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■2024年モデルを欧州の2輪車ショーEICMA2023で披露
ホンダが、イタリア・ミラノで開催中のEICMA2023(通称:ミラノショー)で発表した2024年モデルの新型「CBR650R」「CB650R」には、世界初の「ホンダ E-クラッチ(Honda E-Clutch)」が投入されると聞き、初代CBR650Rのオーナーである筆者はとっても気になっております。
ホンダが、2023年10月10日にティザーサイトを公開したホンダE-クラッチは、世界初の「2輪車用有段式マニュアルトランスミッションのクラッチコントロールを自動制御する」システム。
これにより、ライダーはクラッチレバー操作なしで発進から変速・停止まで可能となります。これにより、たとえば渋滞時にクラッチレバーを使わなくて済むなどで、かなりライディングが楽になることが予想され、個人的にもかなり注目していました。
それが、まさか愛車CBR650Rと、その兄弟車であるCB650Rの次期モデルに採用されるとは!
しかも、両モデルは新機構だけでなくスタイルも刷新されているようで、より個性的になっていることも注目点。一体どんなバイクに変貌したのか、新型2機種の概要を紹介します。
●最高出力95PSの648cc・4気筒を搭載
フルカウルスポーツのCBR650RとネイキッドスタイルのCB650Rは、2019年に登場した兄弟車です。
いずれも、最高出力95PSを発揮する648cc・水冷4ストローク直列4気筒エンジンや、ツインチューブ形式のスチール製フレームを採用。
CBR650Rには、セパレートハンドルやカウリング、CB650Rにはバーハンドルや丸目一灯のLEDヘッドライトを装備するなどで差別化していますが、扱いやすいエンジン特性やツーリングからスポーツ走行まで、幅広いシーンに対応する軽快な乗り味などは同じです。
ちなみに、筆者はCBR650Rを2020年に購入。ツーリングはもちろん筑波サーキットなどでスポーツ走行も楽しんでいます。1000ccや600ccのスーパースポーツと比べると、さほど前傾姿勢がきつくないため、ロングツーリングもかなり楽。
もちろん、サーキットのストレートでは200PSを超える1000ccスーパースポーツにはかないません。でも、CBR650Rはとても乗りやすいバイクなので、タイトコーナーなどでは追いついたり、場合によっては抜けるほどのポテンシャルもあります。
●新型はデザインも変更
そんなCBR650R、そして兄弟車のCB650Rの新型では、まずスタイルを変更。CBR650Rでは、デュアルLEDヘッドライトのデザインを変更し、上下カウリングも一新。また、テールユニットもよりシャープとなって、特にリヤビューはかなりスポーティな印象になっています。
一方、CB650Rでは、新型デザインのLEDヘッドライトを装備。より精悍なイメージとなったフロントフェイス、それにラジエターシュラウドからリヤカウルまでの流れるようなフォルムが上手くマッチングし、しなやかでありながら、ダイナミックなスタイルを演出しています。
なお、両モデルはメーターも変更し、5インチフルカラーTFTスクリーンを採用。また、スマホとバイクを接続し、ナビゲーション、電話、メッセージ、音楽などを運転操作を妨げることなく利用できるシステム「Honda RoadSync」にも対応しています。
●極低速時の立ちゴケも不安なし?
そして、冒頭で紹介したホンダE-クラッチの採用。発進から変速、停止までをクラッチレバーの操作なしで行える新機構です。
この機構のメリットは、たとえば、変速はシフトペダルを操作するだけなので、まるでクイックシフターのように素早く、確実なギアシフトが可能なこと。現行モデルのクイックシフターはオプション設定ですし、シフトアップにしか対応していないので、シフトダウンも楽にできるのはきっと重宝しますね。
また、発進や停止でも、クラッチレバーを握る必要がないので、これも前述の通り、ストップ&ゴーが連続する渋滞時などの疲労を軽減してくれるはずです。
それに、極低速走行時にクラッチレバーの操作ミスなどでエンストし、立ちゴケしてしまうような心配も無用。バイクの操作にあまり自信がない初心者やリターンライダーでも、安全に走ることができそうです。
しかも、通常のクラッチレバーを使ったマニュアル変速もできるので、ライダーが自分で操る感覚を味わって走りたいときにも対応。やっぱりバイクはクラッチとブレーキ、アクセルを駆使して乗りたいという、筆者も含めた昔からのバイクファンが持つ嗜好もしっかりと掴んでいますね。
まだ、日本仕様車については、いつ頃出るのかや価格など、詳細に関するアナウンスはありませんが、なかなか興味深い新型であることは確かだと思います。筆者も、価格次第では乗り換えを考えてしまうかも?
ちなみに、現行のCBR650Rは107万8000円〜111万1000円、現行のCB650Rが102万3000円〜100万1000円となっています。
2024年モデルは新機構のE-クラッチも付いていますから、きっとこれらよりは高くなるでしょう。でも、いきなりガーンと上がらないといいですね。もしかすると、E-クラッチ付き仕様となし仕様を設定し、価格を差別化する可能性もありますね(あくまで筆者の妄想ですが)。
ともあれ、発売時期も含め、続報に期待です。
(文:平塚 直樹)