■内外装のデザインや操作性、視認性も進化
いすゞは、16年ぶりにフルモデルチェンジした中型トラック「フォワード」シリーズを2023年8月29日(火)に発売しました。
「フォワード」の全面改良では、デザインや安全面を中心に、快適性の向上やコネクテッドまで、全方位での進化が盛り込まれています。同モデルの特徴である豊富なラインナップはそのままに、先進安全装備の選択肢がさらに広がり、高い安全と快適性が提供されます。
エクステリアデザインは「PLEASURE to CARRY」をコンセプトに掲げ、タフで、しかも華やかなムードを放っています。中型トラックらしい車格感を演出しながらも、親しみやすさを覚えるスタイリングに仕上げたとしています。
フロントグリルに、いすゞの新しいブランドアイデンティティである「ワールドクロスフロー」を採用。小型車から大型車まで一貫性のあるグラフィックとしつつ、新しいフォワードでは中型トラックらしい堅牢さが表現されています。
一方のインテリアデザインは、タフで機能的なデザインとしつつ、親しみやすさも抱かせるデザインが採用され、幅広い層のドライバーが受け入れやすいムードが演出されています。
ドライバーが直接触れるスイッチ類をブラックカラーでゾーニングすることで、識別性、視認性の向上や耐傷性にも配慮されています。
居住性の向上も図られています。大型トラック譲りの新高機能シートの採用などにより、快適な座り心地を享受できます。
大型トラック「ギガ」に採用されている高機能シートを中型の新型フォワードにも搭載。シートサスペンションを任意の高さで固定し、乗降時や室内移動時に便利な「電子式サスペンションロック」、高級乗用車が採用する「吸引式ベンチレーション機能」、シートヒーターが備わり、長時間でも快適な運転が可能になっています。
そのほか、最大40Lを超える収納スペースが設けられ、トップクラスの利便性を備えています。
また、先進安全装備やコネクテッド機能の装備追加により、操作スイッチ数や車両からの情報量が増加する中、スイッチ類の最適配置が盛り込まれ、誰にでも扱いやすいなど、ドライバーの多様化にも配慮されています。
メーターパネルも刷新されています。中央部に7インチのメーターディスプレイが配置され、シンプルなレイアウト上に、新たに開発された「いすゞオリジナルフォント」によって視認性を向上させたそうです。走行中の視認性を高め、先進安全装備や車両コンディションの情報を的確に使えることが可能になっています。
インパネでは、タッチパネル操作の7インチセンターディスプレイの新採用が目を惹きます。バックカメラ映像やBluetooth接続による音楽再生機能、さらには「SmartDriveLink」を利用したスマホ・アプリを画面上で操作することが可能になり、車内のエンターテインメント性を向上。
安全装備も強化されています。近距離ミリ波レーダーとドライバーステータスモニターが追加され、検知や警報のみならず、システムが車両を制御することで、事故抑制や被害軽減に寄与。具体的には、走行時に車線を検知し、自動的にステアリングを制御することで、車線逸脱による事故を抑制します。高速走行時に車線内の中央走行を維持することで、長時間運転、長距離移動による疲労軽減に貢献します。
ドライバー異常時対応システム(EDSS:Emergency Driving Stop System)の採用もトピックスです。ドライバーが急病などで安全に運転できない際、システムが異常を検知して自動で車両を緊急停止。ドライバーによるスイッチ操作でも作動します。
さらに、ドライバーステータスモニターも用意され、居眠り運転や脇見運転などを検知し、警告音とモニター表示で注意喚起。過度な眠気を検知した場合、自動的にエアコンが強い冷風を発し、より強く注意喚起することで、事故の抑制が図られます。
夜間の視認性向上も図られています。可変配光型LEDヘッドランプの採用により、先行車や対向車の光をセンサーが検知。ハイビーム走行時に、安全走行に必要な範囲を自動で配光することで、良好な視界を確保し、安全と疲労軽減に寄与します。
新たにレーダーが追加されたことで「側方衝突警報装置(BSIS:Blind Spot Information System)」義務化の法規に対応しています。
交差点進入時の警報機能に加えて、車両直前や左側方、車線変更時の死角に入り込んだ対象物の検知、警報も可能になったのも朗報です。また、標識認識機能や標識連動型スピードリミッターも採用されています。
そのほか、ドライバーをサポートする機能として、アダプティブクルーズコントロールである全車速車間クルーズをエアサスペンション車にも追加。全車速域において車間距離を維持するように車両を制御。また、先行車が発進し、ドライバーの発進操作がない場合は、メーターディスプレイ上で先行車発進を知らせてくれます。
便利な電動パーキングブレーキも新たに設定されています。自動で作動、解除する機能を備え、ドライバーの離席と連動するほか、先述した「EDSS」による緊急停止でも自動で作動することで、安全性向上とドライバーの負荷軽減に貢献します。
なお、これらの先進安全機能は、ユーザーニーズや運行形態に合わせて選択できるよう、「ベーシック」「スタンダード」「アドバンス」「プレミアム」の4つのパッケージオプションが用意されています。
コネクティビティでは、2022年10月に開始された商用車情報基盤「GATEX(ゲーテックス)」を使った商用車テレマティクス「MIMAMORI」、いすゞ独自の稼動サポートサービスである「PREISM」が、新型フォワードにも提供されます。「PREISM」では、スマホ・アプリの機能が拡張され、車両だけではなくドライバーともつながることで、安全な稼動がサポートされます。
●車型/仕様/エンジン/トランスミッション/東京希望小売価格(税込)
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(塚田 勝弘)