ヤマハ二輪車整備士の技能を競う世界大会「ワールド・テクニシャン・グランプリ(WTGP)」【ヤマハ発動機ニュースレター】

■メカニックと呼ばずに『テクニシャン』と呼ぶヤマハ発動機

今回のヤマハ発動機によるニュースレターは、代表的な事業である二輪車がテーマです。二輪車の開発や販売、レースではなく、ヤマハ二輪車整備士にスポットライトが当てられています。

コロナ禍で世界大会の中止、延期が続いたため、各国チャンピオンを称えようと日本に招いてセレモニーが開催された
コロナ禍で世界大会の中止、延期が続いたため、各国チャンピオンを称えようと日本に招いてセレモニーが開催された

ヤマハ発動機には、世界のヤマハ二輪車整備士による技術と誇りをかけたグランプリがあります。ヤマハ二輪車整備士の技能を競う世界大会「ワールド・テクニシャン・グランプリ(WTGP)」がそれで、世界各地に展開する当社の販売ネットワークには、それぞれ優れた整備技術で、お客様のバイクライフを支える整備士の皆さんの存在があります。

同社は、国や地域を問わず、ユーザーに統一されたヤマハ基準の高品質なサービスを届けるため、整備士の教育プログラム「YTA(ヤマハ・テクニカル・アカデミー)」を展開しています。YTAが認定した二輪車整備士は世界に約3万4000人いるそうです。「WTGP」は、技術を競う世界大会として2年に1度開かれてきました。

「WTGPは、二輪車整備士にとってオリンピックのようなもの」と語るバングラデッシュ代表のシックダーさん
「WTGPは、二輪車整備士にとってオリンピックのようなもの」と語るバングラデッシュ代表のシックダーさん

WTGPの第1回大会(2002年)から運営を支えてきた、同社サービス部の加賀かおりさんは、

「今でも印象に残っているのは、2016年大会で世界チャンピオンになった、YSP川崎中央の鮫島遼平さんの雄姿です。必ず優勝すると、自信に満ちあふれていて、言葉どおりに圧勝しました。積み上げてきた技術と知識、日の丸を背負った堂々とした戦いぶりに、鍛え抜かれたアスリートのような風格さえ感じました」

と振り返っています。

同社サービス部で大会責任者を務める田中由喜男さんは、

「WTGPは、二輪車業界で最も歴史の長さを誇る整備士の世界大会です。各国大会を勝ち抜いてWTGPに出場することは、世界中の整備士にとって栄誉なことです。コロナ禍で2018年大会を最後に延期、中止され、5年もの長い空白期間ができてしまいました。
その間も、世界中の整備士は、日々の業務やオンラインによるYTA受講を通じて技能に磨きをかけ、国内大会が開催できた地域では何人ものナショナルチャンピオンが生まれていました。世界大会への切符をつかんだにも関わらず、世界の仲間たちと競い合う機会を持てなかった人たちを称えようと、今秋、日本に招いて表彰セレモニーを行いました」

と、WTGPの近況を報告しています。

バングラデシュ大会で優勝を飾ったタレク・シックダーさんもその一人。

「この大会は、すべてのヤマハ二輪車整備士にとってオリンピックのようなものです。世界を相手に高いレベルで競い合うことを楽しみにしていたので、大会中止は残念でしたが、バングラデシュを代表して日本で表彰を受けたことを誇りに思います」

と、その想いを披露。

表彰セレモニーでは、各国チャンピオンに日髙社長からトロフィーが手渡された
表彰セレモニーでは、各国チャンピオンに日髙社長からトロフィーが手渡された

整備士は、一般的にメカニックと呼ばれますが、田中さんは「私たちは技術や知識だけでなく、ユーザーに満足をお届けする彼らの技能に敬意を払い、あえて『テクニシャン』と呼んでいます」と説明します。

約3万4,000人のテクニシャンの頂点を決めるWTGPは2025年の再開が計画されていて、出場権を賭けた国内大会も各国で始まろうとしています。

ヤマハ発動機のサービス部門がグローバルに共有する「One to One Service」を具現化するため、世界統一基準による整備士教育プログラム「YTA」が世界中で展開されています。WTGPは、YTA認定整備士が技術や知識を競う世界大会であり、二輪車整備士の地位やモチベーションの向上にも大きな役割を果たしています。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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