スズキ「スイフトスポーツ」2代目(ZC31S型)デビュー。スイスポの人気を決定づけた軽快な走りと驚きの低価格156万円【今日は何の日?10月28日】

■プラットフォームとエンジンを一新して走りに磨きをかけた2代目

2代目スイフトスポーツ をベースとしたJRC用スーパー1600
2代目スイフトスポーツをベースとしたJWRC用スーパー1600

2005(平成17)年10月28日、スズキは2代目「スイフトスポーツ(5速MT車)」の発売を始めました。

スイフトスポーツは、スズキにおける走りのフラッグシップとして2003年に誕生。2代目は、プラットフォームを一新してエンジン排気量を1.6Lに拡大し、走りに磨きをかけました。


●スイフトのスポーツモデルとして登場した初代(HT81S型)

2000年にデビューした初代スイフト(海外ではイグニスで販売)
2000年にデビューした初代スイフト(海外ではイグニスで販売)

初代スイフトは、2000年にカルタスの後継車としてデビューし、軽自動車「Kei」のワイド版で部品を流用した低価格が売りでしたが、逆にそれが小型車としては弱点となり、販売は期待ほど伸びませんでした。

そのスイフトをベースにして2003年に誕生した初代スイフトスポーツは、スイフトより全幅を50mm拡大、全高を15mm下げて、専用エアロパーツを装備したスポーティな3ドアハッチバックスタイルに変更。パワートレインは、ハイチューニングされた1.5L直4 DOHCエンジンとクロスレシオ5MTの組み合わせ、駆動方式はFFです。

2003年にデビューした初代スイフトスポーツ(海外ではイグニススポーツで販売)
2003年にデビューした初代スイフトスポーツ(海外ではイグニススポーツで販売)

そのほかにも、専用サスペンションと4輪ディスクブレーキ、専用レカロシートなどが標準装備され、俊敏な走りが実現され、初代スイフトスポーツは、ジュニア世界ラリー選手権(JWRC)で大活躍し、欧州では“イエローブリッド(黄色い弾丸)”と呼ばれて多くの走り屋から人気を博しました。

●2代目(ZC31S型)で基本設計を刷新して人気のホットハッチに

2004年にスイフトは、初めてのモデルチェンジを実施。2代目スイフトは、初代で不評だった軽ベースのプラットフォームを、専用設計のプラットフォームに刷新し、世界戦略車として開発されました。

その2代目スイフトをベースに、2005年9月に2代目スイフトポーツの4AT車、そして10月のこの日に5速MT車がデビューしたのです。

2004年にデビューした2代目スイフト
2004年にデビューした2代目スイフト

専用のエアロパーツやテールランプユニット、大型フロントバンパーが装備され、エンジン排気量は1.6Lに拡大した上で、高圧縮比や鍛造ピストンなどのチューンナップを行い、新たに電子制御のドライブバイワイヤも採用。そのほかにも、ボディの軽量化を進めながら剛性も上げ、サスペンション、ブレーキにも専用部品が盛り込まれました。

軽量ボディに6800rpmで最高出力125PSを発生する高性能エンジンを搭載した2代目スイフトスポーツは、5MT車が156万円、4AT車が161万円という低価格と軽快な走りで人気を獲得、国内外でホットハッチを代表するモデルへと成長したのです。ちなみに当時の大卒の初任給は、19.7万円(現在は約23万円)程度でした。

●次期スイフトスポーツは、電動化は必須?

その後、2011年には3代目(ZC32S型)へ移行し、正常進化を遂げます。高張力鋼板を積極的に使ったシャシーを採用して、剛性と強度を高めながら先代に対して約10kgの軽量化に成功し、ダートやラリーなど国内のモータースポーツで大活躍します。

2017年にデビューした4代目スイフトスポーツ
2017年にデビューした4代目スイフトスポーツ
2011年にデビューした3代目スイフトスポーツ
2011年にデビューした3代目スイフトスポーツ

2017年の4代目(ZC33S型)では、エンジンが1.4L直4直噴ターボエンジンに変更され、ボディは車幅を拡大して3ナンバーとなりました。

世代を重ねるごとに進化を遂げて、操る楽しさを追求してきたスイフトスポーツの人気はますます加速、日本を代表するホットハッチとして確固たる地位を不動のものに。そして来年(2024年)には、5代目が登場するという情報が飛び交っています。


次期5代目スイスポは、2024年早々に発売される模様ですが、すでに欧州仕様で採用されている48Vマイルドハイブリッドが採用されるとの情報があります。実質的には2代目から始まったピュアエンジンのスイフトスポーツの快進撃、20年経った次期車では、やはり電動化は避けられないですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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