プラス1200円で座れる東海道・山陽新幹線「S WorkPシート」サービスを10月20日からスタート

■パーソナルスペースを拡大した「S WorkPシート」

JR東海とJR西日本は東海道・山陽新幹線で運用しているN700Sの7号車「S Work車両」に「S WorkPシート」を設定。10月20日から「のぞみ」「ひかり」「こだま」の一部でサービスを開始します。

10月20日からサービスを開始する「S WorkPシート」
10月20日からサービスを開始する「S WorkPシート」
「S WorkPシート」が設定される東海道・山陽新幹線N700S
「S WorkPシート」が設定される東海道・山陽新幹線N700S

「S Work車両」はPCやモバイル端末を気兼ねなく利用したいビジネスマン向けの車両で、座席に座ってリモート会議や携帯電話の通話が可能。また、座席のリクライニング角度を小さくして後席でのPCが利用しやすい配慮を2023年7月以降順次整備中です。

さらにWi-Fiサービスも他の車両の「Shinkansen Free Wi-Fi」よりも通信容量が約2倍で、接続時間制限もない「S Wi-Fi for Biz」が利用できます。

左が「S WorkPシート」で右が従来の3列シートです
左が「S WorkPシート」で右が従来の3列シートです

「S WorkPシート」はN700S「S Work車両」のうち、6〜10番A/C席の10席を設定します。サービスの開始は10月20日ですが、座席自体はすでに登場しているので使い勝手をチェックしてみましょう。

A/C席の間にあるパーソナルスペースとパーティション
A/C席の間にあるパーソナルスペースとパーティション

A/C席は通常、A/B/C席の3列シートとなる部分です。「S WorkPシートはB席をA/C席用のパーソナルスペースに転用して2列シート化したのが特徴です。

座席の幅自体は変わりませんが、中央部分にはパーティションを設置していてプライバシー保護も強化しています。

ドリンクホルダー付きのパーソナルスペース。書類を置くなど多目的に使えます
ドリンクホルダー付きのパーソナルスペース。書類を置くなど多目的に使えます

パーソナルスペースは書類などが置ける広さがあります。ドリンクホルダーも設置しています。

背面テーブルも改良されて、座席側にスライドさせることが可能。また、スライド時はテーブル面が斜めになってPC操作がしやすくなっています。

「S WorkPシート」用の背面テーブル
「S WorkPシート」用の改良形背面テーブル
テーブル面を座席側にスライドさせることができます
テーブル面を座席側にスライドさせることができます

「S WorkPシート」はN700S全編成に設定し、10月20日からN700Sを使用した「のぞみ」「ひかり」「こだま」でのサービスを開始。予約は10月18日から始まります。

「S WorkPシート」の料金は普通車料金(EXサービス利用時)に1200円を加算。購入は当面EXサービス限定で、2024年春ごろから駅窓口での販売を開始する予定です。

プラス1200円という価格差を妥当とみるか高いとみるかは人それぞれだと思います。でも混雑している時期・時間帯ならば自分の空間が拡がって、なおかつ隣の人と干渉しないというメリットは大きいと思います。また、パーティションがあるのでPC画面を覗かれる心配もなさそう。ビジネスユースなら需要が高そうです。

●個室の「ビジネスブース」も改良

「S WorkPシート」のサービス開始に合わせて、「ひかり」「こだま」でも「S Work車両」の営業を開始します(小倉〜博多間の全車自由席「こだま」を除く)。また、「S Work車両」は現在EXサービス限定となっていますが、10月20日から駅窓口、券売機での販売を開始します。

また、N700Sの一部編成7号車で試験導入していた「ビジネスブース」を改良。10月1日から有料サービスとして本格導入を順次開始しました。

10月1日から本格導入が始まった「ビジネスブース」。写真は試験導入タイプです
10月1日から本格導入が始まった「ビジネスブース」。写真は試験導入時のもの

「ビジネスブース」は長テーブルと椅子を配置した個室です。「S Work車両」の座席に備え付けているQRコードから予約することができます。予約時間は10分単位で上限60分。利用料金は30分までは200円/10分で30〜60分は300円/10分となっています。

「ビジネスブース」の改良タイプは従来のコンセントに加えてUSBポート(Type-A/C)を追加。また、予約システムに連動した電気錠を設置。予約状況を知らせる表示灯も設置します。

試験導入編成の「ビジネスブース」。改良タイプは予約状況を知らせる表示灯が追加されました
試験導入編成の「ビジネスブース」。改良タイプは予約状況を知らせる表示灯が追加されました

なお、試験導入に使用した3編成の「ビジネスブース」は、本格導入した10月1日以降に改良する予定。2024年度中にはN700S全車に「ビジネスブース」を整備します。

「S Work車両」「S WorkPシート」「ビジネスブース」はビジネス需要が大きな東海道・山陽新幹線らしい設備だと言えます。外観だけじゃない新幹線の個性にも注目です。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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