クルマの税金が安くなる!? エコカー減税・グリーン化特例・環境性能割とは?

■環境性能に優れたクルマ向け3つの減税措置

クルマを買う際には、消費税だけでなく「自動車重量税」や「自動車税種別割(軽自動車税種別割)」など、いろんな税金が掛かってきますよね。

クルマを買う際にはいろんな税金がかかってくる
クルマを買う際にはいろんな税金がかかってくる

一方で、電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などで、国土交通省が定めた一定の環境性能基準(排出ガス規制や燃費など)をクリアしたクルマに対しては、税制上の優遇措置もあります。

「エコカー減税」「グリーン化特例」「自動車税環境性能割(以下、環境性能割)」といった3つの制度がそうで、対象車種によっては税金が100%免除されたり、減額されたりします。

では、実際に、これら優遇措置は、どんなクルマを買うと適用されるのでしょう? ここでは、各制度の内容をはじめ、特に自家用乗用車を購入する場合に、どんな車種が対象となるのかなどについて紹介します。

●エコカー減税とは?

まずは、エコカー減税。2009年から導入されていますから、名称を知っている人も多いと思いますが、制度の内容は何度か変更されていますので、ここでは、現行制度に関して紹介します。

この制度は、排出ガス性能や燃費性能に優れたクルマに対して、その性能に応じて自動車重量税を軽減するものです。

ちなみに、自動車重量税とは、クルマを新規購入した際や車検時に支払う税金。税額は重さ0.5t単位で異なり、排気量が大きいクルマほど、税金は高くなります。

そんな自動車重量税について、環境性能が優れたクルマについては、その性能に応じて自動車重量税を軽減するのがエコカー減税です。定められた一定の適用期間内に新車新規登録などを行った場合に限り、特例措置が原則1回限り適用されます。

現行のエコカー減税は、令和5年(2023年)5月1日〜令和8年(2026年)4月30日までの適用期間ですが、実際には、その期間中でも何度か条件などが変わります。

そこで、例えば、令和5年(2023年)5月1日〜令和5年(2023年)12月31日までの期間に、自家用乗用車の新車新規登録などを行った場合を例に紹介しましょう。

まず、減税の内容は、対象となる車種によって以下のようになります。

【100%減税される車種】
・電気自動車(BEV)
・燃料電池車(FCEV)
・プラグインハイブリッド車(PHEV)
・天然ガス自動車(平成30年排出ガス規制適合)
・クリーンディーゼル車
・ガソリン車・LPG車(平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準90%〜120%達成)

【50%減税される車種】
・ガソリン車・LPG車(平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準75%達成)

【25%減税される車種】
・ガソリン車・LPG車(平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準60%達成)

BEVなど環境性能が高い車種では、税金の優遇措置がある
BEVなど環境性能が高い車種では、税金の優遇措置がある

上記で、ガソリン車やLPG車、クリーンディーゼル車は、ハイブリッド車も含みます。

また、基本的に減税は、新車取得時1回限りですが、それに加え、初回の車検時も適用される車種もあります。

それは、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、令和12年度燃費基準を120%以上達成しているガソリン車などです。それらは、新車取得時だけでなく、初回の車検時も100%減税されます。

つまり、より環境性能に優れているクルマは、より大きな優遇措置があるということですね。

また、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などは、以後も、令和8年(2026年)4月30日まで、自動車重量税は100%減税となります。

一方、クリーンディーゼル車については、排気ガス規制や燃費性能の規制がより厳しくなります。

例えば、令和6年(2024年)1月1日〜令和7年(2025年)4月30日までの期間では、平成30年排出ガス規制に適合し、令和12年度燃費基準を90%〜120%達成していないと100%減税とはならなくなります。

もちろん、同期間でも、平成30年排出ガス規制に適合し、令和12年度燃費基準を80%達成したモデルで50%減税となるなどの優遇措置はあります。ですが、クリーンディーゼル車であれば100%減税となるのは今年2023年いっぱい。クリーンディーゼル車の購入を考えている人で、エコカー減税を最大限活用したい人は、今がチャンスかもしれませんね。

なお、ハイブリッド車を含むガソリン車もそれは同様で、令和6年(2024年)1月1日以降は、減税の対象となるクルマの令和12年度燃費基準に対する達成率などはより厳しくなる方向です。

●グリーン化特例とは?

