■次期トヨタ「MR2」の開発パートナーはスバルの可能性
「将来のトヨタには従来の発想では考えられないようなひと味違った車種が必要」とする当時の豊田英二会長から命を受けた吉田明夫主査によって1984年に生み出された国産車初のミッドシップスポーツ「MR2(ミッドシップ・ラナバウト・2シーター)」。
同車は豊田章一郎社長(豊田章男氏の父)からの後押しもあり、後任の有馬和俊主査により1989年に2代目へと進化、1999年まで前/後期型を含め10年間に渡って販売されました。
その後開発されたミッドシップモデルは車名を「MR-S(ミッドシップ・ラナバウト・スパイダー)」に改め、2007年までの8年間に渡って販売されましたが、スポーツカーの販売不振に伴い、後継モデルは途絶えたままとなっています。
しかしながらトヨタは現在も「ザ・スリー・ブラザース」と称するスポーツカー3兄弟(スープラ/セリカ/MR2)のラインナップ復活を目指しており、それが証拠に新たに「セリカ」や「MR2」の商標登録を済ませています。
スポーツカーは少量生産となることから、同社はBMWとの共同開発により、すでにFRモデル「スープラ」を復活させており、次に復活させるのがミッドシップ仕様の「MR2」という訳です。
次期「MR2」は86/BRZの開発実績からスバルとの共同開発が有力とされており、パワートレーンはハイブリッド仕様のターボ付き水平対向エンジン搭載が噂されています。
■スバル製3.5L「MMエンジン」を搭載したミッドシップモデルが存在!
昨年流出したとされるトヨタのミッドシップモデルの特許画像については意匠が見直される可能性が高く、スバルが1989年開催の東京モーターショーに参考出展したミッドシップモデル「ジオット・キャスピタ(Jiotto・Caspita)」なども今後のデザイン候補にあがる可能性があります。
ワコールの出資で設立されたジオット社が企画したもので、設計と車両製作を童夢が担当。1991年の市販化を目標にスバルと伊モトーリ・モデルニ社が共同開発したF1用スバル「MMエンジン」(3.5L水平対向12気筒)が搭載される予定でしたが、スバルのF1撤退により、エンジン調達が叶わず、代用エンジンの搭載を試みるも最終的にはバブル崩壊の余波を受けて市販化に至らず、幻のスーパーカーとして現在に至っています。
車体サイズは全長:4,534mm、全幅:1,996mm、全高:1,136mm、W/B:2,700mm、車両重量は1,240kgと軽量で、約30年を経た現在でもそのスタイリングは見応えがあります。
ちなみに当初搭載予定だった「スバルMM F12」こと、3.5L 4カム60バルブ仕様の水平対向12気筒エンジンは最高出力600ps(市販版:450ps)を発生したそうです。
おりしも本年3月には豊田章男社長がスバルの開発部門を訪問。 スバルがその際の様子を「SUBARU × TOYOTA いっしょに いいクルマつくろう!」と題した動画で紹介するなど、次期86/BRZやMR2などのスポーツモデル開発への意欲が窺える内容になっています。
数年後の登場が予想される次期「MR2」ですが、トヨタ・スバル両社の連携により、「ジオット・キャスピタ」で培ったミッドシップ用エンジン開発の知見を活かし、同車のようなインパクトの有る「MR2」の復活が期待されます。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA、JIOTTO)
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