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■特に乳幼児の車内置き去りは注意
全国各地で猛烈な暑さが続く2023年の夏ですが、もうすぐお盆を迎えますね。クルマに乗って家族や仲間で帰省や旅行に出かける人も多いと思いますが、こんな時に注意したいのが車内熱中症。
特に、小さな子どもやペットを車内に残したままクルマを離れてしまうと、ちょっとの時間でも危険な状態になる危険性が高いと言われています。
そんなこの時期、ロードサービスを手掛けるJAF(日本自動車連盟)では、2022年8月の1ヵ月間に出動した「キー閉じこみ」の救援のうち、「子どもやペットが車内に取り残されたまま」だったケースが、全国で87件も発生したことを発表。
車内熱中症事故の予防について注意することを呼びかけています。
●ドアガラスを割るなどしたケースも3件発生
JAFによれば、2022年8月1日〜8月31日の1ヵ月間、出動した「キー閉じこみ」救援のうち、子どもやペットが車内に残されたままであったケースは、前述の通り、全国で87件発生。
そのうち、子どもが取り残されていたのが51件、ペットが取り残されていたのは36件もあったそうです。
しかも、これらのうち、緊急性が高いと判断し、通常の開錠作業ではなくドアガラスを割るなどしたケースも「3件」あったといいます。
ちなみにJAFでは、このような「子どもやペットの取り残し」が起きた原因について、現場での聞き取り調査も実施していて、なかには
「子どもに鍵を持たせていたら、ロックボタンを押してしまった」
「ペット(犬)が誤って運転席ドアのロックボタンを踏んでしまった」
というものもあったのだとか。
どちらも、うっかりミスなどで誰にでも起こりそうなことだけに、やはり十分な注意が必要ということですね。
●実験ではわずか15分で危険レベル
さらに、JAFでは、炎天下の野外に駐車したクルマでは、短時間で車内の温度が危険な暑さになる可能性が高いことも指摘しています。
実際に、JAFが実施した車内温度の検証テストでは、気温35度の炎天下に駐車した場合、直前までエアコンを使っていたとしても、窓を閉め切った状態でエンジン停止後(エアコンも停止)は、わずか15分で暑さ指数(WBGT、熱中症指数ともいう)が31度以上という、人体にとって「危険なレベル」に達したといいます。
また、JAFでは、外気温32度程度の日に、クルマを日なたと日陰に駐車して車内温度を比較するテストも実施。
それによれば、当然ながら日なたに置いたクルマの車内は40度を超す高温になったそうですが、実は日陰でも車内はかなりの高温に。30分程度で35度を超え、外気温より高い温度になったのだといいます。
●熱中症リスクは子どもだけでなく、大人やペットにも
つまり、これらのテスト結果をみると、短い時間でも車内は危険な暑さになるし、それは日陰でも同様ということが分かりますね。
特にJAFは、「乳幼児は体温調節機能が未発達」であるため、細心の注意をすべきだと言及しています。
よく「少しの時間だから」「寝ているから」などの理由で、小さな子どもを車内に取り残してしまい、重大な事故につながることは知られてますが、あらためて絶対にやるべきではないということですね。
またそれは、犬などのペットも同様。大切な命を守るためには、くれぐれも車内への取り残しは厳禁だといえます。
ちなみに、JAFは2021年に公式SNSアカウントで実施したキャンペーン「あなたの熱中症を教えて!」に寄せられたコメントの中から
「クルマで家族を迎えに行き待っているあいだ、エアコンを切っていたら熱中症になりかけた」
というエピソードも紹介。
「大人であっても車内熱中症に陥る危険性は十分にあります。暑いと感じられる際は無理をせず熱中症回避のため行動しましょう」
と呼びかけています。
(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)