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■意外と曖昧な認識をしているドライバーも多い?
白い破線の区間では車線変更ができますが、黄色い実線の区間で車線変更はできません。では、白い実線の場合はどちらでしょう。またトンネル内では車線変更できるのでしょうか。
車線変更のルールは意外と複雑で、曖昧なまま運転している人も多いかもしれません。おさらいとして、車線変更の正しいルールについて調べてみました。この機会に車線変更の不明瞭な点をハッキリさせておきましょう。
●そもそも車線変更とは
車線変更とは、片側2車線以上の道路で、それぞれのレーン(車両通行帯)を移動する行為です。各車両通行帯は車両境界線で区切られていて、線の色や形状で車線変更できる区間とできない区間に分けられています。
車線変更のルールが曖昧になりがちな理由は、センターラインのルールと混同しやすいことに加え、法律上では「単なる車線変更」と「追い越しのための車線変更」が違うルールで縛られているためと言えるでしょう。
車線変更の交通ルールに違反すると「車両通行帯違反」で処罰され、違反点数1点の加算と普通車6000円の反則金が科せられます。
●白い破線は車線変更OK・黄色の実線は車線変更NG
白い破線の区間では車線変更、追い越しともに可能です。黄色の実線の区間では車線変更はもちろん、はみ出しや追い越しも禁止されています。これはセンターラインのルールと同じなので、間違えることはないですよね。
近年は、矢羽根型の黄色い破線が設置された道路も増えています。この黄色い破線は「進路変更禁止の注意喚起表示」といい、先の道路が黄色の実線で車線変更が規制されていることを予告する車両境界線です。
つまり、矢羽根型の黄色い破線の区間での車線変更はOK。ただし「この先は進路変更ができなくなりますよ」という警告の意味が含まれています。
●白い実線は車線変更できる! ただし交差点は注意
センターラインとしての白い実線は、対向車線の走行を禁止する道路に設置されるもので、はみ出しや追い越しはできません。ですが、車線境界線として描かれた白い実線は進路変更や追い越し、はみ出しが認められています。
どちらも同じ白い実線なので、センターラインと車線境界線のルールを混同して覚えてしまうことが多いようです。車線境界線の白い実線は破線と同じ意味になるので、交差点手前の右左折レーンであっても、白い実線の区間なら車線変更ができます。
ただし、交差点や踏切、横断歩道や自転車横断帯の手前の30m以内の部分での追い抜きや、追い越しのための進路変更は、道路交通法第30条で禁止されている点には注意が必要です。
交差点手前の30m圏内の白い実線の区間で車線変更をしても違反ではありませんが、追い越しのために車線変更をした場合は車両通行帯違反ではなく、追い越し違反で罰せられます。
追い越し違反の罰則は、車両通行帯違反よりも重い2点の反則点加算と普通車9000円の反則金です。
●二重になった車両境界線は?
白と黄色の車両境界線が二重になっている区間は、片側からの車線変更のみが認められます。要するに、白色線側から黄色線側への車線変更はできますが、その反対、黄色線側から白色線側への車線変更は車両通行帯違反になるということです。
そのほか、短い間隔の白い破線が車両境界線と一緒に描かれている場合もあります。これは車線を狭く見せてスピードの出し過ぎを抑えるための「ドットライン」と呼ばれる線で、法的拘束力はありません。
なので、交差点やカーブの手前でよく見られるドットラインがある区間の走行時は、車線境界線に従うのが正解です。ドットラインで囲まれた白色の破線または実線の区間は車線変更ができますが、ドットラインがある黄色の実線区間では車線変更ができません。
●トンネル内は車線変更できる?
トンネル内での車線変更はどうでしょうか。トンネルや曲がり角、上り坂の頂上付近や急勾配の下り坂などの箇所は、道路交通法第30条で道路標識に関わらず追い越しが禁止されている場所です。
しかし、これらの場所で禁止されているのは、あくまで追い越しだけなので、黄色の実線で規制されていなければ車線変更自体は認められます。
車線境界線のルールについてまとめると、車線変更がNGなのは黄色の実線だけで、白の実線は破線と同じく車線変更OKということになります。
ただし、白の実線は交差点やカーブなどの車線変更が危険な場所や追い越し禁止区間に設置されることがほとんどです。また、2重の車両境界線や速度抑制のためのドットラインが描かれた区間は、それだけ走行に注意が必要ということを暗示しています。
白の実線や特殊な車両境界線が描かれた区間は、より周囲の車に注意して車線変更を行う必要がありそうですね。