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■9勝をマークし最終戦を前に12回目のチャンピオンに
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のワークスチーム「ヤマハ・ファクトリー・レーシングチーム(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)」に所属する中須賀克行選手(42歳)が、2輪ロードレースの国内最高峰「MFJ全日本ロードレース選手権」のJSB1000クラスで、3年連続のチャンピオンを獲得しました。
ワークスマシン「YZF-R1」を駆る中須賀選手は、2023年9月24日に岡山県の岡山国際サーキットで開催された、第7戦スーパーバイクレースin岡山で今季9勝目をマーク。最終戦MFJグランプリ(10月14〜15日・鈴鹿サーキット)を戦うことなく、自身12回目となるチャンピオンに輝くと共に、ヤマハにとっても、2018年以来、6年連続での栄冠をもたらしました。
●モンスターマシンたちが速さを競うシリーズ
「MFJ全日本ロードレース選手権」のJSB1000は、2輪ロードレースの国内最高峰といえるクラスです。
最新の1000cc市販スーパースポーツをベースにしたレース用マシンで競うのが、このクラス。ヤマハをはじめ、ホンダやスズキ、カワサキといった国内4メーカー製マシン、それに、イタリアのアプリリアやドイツのBMWなどの海外メーカー製マシンも参入し、200ps以上を発揮するモンスターマシンたちが速さを競うシリーズです。
そんなJSB1000で、中須賀選手は、2008年に初タイトルを獲って以来、2022年シーズンまでに11度の年間チャンピオンを獲得。しかも、2021年シーズンから数えると、23連勝という偉業も達成しており、まさに絶対王者といえる存在です。
2023年シーズンは、中須賀選手の記録がどこまで伸びるのか、また、逆に誰が絶対王者の連勝記録を止めるのかも注目されていました。
ちなみにJSB1000クラスでは、2023年シーズンから100%非化石由来の燃料、いわゆるカーボンニュートラル燃料を導入。各チームが新燃料に合わせたマシンを投入することで、今までの勢力図に変化が起こるのかも注目されていました。
●まさかの若手が連勝記録をストップ
そんな2023年シーズンの中須賀選手は、1大会で2レースが設定された開幕戦モビリティリゾートもてぎ(栃木県)大会、第2戦の鈴鹿サーキット(三重県)大会で4連勝を記録し、連勝記録を27に伸ばすという幸先いいスタートを切ります。
ところが、続く第3戦スポーツランドSUGO(宮城県)大会では、レース1でその記録がストップ。しかも、絶対王者の偉業を止めたのは、同じヤマハ・ワークスで、JSB1000初優勝を決めた岡本裕生選手(24歳)。最高峰クラス参戦2年目のライダーなのですが、ルーキーイヤーの2022年シーズンに、いきなり年間ランキング3位に輝いた若手の注目株です。
連勝記録がストップした中須賀選手ですが、そこはさすが42歳のベテランです。続く第3戦のレース2で優勝を飾ったほか、その後も第6戦オートポリス(大分)大会まで全レースを制覇し、ランキング2位の岡本選手とのポイント差を55に拡大し、チャンピオンに大手をかけます。
●通算85勝目をマークし王者を奪取
そして、第7戦の岡山国際サーキット大会。予選でポールポジションを獲得した中須賀選手は、決勝で岡本選手と全ラップにわたり激戦を展開。健闘をみせる若手ライダーを見事に退け、今季9勝・通算85勝目をマークし、自身通算12回目となるチャンピオンに輝いたのです。
しかも、今シーズンの全日本ロードレース選手権は、10月14日〜15日、鈴鹿サーキットで開催される第55回MFJグランプリがあるため、中須賀選手は、最終戦を待たずして年間王者を早々と決めたことになります。
ちなみに、中須賀選手の連勝記録自体は、前述の通り、第3戦で途切れましたが、ヤマハ・ワークス自体は、2020年の開幕戦から2023年の第7戦終了時点で41連勝を記録。いまだに連勝街道をばく進中なのです。
最終戦のMFJグランプリで、ヤマハの記録がさらに伸びるのかも気になるところですね。
(文:平塚 直樹)