週末レースクイーンの赤城ありさがラリードライバーデビュー。コ・ドライバーは梅本まどかさん!

■レースクイーンのオーディションのはずがドライバー採用?

2023年7月2日(日)に、渋川スカイランドパークを拠点として行われた「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ2023」の第5戦 渋川 伊香保で、「週末レースクイーン」として話題の赤城ありささんがラリードライバーとしてデビューします。

赤城ありさ選手
赤城ありさ選手

赤城ありささんは、2022年にスーパーGTのGT300クラス 5号車 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号のレースクイーンとしてデビュー。日本レースクイーン大賞2022にノミネートされるなどして活躍。

平日は商社で営業正社員として全国の取引先を廻り、週末はレースクイーン活動をする、というハードスケジュールをこなしていました。

赤城ありさ選手は富士24時間ST‐5クラス優勝チームのレースクイーン
赤城ありさ選手は富士24時間ST‐5クラス優勝チームのレースクイーン

2023年は、スーパー耐久 ST-5クラスの名門TEAM NOPROの17号車と37号車を応援するTEAM NOPROレースクイーンとして活躍。

5月27日~28日に開催された富士SUPER TEC24時間レースでは、ST-5クラスで17号車 DIXCELアラゴスタNOPROデミオがクラス優勝を果たしたことで、優勝チームのレースクイーンとなりました。

赤城ありさ選手は富士24時間ST‐5クラス優勝チームのレースクイーン
赤城ありさ選手は富士24時間ST‐5クラス優勝チームのレースクイーン

また、D1GPではウエインズトヨタ神奈川 俺だっ!レーシングの「エヴァRT弐号機 スープラ」を応援するエヴァンゲリオンレーシングのレースクイーンとして綾波レイ役となるなど、最近注目のレースクイーンです。

ただし、平日は商社の営業正社員という生活はそのまま。

そんな赤城ありささんは、Formula DRIFT JAPANに参戦するCUSCO RACINGのレースクイーン「生くす子ちゃん」に応募し、書類選考で合格。数日後の面接に臨んだ赤城さんは、このときさらに信じられないチャンスに恵まれることになります。

梅本まどか選手と赤城ありさ選手
梅本まどか選手と赤城ありさ選手

「生くす子ちゃん」のキャスティング担当者が、RALLY JAPAN 2022に参戦したウェルパインモータースポーツの代表である松井悠さんで、面接であるにもかかわらず、お互いの愛読マンガの「湾岸ミッドナイト」の話で盛り上がってしまった、とのこと。

その話の流れから、「生くす子ちゃん」活動のほかに、生くす子ちゃんの原型であるキャラクター「高崎くす子」を擁したチーム「CUSCO JUNIOR RALLY TEAM」を復活させるので、そこでラリードライバーをやってみないか?という話となって、両方に採用されたのです。

実は赤城選手も生くす子ちゃんのメンバー
実は赤城選手も生くす子ちゃんのメンバー

それこそマンガのような話で、ラリードライバーとレースクイーン「生くす子ちゃん」の二役を務めることになった赤城ありささん。すぐさま国内B級ライセンスを取得します。

しかも、松井代表の無茶振り、「2年後のRALLY JAPAN出場」の実績確保のために、初戦から国内A級ライセンスを所持することになり、筑波サーキットのAライ講習会にまで参加することに。

そして、いよいよ参戦。デビューレースに選ばれたのは、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ2023の第5戦 渋川 伊香保。

梅本まどか選手と赤城ありさ選手
梅本まどか選手と赤城ありさ選手

マシンは、チームが用意してくれたトヨタ ヤリス、そしてコ・ドライバーは昨年RALLY JAPANに出場した、元SKE48の梅本まどか選手。そう、クリッカーでもお馴染みの梅本まどかさんです。

レッキを終えてペースノートを元にラリーを勉強する赤城選手
レッキを終えてペースノートを元にラリーを勉強する赤城選手

若手コ・ドライバーとして屈指の存在となった梅本まどか選手が、コ・ドライバー兼監督として赤城ありさ選手を鍛えるというのです!

CJRTは女性メンバーのチームとして復活
CJRTは女性メンバーのチームとして復活

新生CUSCO JUNIOR RALLY TEAMは、メインメンバーを女性としたチームとなり、そこからRALLY JAPANを目指していくとのことです。

監督兼コ・ドライバーは梅本まどかさん、ドライバーは赤城ありささん、メカニックは今年のGT300クラス 5号車 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号のレースクイーンで、D1GPイメージガールも務める荏崎ろあさん。

