トヨタ「チェイサー」デビュー。スカイラインの対抗馬として、ハードトップ2000(SGツーリング)は163.8万円で登場【今日は何の日?6月24日】

■マークII 3兄弟で最もスポーティな高級セダンのチェイサー

1977年にデビューした、人気車マークIIの兄弟車チェイサー(ハードトップ)
1977年にデビューした、人気車マークIIの兄弟車チェイサー ハードトップ(写真:弊社刊「歴代トヨタ・マークIIのすべて 電子版」より)

1977(昭和52)年6月24日、トヨタの人気モデル「マークII」の兄弟車として、新型「チェイサー」がデビューしました。

チェイサーと、その後1980年にデビューした「クレスタ」を含めて「マークII 3兄弟」と呼ばれていくこれらのクルマは、爆発的な人気を獲得。3兄弟のなかでもチェイサーは若い層をターゲットにし、ライバルは当時、絶大な人気を誇っていた日産自動車の「スカイライン」でした。


●チェイサーのベースとなったのは3代目マークII

マークIIは、コロナとクラウンの中間層を狙って、1968年にコロナの最上級モデル「コロナ・マークII」として登場しました。

デザインはコロナを継承しながら、一回り大きくして室内空間が広い高級セダンとし、4ドアセダンと2ドアハードトップを用意。なかでも当時はまだ珍しく、流行り始めていたハードトップが人気を集めたのです。

1972年の2代目では、さらに上級化、大型化して、2.0L直6エンジンやEFI(電子制御燃料噴射)など最新技術も採用されました。

1976年にデビューしたヨーロッパ調の3代目マークII
1976年にデビューしたヨーロッパ調の3代目マークII

そして、1976年にチェイサーのベースとなった3代目へ移行。丸形ヘッドライトとスクエアライトに、独立したフロントグリルという、ヨーロピアン調の風雅な雰囲気が特徴でした。エンジンは、2.0L直4と直6 SOHCをベースに、最上級グレードのフラッグシップ「2600グランデ」には2.6L直6 SOHCエンジンが搭載されたのです。

●マークIIよりスポーティな高級セダンのチェイサー登場

3代目マークIIデビューの翌1977年の今日、兄弟車の初代チェイサーがデビューしました。

初代チェイサー(ハードトップ)のリヤビュー(写真:弊社刊「歴代トヨタ・マークIIのすべて 電子版」より)
初代チェイサー(ハードトップ)のリヤビュー(写真:弊社刊「歴代トヨタ・マークIIのすべて 電子版」より)

落ち着いた雰囲気のエレガントな高級セダンのマークIIに対して、チェイサーは若い層をターゲットにした高級感のあるスポーティなセダン。ライバルは、当時若者から絶大な人気を集めていた日産の4代目「スカイライン(ケンメリ)」でした。

ボディタイプは、マークIIと同じく4ドアセダンと2ドアハードトップの2種類で、フロントグリルは格子を基調にメッキ枠を施し、ヘッドライトもシンプルで精悍な2灯式を採用。エンジンは、1.8L&2.0L直4 OHCと2.0L直6 OHC、および同EFI仕様の4種が用意され、車両価格は人気のハードトップ2000(SGツーリング)が163.8万円でした。

初代チェイサーは、1980年の2代目チェイサーに移行するまでの3年間で約10万6000台を販売するヒットを記録。エレガントなマークIIはトヨペット店、兄弟車のスポーティなチェイサーはトヨタオート店(現:ネッツ店)で販売、それぞれ販売チャンネルに合わせた個性を持たせていたのです。

●クレスタも加わってマークII 3兄弟誕生、ハイソカーブームをけん引

1984年に登場した3代目チェイサー
1984年に登場した3代目チェイサー

さらにチェイサーに勢いをつけたのは、もう一つの兄弟車「クレスタ」が1980年に登場して、「マークII 3兄弟」が誕生してからでした。マークII 3兄弟とは、マークIIにプラットフォームが共通の兄弟車、チェイサーとクレスタを加えた3つの高級セダンの俗称です。

1984年にモデルチェンジしたマークII 3兄弟(5代目マークII、3代目チェイサー、2代目クレスタ)
1984年にモデルチェンジしたマークII 3兄弟(5代目マークII、3代目チェイサー、2代目クレスタ)

・落ち着いた雰囲気の高級セダンのマークII
・高級感のあるスポーツセダンのチェイサー
・スタイリッシュな高級パーソナルセダンのクレスタ

と棲み分けされ、1984年発売の5代目マークII/3代目チェイサー/2代目クレスタの3兄弟が中心となって、スポーティな高級セダンの「ハイソカー」ブームをけん引することになります。

3兄弟合計の販売台数は、1984年から1988年にかけて4年間で115万台、平均月販台数はなんと2万4000台と、爆発的なヒットを記録。その内訳は、おおよそマークII(50%)、クレスタ(30%)、チェイサー(20%)でした。


チェイサー(英語で追跡者)は、ライバルのスカイラインを追いかけるという意味があったとか、なかったとか、やはり対抗意識があったのだと言われていました。当時大人気のケンメリ(スカイライン)にどの程度対抗できたのか、微妙だとは思いますが、別のフィールドで人気を博したモデルであったのは確かです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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