目次
■CX-60の実用性はいかに
今回からはCX-60内外のユーティリティを見ていきます。
たくさんあるぞ!
試乗本編で述べたこともあらためて採りあげながら話を進めていきます。
●運転席まわり
・インストルメントパネル
上面をフロントガラスへの映り込みも考慮して黒に、ほかをピュアホワイトで色分け、いまどきのマツダ車の定石に則ったデザインで造形されています。メーターを除く前面を横方向にシャキッとまっすぐ1本線を通し、他社車のように変に湾曲させたりごちゃごちゃした造形でないのも好感。
写真を見てもわかるように、唯一残念なのは、インストルメントパネル上面を黒くして映り込みを防いでいる割に、フロントピラーの布貼りトリム(内張り)まで内装色のピュアホワイトにしてしまったことで、ガラス両脇に映り込みが生じています。これはおおいなる矛盾で、天井側はともかく、フロントガラスを囲む枠部は濃色にすべきです。
・センターコンソール
車幅1890mm、室内幅1550mmを活かしに活かし、かなりの幅っ広ぶりを見せています。
元来後輪駆動で、2駆4駆問わずプロペラシャフトを通すためのセンタートンネルを設けることになるため、大きめのセンターコンソールが鎮座します。
・メーター
速度計を真正面に、左に回転計、右に水温計&燃料計を配置。その余白・・・じゃなくて余黒に各種警告類を表示散りばめています。
弊社「ニューモデル速報」で主筆を務められていた星島浩さんが、いつぞや「ねえ、ヤマグチ君。クルマのメーターはいつまで経っても進歩しないねえ。決まった情報ばかり示しているだけで、いまの指針式ではもっとたくさんの表示をすることができない・・・」と語っていました。
CX-60は「もっとたくさんの表示をすることができ」る12.3インチTFTフル液晶タイプ。だからこそ写真のように、スイッチをONにするなりランプ全点灯&車両動画→「CX-60」ロゴ表示となります。増加傾向にある方式ですが、この手のものはヘンにグラフィックに凝っていたり、動画表現に熱心なばかりで実用性は乏しいため、筆者はどちらかといえば否定派です。否定派なのですが…
【全面液晶だからこその機能・その1】
CX-60は、シフトレバー前方の「Mi-DRIVE」スイッチで、通常の「NOAMAL」のほか、「SPORT」「OFF ROAD」、全3つの走行モードが選べますが、モードによってメーターのデザインも変わります。NORMALからSPORTに移すと写真のようになり・・・
NORMALからOFF ROADに変えると・・・
という具合。
【全面液晶だからこその機能・その2】
全部が全部ではありませんが、車速や距離を表す数字や単位を示す文字が拡大できます。これは盤面に数字が刻んであるだけの在来型指針式では絶対にできない芸当で、少子高齢化の一途をたどり、老眼のひとが増えてくる時代にふさわしい機能です。どの走行モード表示でも適用されますが、いちばん使うひと&状態が多いNORMALこそ目盛りが小さすぎ、かつ指針も細すぎる。目盛りも針も拡大してほしいところです。
【全面液晶だからこその機能・その3】
i-ACTIVSENSEの中のマツダ・レーダー・クルーズコントロール(MRCC)ないしクルージング&トラフィック・サポート(CTS)を起動すると、否応なしに指針モードから回転計と燃料計&水温計が脇に移し、デジタル表示に変わった車速と車両イラストを正面とする画(え)に変わりますが、MRCC or CTS未使用時でも使用時のような画面にすることができます。
こちらの画面も走行モードに応じたデザイン&色彩になります。
試乗本編でも書きましたが、車速と燃料計、積算&区間距離、航続距離だけを表示する「ハイウェイモード」も作るといいでしょう。高速道路を淡々と走っている間は最低限の表示にとどめ、不具合が生じたらそのときに報知する。全面液晶だもん、やる気になればすぐにでも対応できるでしょう。
それにしても、このような、全面液晶でなければできない実用性・機能性が与えられているなら全面液晶メーター否定派の筆者も大歓迎で、CX-60のメーターはちっとも遊んでいません。
・ステアリングホイール
ハンドルは下のスポークに穴が空いている3本スポークの革巻きタイプ。左右スポークにはスイッチが並んでいますが、いざというとき、ホーン鳴らしで大事を防ぐ可能性があることを考えると(むやみに鳴らしてはいけないものであるにしても)、本当はスポーク全体をホーンスイッチになったパッドにしてくれるほうがありがたいのですが、このへん、スイッチと両立させることはできないのかなァ。
電動パワーステアリングは、「軽くするためにただただひたすら軽くした」といわんばかりの、エントリーカー的スカスカ空まわりアシストではなく、指1本でまわせるほど軽いのに、適度な反力も持たせた、扱い心地のいい感触でした。
・ハンドル調節スイッチ
全機種ともハンドルはチルト&テレスコピック機能付き。上級機種は電動式となります。そのスイッチはハンドルコラム左=ワイパースイッチレバー下にあり、刻印のとおり、このスイッチの上下左右・・・というよりは、上下前後の操作で行います。
・ワイパー&ウォッシャースイッチレバー
「OFF」を起点に上向き保持している間作動の「MIST」、下に「AUTO」「LO(低速)」「Hi(高速)」と続きます。手前引きでワイパーが数回連動するウォッシャー液噴射。