今回は、生くす子ちゃんでもある赤城ありささんがドライバーとなっているため、生くす子ちゃんは蒼 雪乃さんと井上みずなさんの2名が担当します。

●佐藤社長も開会式であいさつ。アマチュアでもレベルの高いTGRラリーチャレンジ

TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジは、初心者向けと言われますが、レースで言うところの86/BRZカップやヤリスカップにあたるので、思った以上にレベルが高いとも言えます。基本的にはアマチュア向けラリーですが、スーパーGTドライバーも参戦。

開会式にはトヨタ自動車の佐藤社長も挨拶
開会式にはトヨタ自動車の佐藤社長も挨拶

開会式には、大会名誉会長の衆議院議員・小渕優子さんや、トヨタ自動車の佐藤恒治社長も挨拶。また、群馬県以外の自治体からも職員や市長などが視察に来るなど、様々な分野からも注目されているシリーズなのです。

ラリー界のレジェンド、勝田範彦さんもドライバーデビューを歓迎
ラリー界のレジェンド、勝田範彦さんもドライバーデビューを歓迎

そんな中、スーパーGTで5号車 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号をドライブする、松井孝允のコ・ドライバーとしてこのラリーに参戦した、ラリー界の現役レジェンドな勝田範彦さんも、「ラリーチャレンジを起点にどんどん新しい人にラリーを楽しんでもらいたい」と、赤城ありさ選手のドライバーデビューを歓迎。

初心者に向けたアドバイスを贈る勝田さん
初心者に向けたアドバイスを贈る勝田さん

赤城選手は、勝田さん直伝の、初心者としての心構えなどを熱心に聞き入っていました。

午前中最後のSSをスタートする赤城選手のヤリス
午前中最後のSSをスタートする赤城選手のヤリス

今回のTGRラリーチャレンジ渋川 伊香保のヘッドクォーターが設置された、渋川スカイランドパークはいわゆる遊園地で、そのカートコースをSS3とSS6として設定し、観戦できるようにギャラリーSSとされていました。

そのギャラリーSSを含めた来場者数は、なんと4500人にも上り、アマチュアメインのラリー競技としては大盛況! 渋川と言えば、漫画「頭文字D(イニシャルD)」の舞台となったことでも有名で、また群馬県全体がラリーの聖地としても名を馳せていることも、来場者数の遠因かもしれません。

ラリーチャレンジ渋川伊香保の総合優勝は佐々木雅弘選手
ラリーチャレンジ渋川伊香保の総合優勝は佐々木雅弘選手

また、赤城選手のラリーの様子をお知らせする前に、先に総合優勝をお知らせします。スーパー耐久であの水素カローラをドライブするメンバーの一人・佐々木雅弘選手が総合優勝となりました。

●赤城ありさ選手のデビュー戦はいかに?

ラリーはレースと違い、スペシャルステージ(SS)を1台ずつ走り、そのタイムによって順位が決定します。そのため、スタートは1台目が9時だとしても、ゼッケン番号が大きくなるにしたがって、スタート時間が後の方になってきます(※競技が進むにつれ、タイム順や総合順位順などのリグループが行われることもある)。

サイドバーを跨いでマシンに乗り込む赤城選手
サイドバーを跨いでマシンに乗り込む赤城選手

赤城・梅本組のスタートは10時32分。スタート前のちょっとした空き時間には、赤城選手がレースクイーンをしているときのファンも多数訪れていたこともあって、ファンサービスをする姿も見ることが出来ました。

スタート時刻が近づくと赤城選手、梅本選手ともに頑丈なサイドバーを跨いでマシンに乗り込み、セレモニアルスタートの遊園地正面ゲート前へ向かいます。

ドライバーシートの赤城選手
ドライバーシートの赤城選手

セレモニアルスタートでは、短めのインタビューなども行われますが、そのインタビューに対して「慎重に完走を目指します」と意気込みを語る赤城選手。

スタート直前のヤリス
スタート直前のヤリス

スターターは、この大会に訪れた来賓の方々が行うの通例で、そのVIPな来賓の方が振るラリーチャレンジの旗がスタートの合図。

初めてのセレモニアルスタート
初めてのセレモニアルスタート

ラリーの場合は、スタートをしてもSS以外では一般道をリエゾン区間として走るので、交通法規を遵守しており、このセレモニアルスタートでもマシンはゆっくりと走りだします。

初めてのセレモニアルスタート
初めてのセレモニアルスタート

今回のTGRラリーチャレンジ渋川伊香保では、林道に設置されたSS区間での取材エリアが非常に狭いため、走行の取材は渋川スカイランドパークのカートコースに設定されたギャラリーSSで行いました。

意外とインベタで攻める赤城選手
意外とインベタで攻める赤城選手

ギャラリーSSはSS3とSS6という、午前と午後の最終SSとして設定されており、ここまで来る間に2本のSSを走ることになります。

TGRラリーチャレンジの中では、かなりトリッキーなコースと言われる渋川伊香保戦ですが、そのトリッキーさに加えて、前日の土曜日にはかなりの大雨が降っており、一夜明けてもコース上はかなり滑りやすい状況であったと言います。

