バイクのように傾くけれど倒れにくい! カワサキから電動3輪ビークル「ノスリス」シリーズ発売

■前2輪+後1輪の電動アシスト自転車と電動ミニカー登場

カワサキ製バイクなどの販売を手掛けるカワサキモータースジャパンが、前2輪と後1輪の電動3輪ビークル「ノスリス(noslisu)」シリーズ3タイプを発売することを発表しました。

電動アシスト自転車タイプのノスリス(カラーはウララブルー)
電動アシスト自転車タイプのノスリス(カラーはウララブルー)

ノスリスとは、カワサキが都市部などでの新しい移動手段として開発したモデル。ラインアップには、電動アシスト自転車タイプにスタンダードモデルの「ノスリス」と、荷物の積載性に優れる「ノスリス カーゴ(noslisu cargo)」を用意。また、普通自動車運転免許で乗れる電動ミニカー「ノスリスe(noslisu e)」の3タイプを揃えます。

いずれも、独自の2輪ステア機構を備えることで、バイクのようにリーンすることはもちろん、傾斜や凹凸がある路面でも安定した走りを実現する、注目の新感覚シティビークルです。

●ノスリスとは?

ノスリスは、2020年にカワサキの親会社である川崎重工業(以下、川崎重工)のエンジニアチームが手掛けた前2輪+後1輪の電動ビークルです。

新しいビジネスアイデアを社内から募る制度「ビジネスアイディアチャレンジ」に応募し、選ばれた有志たちにより開発されました。

ノスリスのサイドビュー
ノスリスのサイドビュー

川崎重工の正式プロジェクトとして始動したノスリスは、2021年に、電動アシスト自転車タイプとフル電動タイプを、クラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売。限定100台が、公開即日に完売するほどの注目を集めました。

そんなノスリスを、カワサキの正式ラインアップとして発売するのが、今回発表された3モデルです。

いずれも、大きな特徴は、前述の通り独自の2輪ステア機構を備えること。カワサキが特許も取得済みというこの機構は、ハンドル操作と車体の動きがシンクロする自然な操縦性を実現し、前2輪ながら、バイクや自転車のようにコーナリングで車体を傾けることができます。

独自の2輪ステア機構は特許取得済み
独自の2輪ステア機構は特許取得済み

また、路面の傾斜や凹凸の影響を受けにくいことも魅力。どんな路面でも高い安定性を持つことで、2輪車のように転倒するリスクが少ないといった特徴も持ちます。

●電動アシスト自転車仕様のノスリス

今回発表された3モデルのうち、電動アシスト自転車タイプでは、スタンダードモデルのノスリスと、フレームと一体化したカーゴスペースを特徴とするノスリス カーゴをラインアップします。

ノスリス(カラーはメタリックフォースシルバー)
ノスリス(カラーはメタリックフォースシルバー)

スタンダードモデルのノスリスは、全長1635mm×全幅600mm×全高960mmで、サドル高760〜960mm、車両重量28kgといったスペックを持ちます。

走行をアシストする定格出力180Wのモーターは、後輪内蔵タイプのインホイールモーターを採用。高剛性としなやかさを両立したフレームと相まって、シンプルながらスタイリッシュなフォルムを演出します。

メンテナンス性と耐久性に優れたインホイールモーター
メンテナンス性と耐久性に優れたインホイールモーター

バッテリーには、容量25.4V-9.8Ahのリチウムイオンタイプを装備します。重量1.9kgと比較的軽量なバッテリーは、取り外しも可能なため、自宅内などでの充電も可能。なお、充電時間は約5時間です。

また、「パワー」「標準」「エコ」といった3タイプのアシストモードも用意することで、状況に応じた設定が可能。1充電あたりで33.1km〜53.0kmといった走行距離を実現します。

ほかにも、前後20インチタイヤの装備などで優れた走行安定性を確保。フロント部に装備された荷台は、20kgまで積載が可能で、大きな荷物を積むこともできます。

価格(税込)は36万3000円で、2023年5月20日(土)より発売中です。

●より積載性をアップしたノスリス カーゴ

一方、ノスリス カーゴは、フレームと一体化したカーゴスペースを特徴とする電動アシスト自転車です。ノスリスと同様の2輪ステア機構を採用しつつも、より積載性を高めることで、物流や配送などさまざまなビジネスシーン向けのモデルです。

ノスリス カーゴ(カラーはメタリックフォースシルバー)
ノスリス カーゴ(カラーはメタリックフォースシルバー)

ボディサイズなどの詳細なデータはまだ未発表ですが、積載できる容積は、ノスリスの約20kgに対し、約120Lといった大容量を実現。また、ユーザーが走行中にいつも荷物を目の前で確認できる前方積載方式は、荷物搬送時の高い安心感に貢献します。

運搬車両の機能と外観上の美しさを追求したフレーム
運搬車両の機能と外観上の美しさを追求したフレーム

さらに、積載位置が低いことで、走行安定性も抜群。ノスリス同様、「パワー」「標準」「エコ」といった3タイプのアシストモードも持つことで、路面や荷物の積載量など、状況に応じたアシスト力を選択できます。

なお、価格(税込)は、41万4700円。発売日は2023年7月頃の予定です(正式な発売日は後日発表)。

●フル電動でよりパワフルなノスリスe

一方のノスリスe。こちらは、ハンドルに装備されたスロットルレバーを押すだけで走れる、ペダルを漕ぐ必要のないフル電動の3輪ビークルです。

フル電動モデルのノスリスe
フル電動モデルのノスリスe

前2輪、後1輪というレイアウトや独自の2輪ステア機構を持つことは、ほかの2モデルと同様。後輪に内蔵するインホイールモーターを持つことも同じですが、モーターにはよりパワフルな定格出力500Wタイプを装備し、約35km/hの最高速度を実現します。

バッテリーも大容量の48V-14.7Ahリチウムイオンタイプを採用。取り外して自宅などで充電できることも同じですが、重量は容量が大きい分より重く、ノスリスのバッテリーが1.9kgなのに対し、ノスリスeのバッテリーは35kg。運ぶのは、ちょっと力が必要そうです、ちなみに、約5時間という充電時間は同じです。

ノスリスeのメーター
ノスリスeのメーター

ボディサイズは全長1790mm×全高695m×全幅985mmで、ノスリスよりもやや大型化。車両重量も35kgと、パワーがあり車体も大きい分、やや重くなっています。

なお、ノスリスeは、道路交通法では普通自動車扱いで、道路運送車両法上では第一種原動機付自転車扱いとなるミニカー登録モデル。そのため、運転するには、普通自動車運転免許(AT限定可)が必要です。

原動機付自転車運転免許(原付免許)での走行はできませんし、走れるのは車道のみとなるので(歩道不可)、くれぐれも注意しましょう。

価格(税込)は43万100円で、2023年6月頃の発売です(正式な発売日は後日発表)。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
続きを見る
閉じる