ホンダの電動4輪車「モンパルML200」発表。体の不自由な人のための電動カートはスタンダードで32.8万円【今日は何の日?1月23日】

■安全に歩行速度で移動できる電動カート

2006年発売された電動カート「モンパルML200(デラックス)」
2006年発売された電動カート「モンパルML200(デラックス)」

2006(平成18)年1月23日、ホンダは「モンパルML1000」の後継となる「モンパルML200」を3月15日に発売することを発表しました。

モンパルは、体の不自由な人のために作り上げられた、歩行速度で安全・安心に移動できるスタイリッシュな新型電動カートです。


●電動カートは、歩行者とみなされる“みなし歩行者”

電動カート(電動車いす)は、モーターで走行する、大小4個の車輪の付いた車イスです。道路交通法上は「身障者用車いす」とされ、車体の大きさは長さ1200mm/幅700mm/高さ1200mm(ヘッドサポートを除いた部分の高さ)を超えないことが規定されています。

歩行者とみなされる“みなし歩行者”として定義されているために、運転免許は不要。公道では最高速度は時速6km/hで道路の右側(路側帯)や歩道の通行が義務付けられています。ちなみに時速6km/hは、一般的な成人の早歩きのペースです。

電動カートは、自分が操作して利用する「自操用」と、介助の負担を減らす「介助用」に分類され、モンパルは足腰が弱く歩行が不自由な方や、身体に障害があり歩行に障害をきたす方が歩行速度で移動できる自操用の電動カートです。

体が不自由な人が使うので簡単な操作で運転ができる、小回りが効いて安定感に優れる、バッテリー切れにならないようにある程度の長距離走行ができる、荷物を比較的多く積めることなどが求められます。

●ループハンドルで航続距離25kmを実現した初代モンバル

電動カートには「ジョイスティック型」と呼ばれ、ジョイスティックレバーを倒している間だけ、倒す方向に進むタイプもありますが、1999年に発売されたモンバルML100は、ハンドル型の電動カートでシニアカーとも呼ばれます。

1999年に発売された電動カート「モンパルML100」
1999年に発売された電動カート「モンパルML100」

モンバルML100は、後輪に大型タイヤを履き、サポート重視のシートなどを採用し、安心感と快適性を追求して開発され、全国の汎用商品取扱店、およびホンダ二輪販売店から販売されました。

全長1190mm/全幅680mm/全高1080mmのコンパクトなボディに、扱いやすいループハンドルを装備。電動システムは、24Vのブラシレスモーター(360W)と鉛電池(12V-35Ah)を2個搭載、家庭用100V電源によるフル充電の航続距離は、約25km(6km/hの平坦路)です。

●より扱いやすくコンパクトになったモンパルML200

モンパルML200は、スリムで取り回しに優れたスマートパッケージをコンセプトに改良。ML100よりも車幅を小さくしたコンパクトなボディの全長1190mm/全幅595mm/全高1045mmでした。

2006年発売された電動カート「モンパルML200(スタンダード)」
2006年発売された電動カート「モンパルML200(スタンダード)」

軽快でスリムなフォルムと、乗る人を守るしっかり感のあるU字型ピラーデザイン、さらに運転席から前輪の向きや動きが見やすいフロントフェンダー、扱いやすいループハンドルを採用。専用開発のサスペンションは、歩道のわずかな段差でもタイヤをしなやかに路面に接地させ、常に乗り心地の良い安定した走行を可能としています。

モンパルML200のループハンドルと大型操作パネル
モンパルML200のループハンドルと大型操作パネル

電動システムは、24Vの高出力ブラシレスモーター(430W)と制御弁式鉛電池(12V-25Ahまたは35Ah)を2個搭載。新しく開発された高効率制御システムの採用により、上り坂でもスピードの低下の少ない登坂力を実現し、家庭用100V電源によるフル充電の航続距離は、スタンダードが約16km、デラックスが約25km(6km/h、平坦路)です。

販売価格は、ML100の33.5万円に対して、ML200は32.8万円(スタンダード)/37.8万円(デラックス)に設定されました。


高齢者による交通事故が取り上げられることが多い昨今、免許返納後の車の代りとして電動カートが注目され、様々な形態の電動カートが登場しています。超小型モビリティとともに、電動カートも新たな足として活躍が期待されています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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