日本人初の快挙! 豊田章男社長が「2021 WORLD CAR PERSON OF THE YEAR」を受賞

■「もっといいクルマづくり」で世界に貢献

世界の新型車の中から最高の1台を選出する自動車賞「WCOTY」(WORLD CAR OF THE YEAR)の主催団体であるWCA(World Car Awards)が4月8日、トヨタ自動車の豊田章男社長が過去1年間に自動車業界において最も活躍した人物に贈られる「2021 WORLD CAR PERSON OF THE YEAR」を受賞したと発表しました。

2018年から始まった賞で、世界24か国86名の審査員投票で選出。日本人の受賞は今回が初めてとなります。

世界最大の自動車会社として、コロナ禍においても世界中で働く従業員の雇用を守りながら業績を上げたことや、未来技術の実証実検を行なう街「ウーブンシティ」実現に向けて取組んだこと、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)分野においてリーダーシップを発揮したこと、「GRヤリス」をはじめとする「もっといいクルマづくり」を進めてきたことなどが受賞理由となっています。

受賞にあたり、豊田社長は世界36万人のチームトヨタを代表して感謝の意を表明するとともに「今のトヨタがあるのは、世界中の全てのトヨタ従業員、販売店、サプライヤーの総力を結集した結果であり、この賞を“CAR PEOPLE OF THE YEAR”として受け取らせて頂きたいと思います」としています。

加えて、「トヨタの使命はすべての人に移動の自由を提供することであり、世界中の人々のため、地球のため、未来のため、自分以外の誰かのために、“幸せを量産する”こと」と説明。このメッセージからは「もっといいクルマづくり」における同社の基本理念が感じられます。

●「走りの違い」がわかる社長の誕生

豊田章男社長(64)は豊田章一郎名誉会長の長男で、慶應義塾大学を卒業後渡米。バブソン大学経営大学院修了後、米国の投資銀行で勤務し、28歳でトヨタ自動車に入社。入社後、生産管理や国内営業などを担当し、販売部門の改革に従事。1998年に「GAZOO.com」を立ち上げ、役員就任後は「GAZOO」や「G-BOOK」などの情報事業を推進します。

2009年に52歳で創業家である豊田家系の社長として就任しますが、リーマンショックや歴史的な円高、東日本大震災など、苦難の連続に直面。その際に先代までの拡大路線を是正したことが奏功し、2012年以降に業績がV字回復。2012年に自動車工業会会長に就任し、2015年には走りの質感を向上させた新プラットフォーム「TNGA」の採用を開始。

その後、2018年に史上初となる2度目の自動車工業会会長に就任し、2018年3月決算ではトヨタ史上最高益となる2.4兆円を達成しました。さらに2019年3月決算で日本企業として史上初となる30兆円の売上高を達成しています。

「MORIZO」のドライバーズネームを持つ豊田章男社長

一方、若い頃から「カーガイ」として知られている章男社長ですが、トヨタ自動車に入社後、当時のマスターテストドライバー(トップガン)に付いてドライビングの基礎から習得。

ラリーで活躍するトヨタ「GRヤリス」

現在も社長業のかたわら、「MORIZO(モリゾウ)」のドライバーズネームで自身の運転技量を磨き続けており、「走り」に長けた異例の自動車会社社長として新車開発を先導する姿は同社の社員のみならず、自動車業界に対しても影響力をもたらす存在となっています。

中でも「GRヤリス」はそうした背景に加え、世界の強豪が集うラリーへの参戦経験をベースに生み出されたクルマであり、MORIZOの息がかかった今後のスポーツモデル登場についても注目が集まります。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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