日産「スカイラインNISMO」はレカロシートを選ぶと後席も構造が違う。どうして?

■スカイラインNISMOにはレカロシート装着車が用意される

走りを磨き上げたスカイラインNISMO
走りを磨き上げたスカイラインNISMO

専用デザインのレーシーなエアロに身を纏い、420ps/550Nmのエンジンスペックや専用のサスペンションチューンを誇る「スカイラインNISMO」。

同車にはオプション(100台限定のスカイラインNISMO Limitedには標準装備)としてレカロシートが設定されていますが、おやっ?と思ったのは、選ぶとフロントシートだけでなく、リヤシートも構造が変更になること。

理由を探ったら、答えは意外なところにありました(とはいえあまりにもド正論なので見方によってはぜんぜん意外じゃないですか…)。

その前に、リヤシートがどう変わるかといえば、標準仕様だと左右60:40の分割可倒となっているのが、レカロシート仕様だと倒れない固定式(アームレストスルーはついている)になっているのです。

スカイラインNISMOレカロシート装着車のリヤシート
スカイラインNISMOレカロシート装着車のリヤシート
スカイラインNISMOレカロシート装着車のリヤシートは、センター部分だけが貫通します
スカイラインNISMOレカロシート装着車のリヤシートは、センター部分だけが貫通します

えっ、倒れたほうが便利なのにどうして…?

●あえて不便にした理由は、走りにあった

狙いは軽量化。

トランク側から見るとこんな感じ
トランク側から見るとこんな感じ

レカロシートだけでも、標準シート(運転席/助手席とも電動調整式)に比べて軽くなるのですが、「最大限の軽量化をしたい」と、後席可倒機能の廃止にまで踏み切ったのだそうです。

その軽量化は、レカロシートに後席固定化、そして(どれだけ効いているかはわからないけれど)ドアトリム、センターコンソール、そしてセンタークラスターなど内装パネルのカーボン化も併せて20kg。モータースポーツを知る人なら20kgの軽量化に大きな意味があることをイメージできるのではないでしょうか。

レカロシート装着車でリヤシート構造まで変わるのは軽くするため
レカロシート装着車でリヤシート構造まで変わるのは軽くするため
スカイラインNISMOのレカロシート装着車
スカイラインNISMOのレカロシート装着車

ちなみに、レカロシートは市販品と同じではなく、NISMOロードカー用に形状やクッションをチューニングしたもの。

大胆にサイドサポートが張り出したシートバックのホールド性はさすがな一方、ガチガチにハードではなく、適度なクッション性があって快適性も保たれている印象です。

さらに、座面サイドの“土手”は高さが抑えられていて、乗り降りのも配慮しているあたりも市販品との違いですね。

こちらはスカイラインNISMOの標準シート。本革張りの赤ステッチ入りで電動調整機能が組み込まれる。
こちらはスカイラインNISMOの標準シート。本革張りの赤ステッチ入りで電動調整機能が組み込まれる。
こちらはスカイラインNISMO標準車のリヤシート。パッと見の形状は同じだがレカロシート装着車とは表皮が違う。そして必要があれば倒して荷室を拡大できる
こちらはスカイラインNISMO標準車のリヤシート。パッと見の形状は同じだがレカロシート装着車とは表皮が違う。そして必要があれば倒して荷室を拡大できる

ちなみに価格は、スカイラインNISMOの標準車が788万400円。RECAROシート+カーボン製フィニッシャー装着車が847万円。つまり、レカロシート代はカーボン製フィニッシャーも含めて約60万円ということですね。

そして、手組みエンジンを積む「スカイラインNISMO Limited」が100台限定で947万9800円。こちらはRECAROシート+カーボン製フィニッシャーが標準装備されています。

個人的に話をすると、ちょっとくらい使い勝手が悪くなっても、軽さを求めるというこだわりは嫌いじゃありません。むしろ、スポーツセダンらしくていいじゃないですか。

(文:工藤 貴宏/写真:井上 誠)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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