行楽シーズン、秋キャンプでこれだけは気をつけたいリスク

■猛暑の影響で増大するキャンプ地のリスクを考えてみた

キャンプ本番の季節、秋の到来
キャンプ本番の季節、秋の到来

ようやく涼しくなり秋らしい気候になりました。秋はキャンプのベストシーズンです。

汗だくの焚き火からも解放され、寝苦しい熱帯夜もありません。買い出しの直売所には収穫シーズンを迎えた旬の食材が並びます。晴天に恵まれれば透明度を増した夜空に満天の星を見ることができるでしょう。


●リスクに立ち会う、それもキャンプの素晴らしさ

しかし一方で、秋キャンにそもそも潜んでいるリスクがあります。とくに2023年の今年は異常とも言える高温が続き自然界に異変が蓄積しています。10月に入っても海水温が高く、水深50mでも30℃近い高温のため、これまで張り出した高気圧が抑え込んでいた熱帯低気圧発生域で活性が高まりそうです。

2023年10月8日の海水温。出典 : 気象庁より引用
2023年10月8日の海水温。出典 : 気象庁より引用
2023年10月8日の水深50mの水温。今年はこの深度でも水温が高く台風を発達させるリスクが高い。出典 : 気象庁より引用
2023年10月8日の水深50mの水温。今年はこの深度でも水温が高く台風を発達させるリスクが高い。出典 : 気象庁より引用

10月の台風は本州直撃コースを通ることが多く甚大な風雨災害をもたらします。キャンプ場周辺の地理的条件やキャンプ当日の天候予想などには敏感に気を配りましょう。

このところの急激な気候変動は従来からの予測が及ばないものもあります。もし少しでもリスクを感じたら予約をキャンセルする英断もありなのです。

キャンセル料についてはキャンプ場に相談することをおすすめします。悪天候が予想される場合はキャンセル料が発生しないことも少なくありません。

【天候リスク】

・寒気を伴っている。突然の気温低下
・秋雨前線に注意。暖気と寒気の衝突で大雨や突風
・ゲリラ豪雨で道路寸断、洪水。キャンプ地選びと周辺地理を確認
・高度によっては気象がまったく異なることも
・マウンテンパーカーや乾いたスウェットなど 予備の靴下など
・気象アプリを活用しよう
・ポータブル電源で電気毛布なども有効

●猛暑で山の実りが不作、クマなどの猛獣との遭遇に注意

天候の高温化と少雨で今年の稲作が壊滅的な被害を受け1等米が激減しています。他の農作物、大豆やトウモロコシ、生乳など影響は広範囲に及んでいるようです。今年は山のブナやコナラの実も高温少雨の影響で凶作。腹を空かしたクマが人里に接近するなど北海道では目撃数がすでに最多を更新し3000件に達しています。

スズメバチなど狂暴化
スズメバチなど例年にない気象状況で狂暴化していたりしますので注意のほどを

また10月はスズメバチが最も凶暴化する季節です。巣は働き蜂の数が最大化、分蜂のための新女王が育ち防衛のために外敵に対して鋭敏になっている時期だからです。とくに今年は猛暑で活動が抑制された分、秋以降の活動が活性化しているとも言われます。キャンプ場で管理人に危険箇所を訊くなどリスク低減に努めてください。

【害虫/獣害リスク】

・スズメバチはまだ活発。場内の山などへ行くときは要注意
・秋のムカデ、ゲジゲジ、クモ類などは大型。蚊やヤマビル、マダニもまだ活発
・虫よけ、蚊取り線香、殺虫スプレー、虫刺され薬は忘れずに
・猛暑で山の木の実が不作。人里にクマが接近する

●秋は空気が乾燥するので焚き火は山火事に要注意

キャンプのメインエンターテインメント、焚き火。とりわけ秋は焚き火のベストシーズンです。

焚き火の注意点
焚き火の注意点

ただ、空気は乾燥してきますので山火事には最大限の注意を払ってください。周辺の枯れ葉や燃えやすいものは撤去し、焚き火脇には消火バケツを必ず備えてください。この消火バケツの水は食材や食器洗い、手洗いなどに活用することができます。

また風速が5mを超えたら火の粉が舞い上がるようになりますので消火する決断をしてください。どうしても火がほしいなら炭火・ガスに切り替えるのがベターです。想像してみましょう。火の粉が飛んでテントや枯れ草に引火し大騒動に……。そうなるのは避けたいはずです。

リスクを回避する賢明な判断で良き思い出が残るキャンプを楽しんでください。

バイクでのソロキャンプ、荷物ひとつ持たない優雅なキャンプもできる「グランピング」などもありますが、行楽シーズン、キャンプの荷物を積んで車で出かける人が多いはず。車とはいえ、重要なちょっとした対策・注意をして行かれることをお勧めします。

【車の対策】

・雨合羽や乾いた着替えなどを積んでおこう。大きめのゴミ袋も濡れたものを収納できる
・足止めに備えてガソリンは満タンに
・天候悪化で車中泊の場合は火気の使用は危険。火災、一酸化炭素中毒、機器転倒による火傷に注意。テント内も同様
・スタックに備えてスコップを積載しておく。急な雨対応でテントの排水溝も掘れる(キャンプ場がOKの場合)
・勇気ある撤退・撤収も視野に入れて判断しよう

(猪狩清十郎)