■業界最多430車種以上に装着できるフローティング構造ナビ
2020年9月2日に発表されたパナソニックの「ストラーダ」では、業界初となる10V型有機ELディスプレイの搭載が最大のトピックス。
10V型有機ELディスプレイ搭載は、国内市販ルート向けAV一体型カーナビとして初もの(2020年8月26日現在、パナソニック オートモーティブ調べ)となります。
実際、デモ機と車載機のどちらでチェックしても、高精細で美しいのはもちろん、運転席や助手席の横から眺めても高い視認性が確認できました。また、有機ELパネルらしく、映像で黒いところは質感高く、「より黒く」映し出されていて、明るさと引き締まった色合いが印象的。
先述したように、注目の10V型モデルは色域が広く、色再現性の高い有機ELパネルの採用が最大の注目点。コントラスト比が高く、見る角度による輝度変化のないことによるもので、あらゆる角度から見やすい広視野角のディスプレイになっています。
しかも業界最多となる430車種以上に大画面ディスプレイを装着できるのも特徴で、新車のみならず、多くの既存車にも搭載できます。フローティング構造により、2DINサイズを超える大画面カーナビを幅広い車種に装着可能です。
なお、2016年の初代モデル(9V型)からディスプレイ本体のサイズを変えず、表示画面を10V型に拡大。新車、既販売車のいずれにも対応し、業界最多430車種以上に装着できるそう。
■薄型化、軽量化などにより耐振動性も強化
また、ディスプレイ表面の低反射(AGAR)フィルムや空気層をなくしたエアレス構造により、外光の反射による映り込みも抑制されます。車内環境での視認性を高め、地図情報がさらに見やすくなったのも朗報です。
自己発光方式の有機ELパネルにより、ディスプレイの厚さを約4.7mmに抑制。重量は従来比約30%減の約0.7 kgと軽量化も図られたことで、耐振動性の強化も図られています。バックライトが不要な有機ELパネルに加えて、外装フレームに軽量、高剛性なマグネシウムダイカストを採用。さらに、内部にハニカム構造を設けることで気になる強度も確保されたそう。
パネルを囲む枠の幅を極限まで狭くした狭額縁デザインとキャビンに浮遊する薄型ディスプレイが、インテリアの上質感に寄与します。
10V型有機ELディスプレイが搭載されているため、高画質を徹底的に享受したいものです。パナソニック自慢のブルーレイなどの映像メディアも、オプションカメラもHD高画質で表示されます。ブルーレイは、耐振・耐熱性に優れた車載専用光ピックアップが採用された自社開発の薄型ブルーレイプレーヤーを搭載(CN-F1X10BLDのみ)、過酷な車内環境でも安定したディスク再生を可能だそう。
ブルーレイソフトやレコーダーで録りためた高画質映像を気軽に車内で楽しめます。さらに、ブルーレイの映像をHD画質で後席モニターに出力することや、スマホなどのHDMI対応機器と接続し、動画配信サービスなどをカーナビ画面やモニター(別売のHD対応市販後席モニターが必要)にHD画質で出力することもできます。
音質面は、FLAC/WAVフォーマットのハイレゾ音源やブルーレイオーディオの再生対応に注目です。最大192kHz/24bitのハイレゾ音源を圧縮することなく再生できます。
CDなどそのほかの音源を高音質化し、再生する機能や音のプロのチューニングを楽しめる「音の匠」機能も搭載されています。高級オーディオに採用されるBBブランド32 bit D/Aコンバーターをはじめ、多くの高音質パーツを搭載し、車内でスタジオマスターサウンドを再現するなど、ハイスペック・ナビにふさわしい性能が与えられています。
また、「F1Xプレミアム10」専用の2カメラドライブレコーダー、リヤビューカメラ連携機能も用意。有機ELディスプレイ搭載モデルの専用オプションとして、別売の前後2カメラドライブレコーダー(CA-DR03HTD)とリヤビューカメラ(CY-RC500HD)が用意されています。HD-TVI接続により、従来よりも約2.6倍となる表示解像度、HD画質での表示に対応。
ナビ機能では、建物の形や道幅を緻密に描写した詳細地図で全国の市街地を100%カバーしたゼンリンの「全国市街地図」が搭載され、現在地の把握や目的地の特定がしやすく、見やすい地図になっています。
また、安全サポートの「リバースお知らせ機能」を新たに搭載。シフトレバーがリバースに入ると、「バックします」と音声でドライバーに通知されます。また、「バック方向表示機能」は別売のリヤカメラと連携して、後退時の進行方向をカーナビ画面に矢印で表示されます。ほかにも、高速道路、有料道路での逆走検知、警告なども用意されます。
渋滞回避では、交通情報システム「VICS WIDE」を活用した「スイテルート案内」機能を搭載。刻々と変わる道路状況に合わせて自動で最適なルートを再探索して案内されます。
そのほか、簡単に操作できるメニュー画面とスムーズな操作感を実現する「ダイレクトレスポンス」、目的地検索アプリや音声認識機能が利用できるスマホ連携も用意。また、WEBダウンロード無料地図更新最大3年分付きで、全地図更新は2023年12月15日(予定)までに1回更新できます。部分更新地図は、2023年12月15日(予定)までの最大3年間、2ヵ月に1回更新できます。
価格はいずれもオープン。市場想定価格(税込)は10V型ワイドでブルーレイ搭載の「CN-F1X10BLD」が21万円前後、10V型ワイドでブルーレイ未搭載の「CN-F1X10LD」が19万円前後、9V型ワイドの「CN-F1D9VD」が12万円前後となっています。
なお、有機ELパネルの搭載により価格アップ(コストアップ)は避けられないように感じられますが、2019年モデルと比べて、商品としては同等レベルの価格設定にされているのもうれしいポイントです。
(文/写真 塚田勝弘)