FCAとPSAが合併して「ステランティス」が誕生【今日は何の日?1月16日】

■FCAとPSAの合併によって業界第4位の自動車メーカーが誕生

FCAとPSAが合併、新会社名はストランティスに(引用:FCA HP)
FCAとPSAが合併、新会社名はストランティスに(引用:FCA HP)

2021(令和3)年1月16日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ「FCA」とプジョー「グループPSA」が統合し、新たな企業グループ「ステランティス」が創設されました。

両社の合併によって、ステランティスは2022年の販売実績でトヨタ、フォルクスワーゲン、ルノー/日産自動車/三菱自動車連合に続いて、世界第4位の自動車メーカーとなったのです。

●フィアットが、クライスラーを傘下にしてFCA誕生

FCAは、イタリアを代表するフィアットが、2014年にクライスラーを傘下にして結成されました。FCAは、フィアットを中核にしてランチア、アルファ ロメオ、クライスラー、ジープなど、多彩な自動車メーカーで構成されています。

フィアットを中心にしたFCA(引用:FCA、クライスラー)
フィアットを中心にしたFCA(引用:FCA、クライスラー)

フィアットは、1899年に養蚕業を営んでいたジョバンニ・アニエッリを中心に9人の実業家によって創業。ドイツメーカーを追走して、イタリアを代表する自動車メーカーに成長していたフィアットですが、1970年代のオイルショックで一時的に経営危機となりましたが、1980年に発売した「パンダ」と1983年の「ウーノ」という小型車が大ヒットして立て直し、1990年代には完全復活しました。

一方のクライスラーは、米国“ビッグスリー”の一角として1970年代に全盛を極めました。ところが、1998年に経営悪化に陥り、ダイムラーベンツと合併しましたが、アライアンスの成果が出せないまま2007年に関係を解消。その後、2009年に事実上倒産してフィアットの傘下に入り、2014年にFCAグループの一員となったのです。

●プジョーが、シトロエンを傘下にしてグループPSA誕生

グループPSAは、フランスを代表するプジョーが、経営難に陥っていたシトロエンを1976年に傘下に収めることで結成されました。グループPSAは、プジョーを中核にしてシトロエン、オペル、ヴォクスホール、DSで構成されています。

プジョーを中心にしたPSAグループ(引用:PSA、シトロエンHP)
プジョーを中心にしたPSAグループ(引用:PSA、シトロエンHP)

プジョーの起源は、粉焼きや穀物製粉機、金属製造業などを行っていたプジョー一族ですが、自動車メーカーとしての創業は1896年です。最初の車は、1893年の「タイプ3」、その後の第1次世界大戦中には、戦車や飛行機のエンジンを製造。戦後になって本格的な車づくりに取り組み、1960年に「404」、1968年には上級モデルの「504」が人気を獲得し、フランスを代表する自動車メーカーへと成長しました。

一方のシトロエンは、アンドレ・シトロエンが特殊な歯車ダブルヘリカルギアの製造と砲弾の大量生産で成功した資金をもとに1919年に創業し、「タイプA/10CV」の発売を始めました。シトロエンの大きな成果は、欧州初の大量生産システムを導入し、低価格で高品質の車の供給を実現したことです。

そのシトロエンは、1976年に経営難に陥ってプジョーの傘下に収まりました。

●フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー/日産/三菱連合に続く世界第4位の自動車メーカー誕生

ステランティスは、ラテン語の「星たちとともに輝く」という意味です。新しい社名は、企業ブランドとしてグループ全体で共有しますが、フィアットやアルファ ロメオ、プジョー、シトロエン、オペルなど、全13ブランドの名称やロゴに変更はなく、引き続き使用するとのこと。

2022年の販売実績では、FCAとPSAを合わせると世界販売台数は約600万台で、トヨタ:1056万台、フォルクスワーゲン:826万台、ルノー/日産/三菱連合:618万台に続く世界4位となり、一大勢力のひとつになりました。

ちなみに5位はGM:594万台、6位フォード:423万台、7位現代自:394万台、8位ホンダ:369万台、9位スズキ:300万台、10位起亜自:290万台でした。


自動車メーカーの再編は、ステランティスの誕生である程度落ち着きそうです。ステランティスの誕生は、今後のカーボンニュートラル対応やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の開発のためには、中規模メーカーが単独では生き残れないことを示唆しています。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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