まだ通ることができるタクシーの「行灯殺し」「提灯殺し」、高輪ゲートウェイ駅近の極低ガードがヤバい!

■タクシーの行灯を破壊するほど天井が低いガード

東京都港区の地下鉄浅草線・泉岳寺駅の近くに「行灯殺しのガード」「提灯殺しのガード」(以下行灯殺しのガード)と呼ばれている低いガードがあります。2020年4月でクルマ・バイクの通行は禁止となりましたが、現在も歩行者・自転車用のガードとして健在です。

行灯殺しのガードは歩行者・自転車用として、今も使用されています
行灯殺しのガードは今も歩行者・自転車用道路として使用されています

「行灯殺しのガード」の由来は、ガードの天井が約1.7mしかなく、タクシーが行灯(タクシー社名表示灯)を天井にぶつけて破損することがしばしばあったためです。

「提灯殺しのガード」とも呼ばれているのは、個人タクシーに提灯型行灯が存在するからだと思います。天井があまりにも低いので、背の高い歩行者は首をかしげないと通行できないほど。

ちなみに、当時のガードの長さは約230mもありました。

クルマが通行していた頃の行灯殺しのガード(2014年撮影)
クルマが通行していた頃の行灯殺しのガード(2014年撮影)

行灯殺しのガードがある道路は、高輪橋架道橋下区道と呼ばれていて、東海道本線の下をくぐって港区高輪2丁目と港南1丁目を結んでいます。

車道の幅は約2.8mで、クルマ・バイクは東の高輪2丁目から東の港南1丁目への一方通行でしたが、このガードの北側で東海道本線を横断する道路札の辻橋はかなり混むので、田町方面から品川駅港南口方面への近道として重宝されていました。

しかし、前述した通り天井の高さが約1.7mと低いため、通行できるクルマの高さは1.5mに制限されていました。しかも、ガードの前後は急坂になっていて、実際以上に低く感じられました。

高さ制限1.5mの標識と行灯殺しのガード高輪2丁目側入口(2014年撮影)
高さ制限1.5mの標識と行灯殺しのガード高輪2丁目側入口(2014年撮影)
行灯殺しのガード港南1丁目側出口。タクシーの行灯がかなりギリギリなのがわかります(2014年撮影)
行灯殺しのガード港南1丁目側出口。タクシーの行灯がかなりギリギリなのがわかります(2014年撮影)

行灯殺しのガードは、JR山手線・高輪ゲートウェイ駅周辺の整備エリアに含まれていて、高輪橋架道橋下区道は第二東西連絡道路として整備することになりました。それに先駆けて、2020年4月でクルマ・バイクの通行が禁止となりました。2019年11月18日には東海道本線・山手線・京浜東北線の線路を東側に移設。その後、旧線路部分の一部の天井が撤去され、ガードの長さは短くなっています。

ガードの天井が撤去された部分(2020年撮影)
ガードの天井が撤去された部分(2020年撮影)

2023年4月3日からは、西側の国道15号線からガード入口までを仮設通路に切り換え、地上からガードに降りる階段が設置されました。6月中旬からは東側も仮設通路と階段に切り換えられます。仮設通路には切替えの案内が設置されているほか、ガードを「オバケトンネル」として案内しています。

仮設通路の案内板
仮設通路の案内板
ガードのことを「オバケトンネル」と呼んでいるようです
ガードのことを「オバケトンネル」と呼んでいるようです

仮設通路は「TAKANAWA GATEWAY CITY」の建設工事現場の中を通ります。途中にガードの入口だったところと高さ1.5m制限標識が見えますが、そのうち消えることでしょう。

ガードへ向かう仮設通路
ガードへ向かう仮設通路
ガードの入口だった場所。高さ制限の標識も見えます
ガードの入口だった場所。高さ制限の標識も見えます

ガードへの階段は自転車を押せるように緩くなっています。また、階段部分には車椅子など支援が必要な人を補助するための補助員が配置されました。

ガードへ向かう階段。階段の上下には補助員がいます
ガードへ向かう階段。階段の上下には補助員がいます

ガードの道路は、かつての車道を使用しています。天井にはいろいろなものを擦った跡が残っていて、車道時代を彷彿とさせてくれます。

天井にある無数の傷がこのガードを特徴づけています
天井にある無数の傷がこのガードを特徴づけています

第二東西連絡道路の東側は、現在のガードと重複しています。そのため、重複部分の北側に歩道を先行整備して2026年に切り換え。続いて、ガードを撤去して車道を南側に整備して2031年完成する予定です。

ですので、このガードは2026年で廃止予定。工事の進捗に合わせて仮設通路の位置も変更されるそうですので、仮設通路やガードの変化を見ながら歩くというのも楽しいかもしれません。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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