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■2階建てグリーン車を2両連結
JR東日本は、中央快速線に2024年度以降導入予定のE233系グリーン車を公開しました。
中央快速線は東京〜高尾間を運行している通勤路線で、青梅線・立川〜青梅間に直通する列車も数多く運行しています。また、一部の列車は中央本線高尾〜大月間にも直通しています。
JR東日本は現在、10両編成で運行しているE233系にグリーン車を2両連結して12両編成化する計画。12両固定編成のほか、8両と4両に分割することができる編成が用意されます。
グリーン車は車体中央部が2階建て構造で、車端部にも平屋席を設定。座席はリクライニングシートとして居住性を向上させたほか、全座席にテーブル・コンセントを設置。また、Wi-Fiサービスも提供します。
●短時間で折り返すための秘策
中央快速線の運転本数は非常に多く、朝ラッシュ時に1時間当たり約29本、日中でも1時間当たり約14本も運行する超過密路線です。始発駅となる東京駅では僅か数分で折り返していて、短時間にグリーン車の折り返し作業を行う必要があります。
そこでJR東日本は、中央快速線用グリーン車にふたつの秘策を盛り込んでいます。
そのうちのひとつは、両開きドアを採用したことです。これは東京駅など、折り返し駅での乗降時間を短縮するためで、ドアの幅は他路線で使用しているグリーン車の810mmより、576mm拡大した1300mmとしています。同時にデッキも広くなっています。
秘策その2は、2階席と1階席に自動回転座席を導入したことです。他のグリーン車では手作業で回転させていましたが、中央快速線用グリーン車は10数秒で回転を完了させることができ、折り返し作業時間を短縮します。
営業運転では短時間で車内清掃も実施する予定とのことで、新幹線の車内清掃よりも素早い清掃シーンが見られるかもしれません。
●首都圏のグリーン車ネットワークの完成へ
JR東日本は、都心から放射状に延びる通勤路線を横浜・八王子・大宮・柏・千葉方面の五方面に展開しています。
このうち、東海道本線・横須賀線・総武快速線は、国鉄時代からグリーン車を運行。2000年代に入って、東北本線・高崎線と常磐快速線でもグリーン車の運行を開始しました。これら四方面のグリーン車連結列車はいずれも比較的運行距離が長いので、グリーン車の需要が大きくなっています
2023年現在は、東海道本線・横須賀線と、東北本線・高崎線を直通する、上野東京ラインや湘南新宿ラインを運行しており、横須賀線と総武快速線も直通運転をしているので、都心を挟んだ長距離移動でもグリーン車は活躍しています。
常磐快速線も、上野東京ライン経由で東海道本線品川に直通し、東京・新橋から常磐線方面への利便性を向上。さらに、同一方向(南または北東方向)へ向かう複数の列車間での乗り継ぎもできます。
一方、中央快速線は近距離の路線。しかし、他路線との乗り継ぎができるならば、グリーン車の需要は高まると思われます。営業を開始する2024年度末まではまだまだ時間がありますが、グリーン車での五方面移動が便利になる時代が待ち遠しいところです。
(ぬまっち)