば、遠隔操作機能など、同じコネクティッドサービスを提供する場合でも、各社ごとに異なるアプローチでリソースが投入され、開発が推進されているのが現状。
こうした状況において、安全で快適なコネクティッドサービスを早期に提供するためには、「つながるクルマ」の基本機能である車載通信機の開発を協調領域、アプリやサービス面での開発を自社領域と位置づけています。車載通信機の開発の効率化、加速化を実現することで、その共通基盤上でのアプリやサービス面での開発に、より各社が力を注ぐことが可能になると考えているそう。
今回は、トヨタが開発した車載通信機技術をベースに、スズキ、SUBARU、ダイハツ、マツダが保有する技術を盛り込みながら、クルマからネットワーク、車載通信機センターまでの接続仕様を共通化した次世代のコネクティッドカー向けのシステムを構築する予定としています。
これにより、車両と車載通信機センター間の通信品質がこれまで以上に安定し、ユーザーとオペレーター間の通話がよりクリアに、接続スピードもより速くなるなど、より快適なコネクティッドサービスが提供されます。
さらに、各社の開発工数を低減し、システム運用や機能追加を含むバージョンアップなどを簡素化することで、設備や人員などリソースの最適化を図っていくとしています。
ユーザーにとっては、「つながるクルマ」の機能がよりスムーズになり、費用の面でもよりお手軽に使えるようになるのが理想といえるでしょう。通信システムの共通化を進めるという合意の具体策については、今後注目になりそうです。
なお、上記5社は、今回合意された共同開発に対して、そのほかのパートナーとの連携についても、つねにオープンに検討するとしています。
(塚田 勝弘)