5日間エンジンがかからなかった、理由は?【バイク乗りがやっちまった失敗談・その1】

■ベテランライダーが経験した間抜けな失敗を繰り返さないで欲しい

Failure_Story01
無知か?うっかりか?バイクのエンジンがかからない!

「なんであのとき、あんなことをしたんだろう?」

バイクに長く乗っていればミスもします。その理由は無知だったり、うっかりしていたりとさまざまですが、知っていれば、気をつけていれば避けられたかも。

バイク歴30年近いベテランライダーが、過去に経験した失敗談をシリーズでお伝えします。同じような間抜けなミスをしないように反面教師にしていただければ幸いです。

第1回は、なんとも恥ずかしい理由で何日もエンジンがかけられなかった話です。

●何回キックしてもエンジンがかからない

現代ではキックスタートのバイクはだいぶ減りましたね(写真はクロスカブのキックスターターペダル)
現代ではキックスタートのバイクはだいぶ減りましたね(写真はクロスカブのキックスターターペダル)

これはもう25年くらい前。ときどき会社にバイクで行っていたんですが、ある日、帰ろうと思ってエンジンをかけようとしたのですが、かからない。当時、私が乗っていたのはキャブレターの2stレーサーレプリカで、セルスタートではなかったので、何回もキックをしました。

なので、ウンともスンともいわないわけじゃない。「ブン」と言わないだけです。その分、セルスターターのバイクと比べると、素人には原因がわかりにくかったのかも。もちろんキーは「ON」の位置になっていますが、燃料系の問題なのか、電気系の問題なのかもわからない。

細かいことは忘れてしまいましたが、キャブレター車なので、チョークを引いたり戻したり、アクセルを開け気味でキックしてみたりと、いろいろやってみたと思います。とはいえ、あんまりやるとプラグがかぶってしまうんじゃないかという心配もあり、その日はバイクで帰るのはあきらめて電車で帰りました。

その翌日、またエンジンをかけようと試みました。前日かぶってしまったのだったら、1日たってプラグが乾いて、かかってくれるんじゃないかな、というような期待もありました。でもダメでした。あまりよく覚えていませんが、燃料コックのポジションや、ガソリンの量なんかも見たと思います。

●先輩が心配して見てくれているとき

セルスタートのバイクなら、電装系が原因でエンジンがかからないときにはわかりやすいかも?
セルスタートのバイクなら、電装系が原因でエンジンがかからないときにはわかりやすいかも?

その後、雨の日があったり、クルマで通勤した日があったりと、毎日試したわけではないのですが、結局、何日もエンジンをかけることはできませんでした。

しかし、バイク屋さんに来てもらうのも大げさすぎる気がしちゃって、なんとなく「自分で解決したいなぁ」と思いつつ、5日くらい経過したある日。

私が駐車場で繰り返しキックをしていると、先輩が通りかかりました。何日か前にちらっと話していたので、先輩も私のバイクのエンジンがかからないということは知っていました。「ん? まだエンジンかからないの?」

「バッテリーはあがってない?」「かぶっちゃってない?」いろいろ先輩も心配して聞いてくれたんですが、そのときです! この5日間で初めてワタクシの目線がふとバイクのある場所に行きました。

それは、右のハンドルにあるスイッチボックス。そして、そこにあるキルスイッチの状態は『OFF』。「ん? ん? ん? OFF? ということは、こ、これか? これが…原因か? そうだよな。キルスイッチがOFFになっているんだから、エンジンがかからないわけだよな」。

誰かがさわってしまったのか、自分でさわったのか、いつのまにかキルスイッチがOFFになっていたのでした。

キルスイッチがOFFの状態(イメージ)。よく見える位置にあることはあるのですが……
キルスイッチがOFFの状態。よく見える位置にあることはあるのですが……

バイク乗りならご存じのかたも多いでしょう。キルスイッチというのは、電気の流れを止めることでエンジンを止めるスイッチで、たいてい右のハンドルについています。

転倒時などに簡単にエンジンをOFFにするための装備ですが、もともとは競技車両のためのもので普通に街乗りしているぶんにはまず使いません。転倒したって、ほとんどの場合はメインキーでエンジンを止めることができますしね。

多くのバイクに装備されていますが、私もほとんど使ったことがなかったので、エンジンがかからない原因がキルスイッチだなんて、それまで何日も気づかなかったのでした。よく見える位置にあるうえに、見れば一瞬でわかるのに! なんとも恥ずかしい。

キルスイッチは普段はONの状態にしっぱなしで、あまり気にしていないひとが多いと思います
キルスイッチは普段はONの状態にしっぱなしで、あまり気にしていないひとが多いと思います

それにしても、このタイミングでこんなしょうもない原因に自分で気づくっていうのは、なんか気まずい。一瞬どういうリアクションをとったらいいかわからなくなった私は、つい「あ、あ、あ、すいません。今日はもういいです。こんど休みの日にでも明るいときに見てみます!」とごまかすと、さいわい先輩はキルスイッチに気づかずに「そうだね。暗いとよくわからないもんな」と言って去っていきました。

先輩がいなくなったのを見はからってキルスイッチを『ON』に戻してキック!「ブンー、ブンブンブンー」一発始動! よかったー。エンジンがかかったのも、先輩に気づかれなかったのも。

先輩には翌日「あの後、もうちょっとやってみたらエンジンかかりましたー」と、これまたさわやかに言っておきました。

●エンジンがかからないときは真っ先にチェック!

クロスカブにはキルスイッチがありません。なくてもそんなに困らない装備だと思うんですけどね
クロスカブにはキルスイッチがありません。なくてもそんなに困らない装備だと思うんですけどね

というわけですので、普段キルスイッチを意識することってなかなかないと思いますが、キックスタートのバイクにしても、セルスタートのバイクにしても、エンジンがかからないときは、まずキルスイッチがOFFになっていないか見てみてください。

私はこの経験があるので、さすがにこれ以降はエンジンがかからないときには真っ先に見るようにしています。

(まめ蔵)

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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