競技車両が走る前に安全確認を行うゼッケン0Aのマシンをドライブした、スーパーGT GT300クラスで61号車 SUBARU BRZ  R&D SPORTのドライバーである山内英樹選手も、「道幅が狭い上にかなり滑りやすい難しいコース」と言っています。そんな難しいSSを、とにかく慎重に走り抜けてSS3にやって来た赤城選手。

赤城選手のヤリス
赤城選手のヤリス

遊園地のカートコースと聞くと簡単そうな印象を持たれるかもしれませんが、ゴーカートが走るコースを普通のクルマが攻め込んで走ろうとすれば、狭い上にカーブの曲率もきつくなってきます。つまりは、距離は短いがテクニカルなコースとなるのです。

赤城選手の走る順番の少し前に、長年ラリーを走っている俳優の哀川翔さんがドライブしたGR86が、走行不能になるほどのクラッシュを喫しています。

そんな難しいコースを、かなり慎重に走る赤城選手。「絶対に完走」という意志だけは強く感じられます。

午前の走行を終えサービスに戻ると集まった方々に午前完走の感謝で深々と頭を下げる赤城選手
午前の走行を終えサービスに戻ると集まった方々に午前完走の感謝で深々と頭を下げる赤城選手
午前の走行を終えサービスに戻ると集まった方々に午前完走の感謝で深々と頭を下げる赤城選手
午前の走行を終えサービスに戻ると集まった方々に午前完走の感謝で深々と頭を下げる赤城選手

無事にSS3を完走しサービスに戻ってきた赤城選手は、かなり緊張していたのでしょう、マシンを降りるなり「午前中は無事に完走できました」と感謝を込めて深々と頭を下げます。

赤城選手と梅本選手が午後の走行に備えて昼食や準備をしている間に、メカニックの荏崎ろあさんがマシンのチェックをしていきます。

お昼のサービスタイムでメンテナンスをするメカニックの荏崎ろあさん
お昼のサービスタイムでメンテナンスをするメカニックの荏崎ろあさん

エンジンルームのチェックからホイールナットの増し締め、フェンダーの内側についた泥を落とすなど、仕事を完ぺきにこなしていきます。

RALLY JAPANでもメカニックとして参加し、今回で4回目のラリーメカニックというだけのことはあって、やるべきことを全てわかっているところが心強さを感じます。

午後の最終SSのスタート
午後の最終SSのスタート

そして、午後の走行も慎重に慎重を重ねたという印象の赤城選手でしたが、梅本選手のペースノートとアドバイスの成果でしょうか、タイムは少しずつ上がってきています。

そして迎えた最終SSであるSS6。午前中のSS3と同じカートコースですが、明らかな違いを持って走ります。

午前に比べて走りが進化している赤城選手
午前に比べて走りが進化している赤城選手

同じコースを走っているのに、ライン取りが明らかに違います。というか、進化していると言っても過言ではありません。どれだけ違うかと言えば、午前中に比べてタイムが7秒も縮まっているのです。

ここに至るまでに、筑波サーキットのタイムトライアルとAライの実技試験、そしてラリー走行練習会に1回だけ参加したことがあるということで、スポーツ走行の経験が3回。

そんな初心者が、実際のラリーを競技で走るとここまで伸びるものなのか? いや、むしろ伸びしろしかないという状況かもしれません。

赤城選手のヤリス
赤城選手のヤリス

タイム的には参加チームの中で誰よりも遅いタイムかもしれませんが、それでも競技の中で自己ベストを更新し、またモータースポーツの基本中の基本であるクルマを壊さずに完走する、ということに徹することで、第一目標である完走を手に入れたのです。

パルクフェルメから戻る赤城選手と梅本選手
パルクフェルメから戻る赤城選手と梅本選手

RALLY JAPANを目標に掲げて、国際C-Rライセンスを取得するために実績を積むことにおいて、その実績に順位は関係ありません。あくまでも完走が条件です。

次なるチャレンジがいつになるかは知らされていませんが、2年間でラリー5回を含む10回の完走をすることで、RALLY JAPAN出場に必要なライセンスが手に入ります。

赤城ありささんがネタではなく、本当に選手としてRALLY JAPANの舞台に立つ日が来ることを祈って、これからも注目していきましょう。

初めてのラリーを無事完走で終えた赤城選手と梅本選手
初めてのラリーを無事完走で終えた赤城選手と、それを導いた梅本選手

(写真・文:松永 和浩/レースクイーン写真提供:赤城 ありさ)

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clicccar 梅本まどか
https://clicccar.com/?s=%E6%A2%85%E6%9C%AC%E3%81%BE%E3%81%A9%E3%81%8B

【関連リンク】

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この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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