トヨタが迫力のワイドフェンダー&リヤウイング装備の「GRヤリスAP4」を公開!

■トヨタの製品企画開発部門「PP&D」が開発&設計

トヨタ「GRヤリス」のフロントビュー

トヨタ自動車のマニアックな技術陣がWRC(世界ラリー選手権)を勝ち抜くためにワンチームとなって開発した「GRヤリス」。

TMR(トミ・マキネン・レーシング)と共に一から開発を行った、TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」のオリジナルモデルです。

同車の開発では従来の手法と異なり、市販モデルをモータースポーツ用に仕立てるのではなく、モータースポーツに必要な要素を予め盛り込んだ車両を市販化するという逆転の発想が根底にあります。

トヨタ「GRヤリス」の1.6L直3ターボエンジン

新開発の小型軽量1.6L直3ターボエンジン(G16E-GTS型)を搭載。TNGAエンジンの高速燃焼コンセプトに加え、吸排気系の最適化により、3気筒エンジンとして世界最高レベルの出力(272ps/37.7kgm)を発生。

6速MT(iMT)との組み合わせにより、圧倒的な加速と心地良い回転数の伸びが感じられるエンジンに仕上げられており、そのパワーは新開発スポーツ4WDシステム“GR-FOUR”により、余すことなく全輪に伝えられます。

2020年9月4日に発売された「GRヤリス」は、愛知県の元町工場に導入した「GRファクトリー」と呼ばれるスポーツカーなどの少量生産に対応したベルトコンベアを用いないセル生産方式で生み出されています。

トヨタ「GRヤリスAP4」のリアルなCADレンダリング

今回、トヨタ自動車のオーストラリア部門が2021年3月にGAZOOレーシングからオーストラリアラリー選手権(ARC)に参戦するためのラリーカー「GRヤリスAP4」のレンダリングを公開しました。

大きく張り出した前後フェンダーや大型リヤウイング、ボンネット上に設けられた2か所の吸気口などが特長となっています。

■VR技術を駆使してエクステリアをデザイン

VRを活用したトヨタ「GRヤリスAP4」の開発風景

「GRヤリスAP4」はメルボルンに拠点を置くトヨタの製品企画開発部門「PP&D」(Product Planning and Development division)と、TGRA(トヨタ GAZOOレーシングオーストラリア)のラリーチーム代表で現地のラリータイトルを4度獲得したベテランラリードライバー、ニール・ベイツ氏率いる「NBM」(ニール・ベイツ・モータースポーツ)が共同開発しており、本年3月に開発をスタート。

トヨタ・オーストラリアのチーフデザイナーであるニック・ホジョス氏の主導のもと、VR(バーチャル・リアリティ)技術を駆使してエクステリアをデザインしたそうで、ラリーカーらしい迫力満点の造形を創出しています。

トヨタ「GRヤリス」の軽量ボディ構造

フロントフェンダー、フロント&リアバンパー、リアクォーターパネル、ボンネットベント、ミラーなどのコンポーネントの初期スケッチを作成後、デジタルデザインによってさらに煮詰めることで、ラリーカーとしての機能美を追求したそう。

NBMのニール・ベイツ氏は、これまで30年以上に渡って手掛けてきたラリーカー開発と異なり、ベースモデルがすでに完成度の高いプラットフォームや軽量なカーボンルーフ、アルミ製ドアに加え、軽量で強力な3気筒ターボエンジンやAWDなどを備えていることから、「GRヤリスAP4」は目を見張るほどのパフォーマンスと、レースへの対応力を誇るワールドクラスのAP4ラリーカーになるだろうとコメントしています。

トヨタ「GRヤリスAP4」のリアルなCADレンダリング

デビュー戦は2021年3月にオーストラリアの首都キャンベラで開幕予定で、ドライバーは2019年のオーストラリアラリー選手権において、1位と2位の戦績を持つハリー/ルイス・ベイツ兄弟。

両ドライバー用に2台の「GRヤリスAP4」が仕立てられるそうで、現行マシンにとって代わるトヨタのチームカラーを纏った「GRヤリスAP4」の登場に期待が高まります。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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