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■トヨタ悲願のミッドシップ・スポーツモデル復活
1999年から8年間に渡って販売されたトヨタのミッドシップ・スポーツカー、トヨタ「MR-S」ですが、その後のスポーツカー販売不振に伴い、後継モデルは14年目を迎える現在も途絶えたままとなっています。
同車はそもそも「将来のトヨタには従来の発想では考えられないようなひと味違った車種が必要」とする当時の豊田英二会長から命を受けた吉田明夫主査によって1984年に生み出された国産車初のミッドシップスポーツ「MR2(ミッドシップ・ラナバウト・2シーター)」に端を発します。
豊田章一郎社長(豊田章男氏の父)からの後押しもあり、後任の有馬和俊主査により「MR2」は1989年に2代目へと進化、1999年まで前/後期型を含め10年間に渡って販売されました。
トヨタでは現在も「ザ・スリー・ブラザース」と称するスポーツカー3兄弟(スープラ/セリカ/MR2)のラインナップ復活を目指している模様で、「スープラ」についてはすでにBMWとの共同開発により復活を遂げています。
残るは「セリカ」と「MR2」ですが、トヨタは両車の商標登録をすでに済ませおり、次に復活させるのがミッドシップモデルの「MR2」と予想されています。
●V6エンジンを搭載したハイブリッド・スポーツカーを提案
実はトヨタは2004年に開催されたジュネーヴ・モーターショーに、イタルデザインと共同開発したスタイリッシュなミッドシップ・スポーツ「ボルタ(Volta)」を出展しており、こうした経緯からも同社に脈々と息づくスポーツカー開発への熱い想いが感じとれます。
ちなみに「ボルタ」はハイブリッド方式のスポーツカーに関する研究の一環として開発されたコンセプトカーで、その車名は「ボルタの電堆(でんたい)」を考案、現在の乾電池などの基礎となったボルタ電池を発明したことで知られ、電圧の単位であるボルトにもその名を残している物理学者アレッサンドロ・ボルタに由来しているそうです。
まさにハイブリッド方式のスーパー・スポーツカーで、パワートレーンは当時のレクサス「RX400h」(日本ではハリアー)用の2MZ-FE型3.3L V6エンジン+モーター(フロント120KW/リヤ50KW)を流用。プロペラシャフトを持たない前/後輪独立モーターによる4輪駆動車。
横一列の3シーターでステアリングとペダルボードが左右にスライドするユニークな構造を採用。3人誰もがドライビング可能で、航続距離は約700km。最高出力は408psで最高速度は250km/h、0-100km/hは4.06秒。
●ミッドシップ・スポーツ後継モデルの仕様は?
今後の世界的な環境規制強化を考えると、ミッドシップ・スポーツモデルを復活させるには、「ボルタ」のようにトヨタが得意とするハイブリッドシステムを活用するのが早道なのかもしれません。
各種情報によると、後継モデルは新開発3.0L V6DOHCツインターボエンジン(400ps)+モーターのハイブリッド仕様となる可能性が高いようで、デビューは2025年あたりになる模様。ポルシェ718ケイマンなどとの競合を考慮すると車両価格は800~1,000万円クラスになりそう。
予想される需要規模から採算面での難しさが付き纏うスポーツカーですが、86(スバル)やスープラ(BMW)など、他社とのコラボによる開発実績を持つトヨタだけに、次期ミッドシップ・スポーツモデルにおいても実績が豊富なロータスなどと組む可能性も予想されます。今後の同社の動きが注目されます。
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