全機種ともフロント用は、i-ACTIVSENSEのカメラが捉えた雨の量に応じて自動作動するレインセンサーワイパーで、AUTO作動時は「AUTO」文字の左でランプが点灯(点灯状態の写真を撮り忘れました。かんべん!)。中央のリングの上下まわしでその感度を調整します(「+」が反応しやすい。「-」が反応しにくい。)。雨量検知式はドライバーの感覚に合わずに作動するという、ろくでもないものが多かったのですが、最近は仕上がりがよくなり、CX-60でもイライラさせられるシーンはありませんでした。
先端のスイッチはリヤワイパー用で、向こうまわしで「INT(間欠)」「ON(連続作動)」、上下端でワイパー連動でウォッシャー噴射します。
・ターンシグナル&ライトスイッチレバー
上下途中保持で左右レーンチェンジャー(すぐ離しても3回点滅する、マツダ名「スリーフラッシュターンシグナル」付き)、どん突きで左右ターンシグナル。「スリーフラッシュ・・・」は、設定でOFFにもできます。
ライトは「AUTO」を定位置とする新オートライト規制対応版で、上にまわすごとにスモール、ライト強制点灯、下まわしでOFFの自動戻り。内側リングはリヤフォグランプスイッチ、先端側面には独立設置がありがたい、アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)のおおもとのスイッチがあります。詳しくは本リアル試乗「ライト編」をごらんあれ。
ワイパー、ライトのレバーとも、定位置のときに触れればわずかでもガタがあるものですが、CX-60のそれにはいっさいガタがなく、造りのよさを感じさせられました。
・運転席右側スイッチ群
上段左からアイドリングストップのマツダ呼称「i-stop OFF」に始まり、「TCS OFF」「パーキングセンサーOFF」、ダミーをはさんで「i-ACTIVSENSE OFF」のスイッチが並びます。
その下には、左3つがパワーシートの「ポジションメモリースイッチ」、再右がバックドアを電動開閉するための「パワーリアゲート」スイッチが。
・エンジンスイッチ
ハンドル左側に設置。「OFF」時、パーキングブレーキON(制動)&シフトP&ブレーキペダル踏みでのひと押しでエンジン始動。試乗車のハイブリッド車では、メーター内に緑色の「READY」点灯で発進スタンバイとなります。
ブレーキ踏まずでは、押すごとに「ACC」「ON」「OFF」を繰り返します。停止後のシフトPで押すとエンジンを含めたすべての電源がOFFに。
シフトP&ACCが約25分続くと自動でOFFになるのと、緊急操作として、ボタンを押し続ける、または素早く何度も押すとエンジン停止&ACCになるロジックも入っています。
・リモコンキー
めずらしくボタンはサイドにあり、こいつがちょい使いにくいし、おかげで写真も撮りにくかった。別に筆者が写真を撮りやすいように、じゃなく、操作のしやすさから、他社のように広い面にボタンをつけてほしいというのが最初の感想。
また、メカキーは中からスライドで引っ張り出すのではなく、裏ぶたを外し、ピンからキーを取り出すようになっているので、いざ非常時に戸惑うひとがいるかも知れません。
それはともかく、各ボタンを押したときの作動は他社のそれと同じで、ボタン名称どおりの働きをします。
ところで試乗車のリモコンは、車体色と同じロジウムホワイトプレミアムメタリックのカバーがついていました。このように、CX-60のリモコンキーには、販社オプションで6色のカバーが用意されています。一部はこの試乗車のようにボディカラーと同じものもあり、父ちゃん用、母ちゃん用、せがれ用、娘っ子用などと分けるといいでしょう。
次はシフトレバーまわりの話をと思ったのですが、どうにもこのCX-60は採りあげる項目が多すぎて長くなりそうです。
運転席まわり編を次回に続けます。
(文・写真:山口尚志(身長176cm) モデル:星沢しおり(身長170cm))
【試乗車主要諸元】
■マツダCX-60 XD-HYBRID Exclusive Modern〔3CA-KH3R3P型・2022(令和4)年8月型・4WD・8AT・ロジウムホワイトプレミアムメタリック〕
★メーカーオプション
・ドライバー・パーソナライゼーション・システムパッケージ 5万5000円(消費税込み)
・パノラマサンルーフ 12万1000円(同)
・ロジウムホワイトプレミアムメタリック特別塗装色 5万5000円(同)
●全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm ●ホイールベース:2870mm ●トレッド 前/後:1640/1645mm ●最低地上高:180mm ●車両重量:1940kg ●乗車定員:5名 ●最小回転半径:5.4m ●タイヤサイズ:235/50R20 ●エンジン:T3-VPTH型(水冷直列6気筒DOHC24バルブ直噴ターボ) ●総排気量:3283cc ●圧縮比:15.2 ●最高出力:254ps/3750rpm ●最大トルク:56.1kgm/1500~2400rpm ●燃料供給装置:電子式(コモンレール) ●燃料タンク容量:58L(軽油) ●モーター:MR型 ●最高出力:16.3ps/900rpm ●最大トルク:15.6kgm/200rpm ●動力用電池(個数/容量):リチウムイオン電池 ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):21.0/18.0/21.2/22.4km/L ●JC08燃料消費率:- ●サスペンション 前/後:ダブルウィッシュボーン/マルチリンク ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格:505万4500円(消費税込み・除くメーカーオプション)