目次
■「ゆふ高原線の風土を感じる列車」とは?
●博多〜別府間を約5時間かけて運行
JR九州は、ゆふ高原線(久大本線)経由で博多〜由布院〜別府間を結ぶ新しい観光列車を2024年春から運行することを発表しました。
なお、JR九州ではD&S(デザイン&ストーリー)列車と呼んでいます。
ゆふ高原線は九州を横断して久留米〜大分間を結んでいる路線です。
沿線には大分の小京都と呼ばれている日田や温泉地で有名な由布院があり、さらに大分・別府と直結していることから観光特急「ゆふいんの森」を運行しているほか、豪華クルーズ列車「ななつ星 in 九州」の運行ルートにもなっています。
新たな観光列車のコンセプトは「ゆふ高原線の風土を感じる列車」で、“風土”すなわち、その土地の機構や地勢、そこから生み出される土地の食や風習、風景を五感で楽しむ列車となります。
編成は全席グリーン車とし、ゆふ高原線沿線の食材を中心に福岡・大分県の魅力が詰まった弁当を楽しめます。
運転区間は博多〜別府間で、約5時間かけて運行。月・水・土曜日に博多発の列車を運行し、火・金・日曜日に別府発を運行します。
●車両は「いさぶろう・しんぺい」を改造
新観光列車に使用される車両は、新聞・テレビの報道によると観光車両「いさぶろう・しんぺい」を改造する模様です。
「いさぶろう・しんぺい」は肥薩線熊本〜人吉〜吉松間で運行していた観光特急列車です。「いさぶろう」は人吉〜吉松間が建設された当時の逓信大臣だった山縣伊三郎、「しんぺい」は人吉〜吉松間開業当時の鉄道院総裁だった後藤新平に由来しています。
しかし、2020年7月4日に発生した令和2年7月豪雨により肥薩線が被災し、以来「いさぶろう・しんぺい」は運休となっています。
2020年8月8日〜2022年9月19日には肥薩線応援企画として「いさぶろう・しんぺい」と、同じく肥薩線の観光特急だった「かわせみ やませみ」を連結した列車を門司港〜博多間で運行していました。
現在は「いさぶろう・しんぺい」の定期運行がない状態で、今年秋にはラストランのイベントが検討されていると報じられています。
今回の新観光列車について最大のトピックスは、車両のデザインを担当するのがドーンデザイン研究所を主宰する水戸岡鋭治氏ではなく、株式会社IFOO(イフー)が担当すると発表されたことです。
水戸岡鋭治氏は1987年に「ホテル海の中道」のアートディレクションを手がけて以来、JR九州の車両や制服のデザインを一手に引き受けているほか、駅舎のデザインも担当。「いさぶろう・しんぺい」ももちろん水戸岡氏のデザインによるものです。
株式会社IFOOは「【温故知新】〜時間の中に埋もれた価値に光を当てる〜」事を経営理念としていて、「地方創生(豊かな場づくり)」を、鹿児島の食・建築文化を通じて価値を再変換発信することを目指しているデザイン会社。鹿児島市内で高級民泊施設「萌?(ほうげつ)」を運営しています。
デザインを始め列車名・運転時刻・運転日・停車駅・車内サービス・料金などは今後発表される予定。
水戸岡氏がデザインした車両を改造した例はありますが、いずれも水戸岡氏が再デザインしていて、他のデザイナーが担当するのは今回が初めてのこと。どのような内外装になるのか興味深いところです。
(ぬまっち)