最終戦第8戦もてぎ300Km予選、muta Racing GR86 GTがポール獲得でチャンプへの道をつなぐ【スーパーGT 2023 GT300】

■muta Racing GR86 GTがポールポジションを取らなければならない理由

11月4日(土)、5日(日)に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催の2023 AUTOBACS SUPER GT第8戦(最終戦)『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』。4日には公式予選が行われました。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

シリーズチャンピオンが2台のマシンで競われているGT300クラス。ポイントリーダーの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTと2番手の2号車 muta Racing GR86 GTとのポイント差は20ポイント。

仮に埼玉トヨペットGB GR Supra GTが11位以下、muta Racing GR86 GTが優勝となれば20ポイントの差は埋まりますが、この場合、埼玉トヨペットGB GR Supra GTの方が優勝回数が多いためチャンピオンは埼玉トヨペットGB GR Supra GTとなります。

埼玉トヨペットGB GR Supra GT
埼玉トヨペットGB GR Supra GT

muta Racing GR86 GTが逆転チャンピオンになるための条件はポールtoウインしか無く、そのためには何が何でもポールポジションを獲得しなくてはなりません。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

muta Racingのエンジニア、渡邊信太郎さんは「ポールポジションのためにやれることは全部やるし、公式練習もポールポジション獲得をするためのメニューで行きます」と語っており、チームはまずポールポジションを獲りに行くということを大前提に予選に臨みます。


●予選Q1B組トップ通過のmuta Racing GR86 GT

11月とは思えない気温23度、路面温度29度というコンディションでGT300のQ1A組の公式予選が午後2時20分にスタート。

LEON PYRAMID AMG
LEON PYRAMID AMG

65号車 LEON PYRAMID AMGが1分46秒610でトップタイムをマーク。そこにらにキングトップの埼玉トヨペットGB GR Supra GTが1分46秒676で続きます。

JLOC ランボルギーニ GT3
JLOC ランボルギーニ GT3

しかし、この2台をごぼう抜きでトップに君臨したのは88号車 JLOC Lamborghini GT3。チェッカー直前に出したタイムは1分46秒435で。Q1A組はJLOC Lamborghini GT3、LEON PYRAMID AMG、埼玉トヨペットGB GR Supra GTという序列で合計8台がQ2に臨みます。

続くQ1B組で注目のmuta Racing GR86 GTがタイムアタックを行います。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

3台目でコースインしたmuta Racing GR86 GTは序盤のタイヤウォームアップラップでどんどん前へ出ていき、出走車の中で先頭を走ることとなります。これは前を塞がれてタイムアタックしきれないという事を避けるための作戦だと思われます。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

そして、その作戦が功を奏したのかmuta Racing GR86 GTは4周目という早い段階で1分46秒420を出しトップタイム。これも予選赤旗やFCYでタイムアタックを出来ずに終わってしまうことを避けた作戦といえるでしょう。

●渾身のトップタイムでmuta Racingのチャンプへの夢はまだ続く

午後3時13分にスタートしたGT300クラスのQ2。このQ2でチャンピオンが決まるかもしれない、と高まっていく緊張感。緊迫した空気がピットロードに漂います。

muta Racing GR86 GT
muta Racing GR86 GT

そしてコースインから4周目、muta Racing GR86 GTの堤優威選手がいきなり45秒台!1分45秒633という、Q1から0.5秒も短縮したタイムを叩き出しトップとなります。

JLOC ランボルギーニ GT3
JLOC ランボルギーニ GT3

そこに続いたのがJLOC ランボルギーニ GT3の1分45秒785や1分45秒787のLEON PYRAMID AMGですが、muta Racing GR86 GTのタイムを抜くことはできませんでした。

LEON PYRAMID AMG
LEON PYRAMID AMG

また埼玉トヨペットGB GR Supra GTは7番手となり、決勝は後方からのスタート、チャンピオンの行方が全く分からない状態となりました。

決勝レースは最終戦もてぎでは珍しい300kmとなり、スタートは13時となります。

ポールポジションを喜ぶmuta Racing GR86 GTのドライバー
ポールポジションを喜ぶmuta Racing GR86 GTのドライバー

優勝以外ではチャンピオンのないmuta Racing GR86 GT、muta Racing GR86 GTがどの順位でも1ポイントを獲ればチャンピオンとなる埼玉トヨペットGB GR Supra GT。

有利なのがどちらかは明白ですが、奇跡はあるかもしれません。そんな手に汗握る最終戦となります。

●スーパーGT 2023第8戦 もてぎ GT300予選結果

堤選手、加藤監督、平選手
堤選手、加藤監督、平選手

1 #2 muta Racing GR86 GT 堤 優威、平良 響 1’45.633
2 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史、元嶋 佑弥 1’45.785
3 #65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥、篠原 拓朗 1’45.787
4 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人、山内 英輝 1’45.940
5 #18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志、小出 峻 1’46.052
6 #31 apr LC500h GT 小高 一斗、根本 悠生 1’46.098
7 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹、川合 孝汰 1’46.125
8 #7 Studie BMW M4 荒 聖治、ブルーノ・スペングラー 1’46.162
9 #96 K-tunes RC F GT3 新田 守男、高木 真一 1’46.221
10 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝、片岡 龍也 1’46.270
11#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦 孝亮、坂口 夏月 1’46.334
12 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本 大樹、河野 駿佑 1’46.530
13 #6 DOBOT Audi R8 LMS 片山 義章、R.メリ・ムンタン 1’46.845
14 #11 GAINER TANAX GT-R 富田 竜一郎、石川 京侍 1’46.893
15 #50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 I.オオムラ・フラガ、古谷 悠河 1’46.973
16#20 シェイドレーシング GR86 GT 平中 克幸、清水 英志郎 1’47.978
17 #27 Yogibo NSX GT3 岩澤 優吾、伊東 黎明 1’47.610
18 #10 PONOS GAINER GT-R 安田 裕信、大草 りき 1’47.698
19 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林 勇佑、松井 孝允 1’47.715
20 #9 PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG 阪口 良平、リアン・ジャトン 1’47.903
21 #30 apr GR86 GT 永井 宏明、織戸 学 1’47.883
22 #360 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行、田中 篤 1’48.758
23 #48 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田 太陽、田中 優暉 1’50.609
24 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R J.P.デ・オリベイラ、名取 鉄平 1’48.885
25 #22 アールキューズ AMG GT3 和田 久、城内 政樹 1’49.297

(文:松永 和浩/写真:吉見幸夫、松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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