「やってみる!」の精神で生まれた、工場の新価値創造につなげる研究・人財育成機関「テミル:ラボ」【ヤマハ発動機ニュースレター】

■現場発の創意工夫で、業種、業態を問わず、製造現場に幅広く貢献することを目指す

二輪車をはじめ、電動アシスト自転車、マリン、ロボティクスなど、多様な事業を展開しているヤマハ発動機。

同社の広報グループが発信しているニュースレターは、企業活動だけにとどまらずボランティアやOBの活動まで幅広い活動についてレポートされています。

2023年4月に開設された「テミル:ラボ」のイメージ
2023年4月に開設された「テミル:ラボ」のイメージ

今回のテーマは、2023年4月にヤマハ発動機が開設した「テミル:ラボ」。現場経験をもとにした、ひらめきで工場の新価値創造につなげる研究、人財育成機関です。

「テミル:ラボ」の活動は、大きく分けて2つあり、現場の課題に寄り添ったDX導入ツールの研究開発、より良いモノづくり環境の構築を推進するハイパフォーマンス人財の育成です。

前者は、廉価で汎用性が高く、組み合わせによって新たな価値を創出する複数のプラットフォーム、その活用レシピとしてすでに開発されています。いままで接点のなかった食品や印刷会社の現場などからも問い合わせや相談を受けているそうです。

たとえば、同社製の電動車いすのドライブユニットを使った廉価AGV「COW-el(カエル)」があります。導入、運用のしやすさとタフな働きを強みに、すでに同社の鋳造工場などでも活躍しているそう。

閃きプラットフォームの一例である廉価AGV「COW-el」。汎用品の活用によるコスト低減は、「テミル:ラボ」の得意技
閃きプラットフォームの一例である廉価AGV「COW-el」。汎用品の活用によるコスト低減は、「テミル:ラボ」の得意技

後者の人財育成のプログラムでは、社内外から学びの姿勢を持った人財を迎え入れ、ともに現場最適なプラットフォームの活用術を考えることで工場内の課題を自ら発見し、解決に結びつけることのできる人財の育成を掲げているそうです。

こうした研究開発や人財育成のプログラムが不可欠になりつつあるのは、モノづくりの現場が大きな変革期を迎えているから。変化の激しい市場追従生産に加え、エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルに向けた対応など、新たな課題を抱えています。

「テミル:ラボ」の推進役を担う伊藤祐介さんと梶原幹夫さん(ともに設備技術部)は、「私たちが最も大切にしているリソースは、現場における実務経験、現場感覚の目利きの力、それからまず、やってみる! というチャレンジ精神です。これらを原動力とした創意工夫で、あらゆる業種、業態の製造現場に幅広く貢献していくことを目指しています」とその狙いを説明しています。

「テミル:ラボ」の推進役、伊藤さんと梶原さん。モーションキャプチャーで身体の動きを認識する「画像認識システム」(開発中)の前で撮影
「テミル:ラボ」の推進役、伊藤さんと梶原さん。モーションキャプチャーで身体の動きを認識する「画像認識システム」(開発中)の前で撮影

生産現場の課題を解決する手段として、「DX」や「スマートファクトリー」といった概念が浸透しつつあります。しかし、実現は、膨大な初期投資や現場ならではの要件などが障壁となり、容易ではありません。

「工場に新たな価値をもたらすひらめきを、躊躇なく、まずやってみることが信条です。テミルという名称は、やっテミルという姿勢を表しています」と語るのは伊藤さん。

梶原さんも「大掛かりな設備でなくても、創意工夫で解決できる課題があります。長く設備を触ってきた経験と専門的な知識を掛け合わせて、モノづくりに関わる人がいつまでも活躍できる工場環境づくりに貢献したいと思います」と話します。

最後に、「技術に人が合わせるのではなく、働く人がスキルアップすることでひろがるモノづくりの未来。ヤマハ発動機らしい現場目線と柔軟な発想、それからモノづくりを楽しむ心で、日本の製造業を元気にしたい」と2人は同じ想いを語っていたそうです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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