韓国出身の若手ボート設計者が挑むソーラボートレース【ヤマハ発動機ニュースレター】

■「2023年ソーラー・人力ボート全日本選手権」に挑む

ヤマハ発動機の広報グループによる「ニュースレター」は、企業活動だけでなく、ボランティアやOBの活躍など、多様な分野についてレポートされています。

今回は、ソーラボートレースの社内の有志チーム「マンマユート」の新リーダーにスポットライトが当てられています。なお、「マンマユート」とは、イタリア語で「ママ、助けて!」の意味だそう。

ソーラーボートの社内有志チーム「マンマユート」の新リーダー、チョンさん(右から2番目)とメンバー
ソーラーボートの社内有志チーム「マンマユート」の新リーダー、チョンさん(右から2番目)とメンバー

「2023年ソーラー・人力ボート全日本選手権」は、9月17日(日)、18日(月・祝)にボートレース浜名湖(静岡県湖西市)で開かれます。大会に向けてラストスパートに入っています。

ソーラーボートは、太陽光エネルギーのみを使い推進する小型ボート。

日本ソーラー・人力ボート協会によって毎年大会が開催され、大学や研究機関、企業などのチームが開発、試作したソーラーボートの技術発表の舞台になっています。

ヤマハ発動機の有志チームは、1989年に開かれた第1回大会から出場を続け、先輩から後輩へ、技術や知見、チャレンジスピリットが継承されてきました。

しかし、コロナ禍や前リーダーの海外赴任などが重なって、活動は一時停滞。その存続のピンチに手を挙げ、若手メンバーを募って伝統をつないだのが、プレジャーボートの若手設計者、韓国出身のチョン・ジェフンさん(艇体開発部 設計グループ)。

韓国・釜山出身のチョンさんが、同社に入社した背景には、この活動が深く関係しているそうです。

「釜山の大学在学中に、人力ボートでこの大会に出場したことがあります。大会期間中にバーベキューなどをしながらヤマハ発動機チームの皆さんと片言の会話を楽しんでいるうちに、自由で、楽しそうな会社という印象を持ちました」と、同社を志望した動機を語っています。

チョンさんは2019年入社。現在はフィッシングボートの設計者として活躍
チョンさんは2019年入社。現在はフィッシングボートの設計者として活躍

帰国後、インターネットで同社のことを調べ尽くし、「プレジャーボートの事業の存在を知ったことが、志望に拍車をかけました。大学で造船について学んでいたことも大きかったですね」と語っています。

今年で入社5年目を迎え、現在はフィッシングボートの艇体設計を担当。「まだまだ身につけなくてはならないことだらけです。電子、電気系の知識もその一つで、ソーラーボートの研究会活動は、そのあたりを補う自己啓発にもつながっています」と話します。

小学生向け「ボートふしぎ発見教室」では、ボランティアで講師を務めるチョンさん(左)
小学生向け「ボートふしぎ発見教室」では、ボランティアで講師を務めるチョンさん(左)

明るく行動的なチョンさんは、ボートに関する専門性を軸足に、ソーラーボート以外でも業務外の活動を充実させています。小学生を対象とした「ボートふしぎ発見教室」のボランティアもそのひとつ。

「子どもたちの笑顔を見られるのが本当にうれしい」と、こうした活動も活力になっているようです。

目前に迫った「2023年ソーラー・人力ボート全日本選手権」について、「まずはきちんと走り切ること。十分な試走もできないまま本番を迎えてしまいますが、今後につながる成功や失敗の経験を、新たなメンバーと共有できる大会にしたいと思います」と意気込んでいます。

(塚田 勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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