ナンバープレートが落ちて無くなってた! では「手書きのナンバープレート」で走って大丈夫?【バイク乗りがやっちまった失敗談・その7】

■ベテランライダーが経験した間抜けな失敗を繰り返さないで欲しい

いまやったら炎上しそうなエピソードです。
いまやったら炎上しそうなエピソードです。

「なんであのとき、あんなことをしたんだろう?」バイクに長く乗っていればミスもします。その理由は無知だったり、うっかりしていたりとさまざまですが、知っていれば、気をつけていれば避けられたかも。

バイク歴30年近いベテランライダーが、過去に経験した失敗談をシリーズでお伝えします。同じような間抜けなミスをしないように、反面教師にしていただければ幸いです。

第7回は、走行中にナンバープレートを落としてしまったお話です。

●ふと後ろを見てみると……ナンバープレートがない!

あれは20年以上前、当時私は自動車雑誌の編集部にいたのですが、クリスマスイブに編集部員総出の大きな取材がありました。

憂鬱だったのは帰りの移動でした。今は知りませんが、当時クリスマスイブの夕方は道路が大渋滞することが分かっていたからです。

そこで、私はあまり渋滞にハマらなくてすむように、取材にはバイクで出かけました。

どうもナンバープレートを落としてしまったようなのです。(写真はイメージ)
どうもナンバープレートを落としてしまったようなのです。(写真はイメージ)

当時私も若かったので、大した冬用の装備は持っていませんでした。そのため、早朝からしばらく高速道路を走っていたら、もう寒くて寒くてたまらなくなりました。

そこで、ある料金所を過ぎたところで、グローブの下に薄いインナーグローブをつけようとバイクを左に寄せて駐めました。操作性が悪くなるのでつけていなかったんですが、あまりにも手が冷たいのでつけることにしたのです。

で、インナーグローブをつけながら、バイクの後ろなんとなくを見ると…。

ない! ナンバープレートがない!

いつからないのかは分かりません。でも、このときに初めて気づいたので、来る途中どこかで落としてしまった可能性が高いです。ネジがゆるんでいたんでしょうか…。どうしようかと思いましたが、もう時間的に取材に向かうしかない。ナンバーがないまま取材場所に行きました。

先輩たちとは、次々と「オマエ、この寒いなかバイクできたの? ははははは!……えっ、なんでナンバーないの???」「いやー、落としちゃったみたいなんですよ」

そんなやりとりが繰り返されました。

バイクのナンバープレートには封印がないので、簡単に外れちゃうんですよね。
ちなみに、乗用車とちがってバイクのナンバープレートには封印はありません。

そして夕方。取材も無事に終わり、またどうしようかと思ったのですが、けっきょくナンバーがないまま乗って帰ることにしちゃいました。

まぁ、今考えるとよくないですよね。警察に届けてバイクはどこかに置いていくか、陸送するかしたほうがよかったでしょう。ただ、当時はスマホもない時代で、警察署がどこにあるのかもカンタンには分からない。また取りに来るのも大変だし、陸送するのもお金がかかりそう。

ということで、乗って帰ることにしちゃったのでした。皆さんはマネしないでください。

●手書きのナンバープレートで通勤

当日は特に捕まることもなく帰宅でき、その日だったか翌日だったかに、警察にナンバープレートの紛失届を出しました。

次の悩みはその後です。紛失届を出したので、誰かに拾ってもらったら戻ってくるかもしれない。なのに、すぐにナンバーの再交付に行くのはバカバカしい。ということで、しばらく待ってみることにしたのですが、その間にも、通勤に使いたい。

そこで「とりあえず紙にナンバーを手書きして貼っときゃ大丈夫じゃね」と思い、厚紙にナンバーを書いて貼り付けました。

これ、今調べてみたら法律的にはアウトだと思います。道路運送車両法をチェックしてみると、その第73条で、『車両番号標』(ナンバープレートのこと)を表示しなければならないとされているので、文字通り解釈すれば『車両番号を記載した紙』じゃダメそうですよね。

こんなふうに手書きのナンバープレートをつけてみました。(写真はイメージ)
こんなふうに手書きのナンバープレートをつけてみました。(写真はイメージ)

とはいえ、これまた若かったこともあり、今みたいにインターネットで簡単に道路運送車両法の条文を見たりできない時代だったこともあって、「大丈夫じゃね」と思ってしまったのでした。

ところが! その日の夜、まんまと飲酒検問に遭遇しました。まぁ、年末でしたからね。検問も多かったわけです。もちろんお酒は飲んでいなかったわけですが、手書きのナンバープレートに気づいたお巡りさんに「ん? このナンバーはなんだ?」と聞かれてしまいました。

「ナンバー落としちゃったんです」と説明したところ、ナンバーが確認できる書類を見せるように言われたので、軽自動車届出済証を見せました。

「紛失届出してる?」と聞かれて「出してます」と言ったら、お巡りさんは同僚と「まぁ、番号は合ってるし、本人のバイクだっていうのは間違いなさそうだから、いいか」というような話をしてから、「じゃあ、早く再交付してもらって」といわれておとがめなしでした。

だからって、読者の皆さんは手書きのナンバープレートで大丈夫だと思わないでください。これは、このお巡りさんが寛容だっただけかもしれません。もっと厳格なお巡りさんだったらアウトだったかも。なのでマネはしないでください。

さて、このように外出先でナンバープレートを紛失した場合、本来はどうするべきなんでしょう? ボクも統一的な見解を知りたいと思って警察庁に電話して聞いてみたのですが「状況に応じて個別の対応になるので、一律には返答できない」と言われてしまいました。

それもわかるような気がします。家がすぐそこで、持ち主であることが証明できたら、乗って帰っていいと言われることもあるかもしれませんし、そのまま何日も旅を続けるというのは認められそうにありません。

まぁ、無難な対応策は、まず最寄りの警察に届け出て相談することでしょう。任意保険のロードサービスで陸送してもらうこともできるかもしれません。1990年代の愚かな若者だった私のように、勝手な判断でナンバー無しのまま帰宅したり、手書きのナンバーで通勤したりしないほうがいいでしょう。

ナンバープレートの取り付けボルトも、ときどき点検してください。
ナンバープレートの取り付けボルトも、ときどき点検してください。

そしてなにより、ナンバープレートのボルトもときどきチェックして、必要に応じて増し締めしてください。あまり走行に危険が及ぶ箇所ではないので、気にしていないライダーも多いかもしれませんが、走行中に飛んでいくと他車にも迷惑だし、意外とやっかいな状況に追い込まれますからね!

(まめ蔵)

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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