バッテリーの劣化で冬の朝のエンジン始動がヤバい! バッテリー性能を表すCCA値を測ってみた

■バッテリーは寒さに弱い

経年劣化したバッテリーは、けっこう突然ダウンします。それがよく起こるのが、冬の寒い日の朝。出かけたいのにエンジンがかからないというパターンです。

そう、それは冷え込んだ日の朝に突然起こります。

バッテリーは寒さに弱いのです。
バッテリーは寒さに弱いのです。

というのは、バッテリーって寒さに弱いんですね。なので、劣化してくると気温が下がったときに力を振り絞れなくなり、始動不良を起こします。実際は、うんともすんともいわないというわけじゃなく、「キュキュ……」ぐらいはいっても、セルを回しきれないというパターンも多いのではないでしょうか。

また、日が昇って暖かくなってくると始動できたりします。だから、それまでは大丈夫だったのに、冷え込んだ朝に突然始動不良を起こすことも多く、なかなか予測ができないんですね。

ところで、バッテリーの性能指標のひとつに、「CCA値」というのがあるのはご存じで しょうか?これをチェックすることで、バッテリーの劣化が把握できて、「そろそろ交換時期」という判断がしやすくなるのです。

●CCAは寒いときの始動能力の指標

バッテリーの始動能力はCCAという値を見るのがいいです。
バッテリーの始動能力はCCAという値を見るのがいいです

CCAというのは、「コールド・クランキング・アンペア」の略で、JIS規格では「マイナス18度の気温で放電していると、30秒後にバッテリー電圧が7.2Vになる電流値」と定められています。

ちょっとわかりにくいですが、要するに、この数字が大きければ、寒いところで30秒間、大きい電流を流すことができるというわけです。これは、EUやドイツの規格では若干違う数値だったりするようですが、ほとんど同じです。

で、バッテリーによってこの数値は異なり、大きいバッテリーだとCCA値も大きくなります。主要なバッテリー銘柄ではこの数値が公表されています。新品時はおおむねこの公表値のCCA値の性能を発揮しますが、劣化してくると最初の性能は出せなくなり、CCA値も下がってきます。テスターでCCAを測った値が新品時(公表値)からどれくらい下がったかで、バッテリーの劣化の度合いがわかるというわけなのです。

これは、ただ電圧を見るだけよりも、バッテリーのコンディションがよくわかる指標です。

量販店などでバッテリーチェックをやってくれる場合、単に電圧だけでなく、こういったCCA値もチェックしてくれることが多いでしょう。また、一般ユーザー向けにも、CCA値が測れるバッテリーテスターが、安いものでは数千円から売っています。

実際にマイナス18度にして30秒間、大電流を流して計測するわけはないですから、安いバッテリーテスターで測定するCCA値の精度や信頼性がどんなもんなのかわかりませんが、それでもある程度の目安にはなりそうです。

大自工業のMeltec ML-102というテスターを買ってみました。
大自工業のMeltec ML-102というテスターを買ってみました

というわけで、私もAmazonで1個買ってみました。もっと安いモデルもあったのですが、一応、日本の企業が出しているものを選んでみました。問題があったときのアフターケアとかが安心かな、と思ったからです。

購入したのは、「Meltec ML-102」というモデル。Amazonで6000円ちょっとでした。バッテリー電圧、CCA値だけでなく、始動電圧や充電電圧も測れます。

●CCA値の目安は70%以上

それでは、CCA値の測定をしましょう。

まず、バッテリーが開放型か密閉型かを選択し、次にバッテリーの規格を入力する必要があります。これはいくつかの方法があって、JIS規格の場合は型式「40B19」とかを入力すればOKです。私が使っているのは輸入品のバッテリーなので、CCAの公表値を入力する方法をとりました。使用しているバッテリーの銘柄によって設定方法が若干違うので、場合によっては調べる必要があります。

ちなみに、私が使っているバッテリーの場合、CCAは540だそうです。

CCA値は336でした
CCA値は336でした

設定して「決定」ボタンを押せば測定開始。購入から約4年経過しているこのバッテリーの現在のCCA値は?……336でした。

一応、緑の「OK」ランプが点灯しています
一応、緑の「OK」ランプが点灯しています

このテスターには「OK」「LOW」「✗」の3つの評価ランプが備えられていて、緑色の「OK」ランプが点灯しました。なお、CCA値の目安は公表値の70%以上というのが一般的で、70%を下まわったらそろそろ交換、というサインだそうです。ん……

336÷540=0.62。70%下まわってんじゃん。大丈夫なのか?

始動電圧は86.6V。「LOW」でした
始動電圧は86.6V。「LOW」でした

ちょっと不安なので、エンジン始動電圧も計測してみました。これは開放型か密閉型かを選択したあとモードを選択して、エンジンをスタートすればOK。

結果は8.66V。「LOW」評価が出てしまいました。やっぱり、バッテリーはちょっと弱っているっぽいですね。

今年は今のところ寒い朝でも始動できましたが、来年の冬までには交換したほうがよさそうです。

充電電圧は13.87V。これは「OK」でした
充電電圧は13.87V。これは「OK」でした

ちなみに、その後、充電電圧を計測したところ、こちらは「OK」評価が出たので、オルタネーターなどには問題はないようです。

●夏前と冬前にバッテリーをチェックしておきたい

バッテリー交換の年数は、2〜3年といわれることが多いようです。今回チェックしたバッテリーが約4年経過していることと、この際どい測定値から考えると、まずまず納得がいくところではないでしょうか。

車両を複数台持っていたり、DIYでチェックしたい人はテスターを買ってもいいかもしれません
車両を複数台持っていたり、DIYでチェックしたい人はテスターを買ってもいいかもしれません

ただ、バッテリーも安いものではありません。こういったCCA値が測れるテスターを使うと、バッテリーの劣化度がよりわかりやすくなるので、まだ元気なバッテリーなら、継続して使うという判断ができます。量販店などで測ってもらってもいいし、自分で安いテスターを買ってみてもいいでしょう。

特にバッテリーのトラブルが多くなるのは、真夏と真冬だそうです。夏前と冬前にはCCA値が測れるテスターでバッテリーのコンディションチェックをして、弱っていたら交換しておくことをおススメします。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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