■エンジン再始動の頻度が低くなり、静粛性も向上
以前お伝えしたように、発売から1ヵ月で2万44台の受注台数を獲得した日産ノート。街中、首都高速を走らせると、「売れるのは当然かも」と納得できる仕上がりになっています。「e-POWER」のみとなった新型は、先代ノートe-POWERと比べると、よりEV度合いが高まっているように感じられます。
発電を担うエンジンは、先代よりも再始動する頻度が低くなっていて、さらにエンジン再始動時の音や振動もより小さく感じられます。試乗したのは、4WDよりも先に投入されたFF。先代ノートe-POWERよりもトルクは10%、出力は6%引き上げられていて、期待どおりの瞬発力、そして高速域での伸びやかさも伝わってきます。
アクセルペダルの操作に対するレスポンスは鋭く、しかもピーキーな性格もないため扱いやすくなっています。新型ノートは、いわゆる「ワンペダル」をやめてアクセルペダルのオフだけでは停止せずに、減速後はクリープ状態になります。これにより、ガソリンエンジン車や従来のハイブリッド車などからの乗り替えでも違和感は少なく、発進、加速、減速、制動という流れがよりスムーズにできるはず。
また、街中から首都高にシーンを移すと、ボディ剛性の高さも実感できます。ロール剛性が高く、リヤの追従性も高いため、より運転しやすくなったのも好印象。さらに、前席の静粛性の高さも際立っています。後席はロードノイズなどが前席よりも比較的高めに感じられますが、先代ではやや大きめだった音・振動はかなり抑えられていて、全体的な静かさも一段と増しています。
後席足元の広さなど、ノートが誇る美点は新型にもしっかりと受け継がれていて、4人乗車でも狭苦しさは感じないでしょう。また、乗り心地も前席はフラットライドでありながら、足には十分なしなやかさもあり、大きな入力に対してのいなしも巧み。
後席は、首都高の大きな段差で上下にドスンと動くシーンもありましたが、ボディ剛性の恩恵は確かに抱かせます。給油できれば電欠の心配がなく、ボディの重量増や、キャビンやラゲッジへの浸食を抑えられるe-POWER。それでいながらモーター駆動の気持ちよさは、一度体感すると止められないという感触もあり、ファンが増えそうな仕上がりになっています。
(文:塚田 勝弘/写真:前田 惠介)