いよいよ開幕する2021シーズンの86/BRZレースはタイヤバトル必至!

■天候や路面温度で有利なタイヤは変わってくる

ナンバー付き車両でのワンメイクレースとしてはとてつもないエントリーのため、なんと3クラスもレースが設定されているTOYOTA GAZOO RACING 86/BRZ RACE。その開幕戦がいよいよ3月20日、ツインリンクもてぎから始まります。

近接バトルが激しい86/BRZレース
近接バトルが激しい86/BRZレース

ロールバーなどが装備された参戦ベース車両を購入したらシート、ホイール、タイヤ、ブレーキパッド以外ほとんどセッティングできる個所も少なく、その分ドライバーのテクニックがダイレクトに勝敗を左右するのが86/BRZレース、ということになりますが、最近は少し事情が違います。

服部尚貴選手のOTG DL 86
服部尚貴選手のOTG DL 86

特に最高峰のプロクラスともなれば、どこかで大きく差をつけなければ前に出ることは難しいといえます。どこで大きく差をつけてくるかといえば、一番手っ取り早いのはタイヤ。

レースの場合、特にプロドライバーであればタイヤメーカーがタイヤを供給してくれるようなタイアップ契約をしていると思われます。

手塚祐弥選手の CG ROBOT BRZ BS
手塚祐弥選手の CG ROBOT BRZ BS

86/BRZレースで使用できるタイヤは、公道走行が可能なラジアルタイヤの中から事務局が指定したタイヤを使います。

そして服部尚貴選手のOTG DL 86や、手塚祐弥選手の CG ROBOT BRZ BSなど、登録車名にタイヤメーカーが入っているものはタイヤメーカーとのタイアップで、シーズン途中にタイヤの銘柄を変えることはあり得ません。

しかし、路面温度や天候などでマッチングのいいタイヤ銘柄は変わってきます。2020年11月21日・22日に取材した2020シーズン最終戦のもてぎラウンドでは、低めの路面温度にマッチしていたのはダンロップタイヤでした。

●2020最終戦もてぎではステルスタイヤ?続出

86/BRZレースのタイヤについて、最終戦のプロクラス予選でブリヂストン勢のトップタイムを記録した手塚祐弥選手に話を伺いました。

ブリヂストン勢で予選トップだった手塚祐弥選手
ブリヂストン勢で予選トップだった手塚祐弥選手

「今回のもてぎではダンロップがマッチングがいいようですが、雨が降ればブリヂストンにも勝ち目があります。路面温度が高い時もブリヂストンが有利となることも多いです。ただしコース、路面温度や天候でマッチングがいいタイヤをそうではないタイヤで追いかけるというのはかなり難しいといえます」と語っていただきました。

その手塚選手、もてぎ戦ではポールポジションの坪井翔選手からわずか0.3秒差で予選6位となっていましたが、強豪ドライバーの多いブリヂストン勢の中でトップタイムという速さを見せています。

坪井翔選手の ネッツ東埼玉ワコーズED86
坪井翔選手の ネッツ東埼玉ワコーズED86

ポールポジションの坪井選手はダンロップタイヤで参戦。今回の最良マッチングといわれたダンロップタイヤで圧倒的な速さを見せていました。

脇阪 寿一選手の Owltech86
脇阪 寿一選手の Owltech86

86/BRZレースの参戦者の中には、タイヤメーカーのステッカーを貼っていないマシンもありました。貼っていないマシンでもエントリーリストには使用タイヤ銘柄が記載されている場合もありますが、脇阪寿一選手のマシンなど、エントリーリストにもタイヤ銘柄を記載していないマシンが見受けられます。

これらのマシンは、特に最終戦のもてぎではドライならダンロップ、雨ならブリヂストンと条件によって銘柄ごと変えてしまうことで、最良の状態でレースに臨もうという体制をとっているのです。

いわば走行直前までどのタイヤかわからないステルス状態と言えます。

唯一、走行性能に差をつけられるパーツであるタイヤ。そのタイヤ自体の性能向上は日に日に激化しており、またタイヤの運用にも様々な作戦があるという、まさに頭脳戦のフェイズもあるというのがTOYOTA GAZOO RACING 86/BRZ RACE。

開幕戦は3月20,21日にツインリンクもてぎで開催の『スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第1戦 もてぎスーパー耐久 5Hours Race』のサポートレースとして開催されます。

(写真・文:松永 和浩)

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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