毎年5月中(一部地域は6月中)に支払う「自動車税種別割」や「軽自動車税種別割」に対して適用されるのがグリーン化特例です。

グリーン化特例は、自動車税種別割や軽自動車税種別割に対して適用される
グリーン化特例は、自動車税種別割や軽自動車税種別割に対して適用される

ちなみに、登録車に掛かる自動車税種別割は都道府県税、軽自動車などにかかる軽自動車税種別割は市町村税で、国に収める自動車重量税とは収める先が違います。クルマって、本当に、いろんなところから税金を取られていますよね。でも、自動車税種別割や軽自動車税種別割は、収めないと車検が受けられないので注意が必要です。

話を元に戻すと、グリーン化特例で対象となるモデルは、自家用車の場合、主に以下の通りです。

【普通乗用車(登録車)の場合】
・電気自動車(BEV)
・燃料電池車(FCEV)
・プラグインハイブリッド車(PHEV)
・天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減または平成30年排出ガス規制適合)

【軽自動車の場合】
・電気自動車(BEV)
・燃料電池車(FCEV)
・天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減または平成30年排出ガス規制適合)

現行制度では、いずれも、令和5年(2023年)4月1日〜令和8年(2026年)3月31日までの適用期間中に、新車新規登録を行った場合に限り、翌年度分の税金が「概ね75%軽減」されます。

つまり、新車を購入して翌年分の自動車税種別割や軽自動車税種別割が安くなり、その後は、ほかの車種と同じ額になるということですね。

なお、自家用車のガソリン車などは、例えハイブリッド車であっても減税はありませんので、念のため。

●環境性能割とは?

クルマを購入する際にかかっていた自動車取得税が廃止され、2019年10月1日から導入されたのが環境性能割です。

これは、燃費性能などに応じて税率を変えるもので、排出ガスが少なく、燃費がいいタイプほど減税率を高める制度です。自家用の登録車は0〜3%、軽自動車は0〜2%となります。

現行の環境性能割で適用期間は令和5年(2023年)4月1日〜令和8年(2026年)4月30日までですが、エコカー減税のように期間中で何度か適用条件などが変わります。

そこで、環境性能割についても、例えば、令和5年(2023年)4月1日〜令和5年(2023年)12月31日までの期間に、自家用の乗用車(登録車)で新車新規登録などを行った場合を例に紹介しましょう。

【100%減税される車種】
・電気自動車(BEV)
・燃料電池車(FCEV)
・プラグインハイブリッド車(PHEV)
・天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%低減または平成30年排出ガス規制適合)
・クリーンディーゼル車(平成21年排出ガス規制適合または平成30年排出ガス規制適合)
・ガソリン車・LPG車(平成17年排出ガス規制75%低減または平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準85%達成)

【99%減税(1%課税)される車種】
・ガソリン車・LPG車(平成17年排出ガス規制75%低減または平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準75%達成)

【98%減税(2%課税)される車種】
・ガソリン車・LPG車(平成17年排出ガス規制75%低減または平成30年排出ガス規制50%低減+令和12年度燃費基準60%〜65%達成)

上記で、ガソリン車やLPG車はハイブリッド車も含みます。また、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などは、以後も、令和8年(2026年)3月31日まで100%減税となります。

環境性能割でも、BEVなどは100%減税措置がある
環境性能割でも、BEVなどは100%減税措置がある

ハイブリッドを含むガソリン車やLPG車については、令和7年(2025年)4月1日より、100%減税となる対象車種が変わります。平成17年排出ガス規制75%低減または平成30年排出ガス規制50%低減のモデルであることは同様ですが、令和12年度燃費基準の達成率は85%から95%に引き上げられることになっています。

また、クリーンディーゼルの自家用乗用車は、令和6年(2024年)1月1日以降に対象外となり、環境性能割は適用されなくなります(営業車のみの適応)。つまり、どんなクリーンディーゼル車でも、自家用車として購入する際にエコカー減税と環境性能割をセットで使えるのは今年2023年いっぱいとなるということです。

●中古車は適用される?

以上が、エコカー減税、グリーン化特例、環境性能割の概要です。具体的な対象車種については、各メーカーのホームページなどに掲載していますので、自分が新車購入を検討しているモデルが、どのような減税措置を受けられるのかチェックしてみることをおすすめします。

ちなみに、中古車を購入する場合はどうなのでしょうか? これについても、適用期間や環境性能などの各条件を満たしていれば、いずれの減税措置も受けられます。

ただし、環境性能割については、中古車の購入価格が50万円以下となる場合は、そもそも課税されないので対象外となります。

ともあれ、できるだけ購入費用を抑えたいのであれば、こうした制度を活用するのもひとつの手です。特に、BEVなど環境に優しいクルマは、まだまだ車両価格が高めの傾向。もし、そうしたモデルを購入するのであれば、こうした制度を利用し、できるだけ安く買いたいものですよね。

(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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