パンクの原因はタイヤだけじゃないって本当? 予防に効く4つの点検ポイント

■パンクの原因は大きく分けて4つある

タイヤの空気が少しづつ漏れ出してしまう現象をスローパンクチャー(パンク)と呼ぶ
タイヤの空気が少しづつ漏れ出してしまう現象をスローパンクチャー(パンク)と呼ぶ

タイヤの空気が少しづつ漏れ出してしまうスローパンクチャー(パンク)は、見た目では判断しづらく、いつの間にかタイヤが潰れて走行不能状態に陥ってしまうことも珍しくありません。

タイヤのパンクは、JAFの出動理由のなかでも常に上位を占めるトラブルで、その数は年間30万〜40万件にもおよびます。近年の車は格段に故障しづらくなりましたが、パンクは誰でも起こりうるトラブルと言えるでしょう。

パンクの予防には、タイヤの定期的な空気圧点検と状態確認が大切です。

ただし、パンクの原因はタイヤだけにあるとは限りません。見落とされがちな箇所を含めた、パンクの原因を調べてみました。

●原因1:タイヤの外傷

もっとも一般的なパンクの原因はタイヤの外傷です。

運が悪いとネジや釘を引いてしまうことも…
運が悪いとネジや釘を引いてしまうことも…

路上に落ちているクギやネジなどがタイヤの接地面(トレッド面)に突き刺さると、穴から少しずつ空気が漏れ出してしまいます。

異物を無理に引き抜かない限り、すぐに空気が抜けてしまうことは少ないので、トレッド面に異物が突き刺さったパンクは比較的対処しやすい症状と言えるでしょう。小さな穴ならパンク修理剤を使用すれば、同じタイヤを使い続けることもできます。

ただし、タイヤ側面(サイドウォール)のキズには注意が必要です。タイヤのサイドウォールはトレッド面に比べてゴムが薄いうえ、走行中は常にたわむので、わずかなキズでも次第に広がってくる恐れがあります。

よく起こるのは、縁石などにタイヤの側面をぶつけたり、擦りつけてしまう事例です。おまけにタイヤの側面は修理できないので、サイドウォールの損傷が原因で起こったパンクはタイヤを交換するしかありません。

●原因2:タイヤの経年劣化

長く使ったタイヤもパンクしやすくなります。ゴムで作られている車のタイヤは、直射日光に当たることで硬くなってヒビ割れしやすくなります。

とくにサイドウォールにできる、ホイールの周りを囲むようなヒビ割れには要注意です。

細かいヒビ割れなら大きな問題にはなりませんが、深いヒビ割れができると補強材の金属ワイヤーが湿気で錆びて脆くなり、ゆくゆくはタイヤの内側にまで亀裂が入って空気が漏れ出してしまいます。

使用開始から4~5年以上経つタイヤは、パンクしやすくなっていると思ってよいでしょう。

●原因3:ホイールの歪み

大きな衝撃が加わるとホイールが潰れたり歪んだりすることがある
大きな衝撃が加わるとホイールが潰れたり歪んだりすることがある

タイヤが強い衝撃を受けると、タイヤ自体に外傷はなくともホイールの方が潰れたり割れたりして空気が漏れ出すことがあります。

よくあるのは、高い速度のまま縁石や落石などを踏むケースです。車線はみ出し防止用に設置された突起状の「道路鋲(キャッツアイ)」にも注意しなければなりません。とくに、タイヤに対してホイール径が大きな車ほど衝撃で破損しやすい傾向にあります。

タイヤに強い衝撃が加わった直後はそのまま走り出さず、タイヤの状態に加えてホイールの状態も確認することが大切です。

●原因4:エアバルブの劣化

見落としがちなのが、タイヤの空気注入口(エアバルブ)の劣化です。あまり知られていませんが、エアバルブも定期交換が必要な部品です。

ゴム製のエアバルブは、長く使っていると亀裂が入りパンクの原因になります。丈夫な金属製のエアバルブでもゴム部品が劣化すると、そこから空気が漏れ出してしまいます。

また、エアバルブの中に備わる「バルブコア」の劣化もパンクの原因になります。バルブコアは空気が外に漏れ出さないための逆流防止弁のことで、自転車の「虫ゴム」にあたる部品です。

空気注入口に付いているキャップはただのフタなので、失くしたとしても空気が漏れ出すことはありません。ですが、キャップを取り付けずに走行すると、侵入した水やゴミがバルブコアを痛めてパンクのリスクを大きく引き上げてしまいます。

バルブコアは単体で交換できるのに対し、エアバルブ本体はホイールからタイヤを外さないと交換できないことも覚えておきましょう。

ゴム製エアバルブ本体や、金属製エアバルブのゴム部品の寿命は3年程度とされているので、タイヤを履き替えるタイミングで同時に交換しておくのがベストです。遅くともタイヤ交換2回につき1回は交換しておくとよいですね。

●パンク予防の基本は状態確認と空気圧点検

以上のように、パンクの原因はタイヤだけにあるとは限りません。タイヤ自体の状態確認に加え、ホイールやエアバルブの状態を確認したうえで、定期的に空気圧を点検しておけばパンクのリスクは最小限に抑えられます。

ですが、それでもパンクは起こります。パンクの恐ろしい点は、タイヤが潰れて走行できなくなることはもちろん、知らないうちに空気圧が低下して走行中にタイヤが破裂する恐れがあることです。

「タイヤバースト」と呼ばれるタイヤの破裂が走行中に起こると、車が操作不能に陥り、交通事故に発展する危険があります。

とくに高速道路ではタイヤバーストが起こりやすいうえ、タイヤに異常を感じてもすぐに停車させることができません。このことから、高速道路に乗る前の空気圧点検とタイヤ周りの確認がどれだけ重要かわかりますね。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])