■熱く描かれていたキャノンボール企画!
お正月休み、どこへ走りに行く? ゼロヨン、コマ地図ラリー、初日の出、富士山詣もいいけれど、ここは過激にキャノンボールなんかいかがですか!? 今回紹介する記事はそんな提案から生まれた企画…ではありませんが、キャノンボールは漢気溢れるドライブ+αです。
80年代初期のOPTION誌では特に、キャノンボール企画が熱く描かれていました。
1回目は1981年6月創刊号、RE雨宮自動車・RX-7による本州縦断モノ。雨さん自らのドライブで、当時耐久性に関しては「???」と言われていたチューンドカーの可能性を魅せてくれました。2回目は1982年5月号で、東名高速ではなく国道1号線を使って東京・日本橋から大阪・梅田までの500kmオーバーを走破!
そして、今回紹介するのはOPTスタッフ自らのドライブにより、神奈川県・江の島海岸から日本海・富山までを走破する、というものです。
どの高速道を使っても、一般道をどう行っても、ルートは自由。もちろん、マシンのレギュレーションは一切ナシ! 1番先に目的地に着いたモン勝ち!という、本来のキャノンボールを味わえる企画でした。Kカーチューンド、Dai・Z、バイク…などによる、過激激走キャノンボールは年初めのドライブ+αにピッタリだと思いますヨ!?
■湘南・江の島海岸→日本海、オレたちは走り続けるゾ!
●我こそは、の闘志と自信を内に秘め、チャレンジャー集結!
スタート・午前0時の湘南・江の島海岸。持ち味の異なる5台のマシンがそれぞれの4ルートに分かれて覇を競う。目指すは朝日に輝く日本海、ゴールはサーキット族発祥の地でもある富山である。オール高速道全開が速いか、それとも最短ルート激走か。あるいは…。
「キャノンボール・海から光り輝く海への記念トロフィーダッシュ」…本場キャノンボールの正式名称が脳裏をよぎる。湘南・江の島をスタートして、日本海は富山のゴールに最初に滑り込むのは誰か。ルートは自由。それぞれのマシンは、1番己に合ったコースを行く。
1番手は、最高速263.73km/hのOPT・Z 3Lターボ。その持てるパワーをフルに生かすべく、全線高速道を選択する。すなわち東名・名神、そして北陸道を疾駆するのだ。全行程約650km。最長ルートである。が「目標5時間!」、Zターボの秘めたる自信は深い。
もう1台のチューンドカーは、驚異のスーパーミニ、雨宮シャンテRE12Aターボだ。最高速229.30km/h。その高速性能と俊敏な運動性能には、レーシングカートのイメージが重なる。選択したのは、東名で名古屋まで突っ走り、あとは一気に41号線を富山へ駆け上がるルートだ。総距離600km弱。
ノーマルで虎視耽耽と1番乗りを狙うのは、NEWサバンナRX-7。新6PIユニットとリミテッドスリップデフで武装し、走りのポテンシャルにはさらに磨きがかかっている。中央道から松本経由で糸魚川に出て、富山に向かう最短コースである。ワインディングでのトラック軍団ブロックをスムーズに走れれば、イケル。コース距離400kmプラス。
RX-7と同一ルートを選んだのが、唯一の2輪車、マッドハウス・スズキGSX400刀。45ps/1万rpm、ゼロヨン13秒台、最高速170km/hをオーバーする実力の持ち主だ。
最後の1台は、71年式コロナHT1700SL。排ガス未対策の8Rエンジンはツインキャブ仕様105ps。そのパワーは掛け値なしに現代の2T-GEUに遜色ないものだ。関越道から長野、直江津へ抜ける横断コース。これは、北陸へ向かう長距離便が好んで走行するメインルートでもある。走行距離は500km弱。アベ60km/hに乗せられれば6時間でゴールだ。
目指すゴールは、富山市街南端の41号線に面したドライブイン。本場キャノンボールのゴールもドライブインに設定されている。
スタート時刻の午前0時が迫る。はやる気持ちをジッと内に抑える。が、名目はどうあれ、5台のマシンが同時にスタートを切り、ひとつのゴールを目指す。ランナーにとって、これはレース以外の何者でもない。
午前0時! 一瞬、高鳴ったエキゾーストノートが湘南の海に吸い込まれた。と同時に、チャレンジャーの脳裏からは、すべての雑念が消え去った。なすべきことは、ひとつ。ひたすらアクセルを踏み込むのみ!だ。
やるべきことはアクセルを踏み続けること! さて、どのマシンが最初にゴールへ辿り着いたのか?は後編をお楽しみに!
【OPTION 1982年8号より】
(Play Back The OPTION by 永光やすの)
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https://clicccar.com/2018/01/04/545381/